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「会う約束」をメールでスムーズに決め込む方法

プレジデントオンライン / 2019年11月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Georgijevic

メールで「会う約束」を調整すると、やりとりが何往復にもなってしまうことがある。どうすればいいのか。ビジネスコミュニケーションに詳しい中川路亜紀氏は「原因は『遠慮しすぎ』にある。あなたの本音をメールできちんと伝えれば、相手に迷惑をかけることもなくなる」という――。

※本稿は、中川路亜紀『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか?』(光文社新書)の一部を再編集したものです。

■多忙な人にアポイントのメールを送る

画像=『あなたのメールはなぜ相手を怒らせるのか?-仕事ができる人の文章術』
中川路 亜紀『あなたのメールは、なぜ相手を怒らせるのか? 仕事ができる人の文章術』(光文社新書)

あなたは、企画中の市場調査についての協力を仰ぐため、著名な研究者に会おうとしているところです。以前、名刺交換はしていましたが、仕事をお願いするのは初めてです。多忙な先生なので、緊張してメールを書きました。

この最初のメールは、よく書けています。このあと、会う日時を決めるやりとりに入りました。日時に関する部分の抜き書きで読んでみましょう。丸数字はそれぞれのメールの回数です。

■あなたの遠慮がメールの回数を増やす

【先生①】
ご依頼の件、ご協力できると思います。打ち合わせは、研究室まできていただければ対応できます。いつごろがいいですか。
【あなた②】
できましたら今月中にと思っておりますが、年度末ということでお忙しいようでしたら、来月に入ってからでも結構です。ご都合のいい日をお知らせいただければ幸いです。

【先生②】
では、3月20日に大学にきてもらえますか。午後なら何時でも大丈夫です。
【あなた③】
たいへん申し訳ありません。その日は先約がありまして、お伺いできません。その翌日の21日の午後はいかがでしょう。
【先生③】
その日はふさがっています。22日か25日はどうですか。
【あなた④】
私はどちらでも大丈夫です。先生のご都合のいいほうでお願いします。
【先生④】
では、22日の午後2時に研究室にきてください。
【あなた⑤】
承知いたしました。3月22日(木)午後2時に研究室にお伺いします。よろしくお願い致します。

先に自分の都合を書くのは失礼だと思って遠慮がちに話を進めた結果、メールの回数が増えてしまいました。しかも、毎回のメールに挨拶(お世話になります)、お礼(ご返信ありがとうございました)、お願いのフレーズを書かねばならず、お互い書いたり読んだりする手間が無駄に増えてしまうことになります。中でも気になるのは、次の3点です。

①最初のメールで訪問希望の時期について何も書かなかった。図表1の「*」印の箇所に、2週間から1カ月程度の幅を持たせた期間を書いてもよかった。
②そもそも、自分の方から都合のいい日を聞いたのに、先方から提示された日時にNGを出してしまった。
③先方が提示してくれた選択肢に「どちらでもいい」と答えてしまった。

■候補の日時は、状況に応じて伝え方を変える

依頼そのものについて相手から断られる可能性がある場合、最初から打ち合わせの日時まで提示すると、「先走りすぎ」「厚かましい」という印象を与える恐れもあります。その場合は、前述の①のように、おおまかな時期の希望にとどめるほうがよいでしょう。

依頼や訪問についてOKがもらえることがわかっている相手の場合は、最初の打診で、打ち合わせの日時の候補まで書きます。同行者と調整が必要な場合などは、相手に複数の候補日を出してもらいます。たとえば、こんな書き方で打診します。

20日の週でご都合のつく時間がございましたらお伺いしたいと思っておりますが、いかがでしょうか。なお、誠に勝手ながら、20日(火)午後、21日(水)午前は予定が入っておりますので、それ以外でお願いできましたら幸いです。
今月末まででご都合のよい時間にお伺いしたいと思っております。社内でも日程調整が必要なため、お手数ですが、複数の候補日・時間をいただけますと助かります。

相手の都合を聞いておきながら相手が提示した日時にダメ出しするのは失礼ですし、メールの回数が増えてしまいます。自分が都合の悪い日があるのであれば、先に知らせます。自分が都合の悪い日が多いときは、大丈夫な日を候補日として挙げてもよいでしょう。

こちらの都合を申し上げてたいへん恐縮ですが、次のいずれかの時間帯にお伺いしたく存じますが、ご都合はいかがでしょうか。
5月13日(火)午後
5月14日(水)午前もしくは午後
5月16日(金)午前

候補日を挙げる場合は、このように相手が返信のときに引用して○や×をつけられるように、箇条書きにすると親切です。

■リスケは「相手ファースト」の姿勢が大切

あってはならないことですが、約束した日時に行けなくなってしまったときは、お詫びして変更してもらうしかありません。

お願いしておりました6月5日の打ち合わせですが、日程の変更をお願いできないかと思っております。たいへん勝手なことで申し訳ありません。

続けて別日程の提示をします。変更せざるをえなくなった理由は、相手から聞かれない限り、書かなくてよいと思います。

もちろんちゃんとした理由があるのであれば書いてもよいのですが、次の×のようなものはNGです。

×ほかに用事ができてしまいましたので、伺えません。
×課内会議の日になってしまいましたので、変更をお願いします。
×友だちが田舎から出てくるというので会うことになりました。
◎緊急に対応しなければならない事態が発生し、どうしてもお伺いできなくなってしまいました。
◎のっぴきならない事情のため、どうしても伺えなくなってしまいました。

メールの相手には、常に「あなたのことを第一に考えていますよ」という思いをこめた「相手ファースト」の姿勢を表現することが必要です。「ほかの用事」「ほかの取引先の急用」「社内の会議」「友だちと会う」などはもちろんNG。真実でも、相手に言わないのが礼儀というものです。

とても多忙な相手だった場合は、次のようなお詫びを書き添えます。

ご多忙のところ、せっかくご予定いただきましたのに、誠に申し訳ございません。

この「せっかく」という言葉は、相手の好意を無駄にするときのお詫びによくつかわれます。「せっかくのご厚意にお応えできず……」「せっかくご提案いただきましたのに、実現することができず……」などの表現です。

■「あなたの本音」をメールで表現する文例集

ここでは、アポイントメールについて考えてみました。最後に、あなたの本音を、メールでやわらかく表現する文例を紹介します。

あなたの本音①「どうしても会ってくれないと困る!」

ご多忙のこととは存じますが、なんとしても先生にご覧いただきたく、ご無理をお願いしております。
厚かましいお願いとは承知しておりますが、革新的なシステムに仕上がっておりますので、ぜひデモンストレーションをご覧いただきたく存じます。なにとぞご検討のほど、お願い申し上げます。

あなたの本音②「とにかくすぐに時間を作ってほしい!」

突然のぶしつけなお願いで本当に申し訳ありません。なんとかお時間をいただきたく、平にお願い申し上げます。
急なお願いになってしまい、申し訳ありません。30分だけでもお時間をいただけましたら幸いです。

あなたの本音③「ちゃんと覚えてるかな……」

ご講演の日がいよいよ1週間後に迫ってまいりました。とても楽しみにしております。どうぞよろしくお願い致します。
明日2時にお伺いします。お忙しいところ申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願い致します。
アポイントのフローチャート/画像=『あなたのメールはなぜ相手を怒らせるのか?-仕事ができる人の文章術』

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中川路 亜紀(なかかわじ・あき)
コミュニケーション・ファクトリー代表
1956年神戸生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社勤務を経て、1998年にコミュニケーション・ファクトリーを設立。ビジネス文書、メールなどビジネスコミュニケーション関連の企画・著述・講演活動を行っている。著書に、『気のきいたモノの言い方ができる本』『気のきいた短いメールが書ける本』『気のきいた手紙が書ける本』(すべてダイヤモンド社)、『ビジネスメール即効お役立ち表現』(集英社)などがある。

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(コミュニケーション・ファクトリー代表 中川路 亜紀)

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