仕事は「何をやるか」ではなく「誰とやるか」に尽きるワケ
プレジデントオンライン / 2020年3月27日 11時15分
※本稿は、持田卓臣『普通のサラリーマンでもすごいチームと始められる レバレッジ起業「バーチャル社員」があなたを救う』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
■一人でできることなんてタカが知れている
巷では、やれ「起業するなら自分が好きなことをやるのがいい」とか、「いや、好きなことより自分ができることだ」とか言いますが、私はそもそもの前提として、「一人でできることなんてタカが知れている」という事実から出発すべきだと考えます。
もちろん、世の中にはものすごいプロフェッショナルな人材というのが存在します。一人でなんでもこなせて、賢くて、パワフルで、ものすごく優秀な人です。かつての「起業して成功する人」というのはそんなイメージでしょう。
けれど、私たちが目指すのは「普通のサラリーマンが普通に起業する」ことです。私自身も、もともとは普通のサラリーマンでした。そして、15年も会社をやっていてもできないことだらけです。そんな私でもここまでなんとかやってこられたのは、いつもチームで仕事をしてきたからなのです。
でもチームをつくるには、まず何をやるのかを決めないと、適切な人を選べないじゃないか。理屈で考えれば当然その通りです。私自身も最初はそう思っていました。しかし、実際にやってみると、これが違ったのです。
■「何をやるか」よりも「誰とやるか」が重要だ
アメリカの著名な経営コンサルタントであるジム・コリンズは、『ビジョナリー・カンパニー2』(山岡洋一訳、日経BP)の中で次のように述べています。
これを読んだとき、私は心底驚きました。実際に思い当たる節があったからです。
例えば、「借金玉さん」と出会ったときもそうでした。たまたまインターネットを検索していて彼の存在を知り、彼の書く文章を読んで、ぜひ一度、話をしてみたいと思いました。それで、Twitterのダイレクトメッセージで連絡してみたのです。まだ彼が初めての著作である『発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術』(KADOKAWA)を出版する前のことでした。
■「誰と仕事するか」からビジネスは生まれる
幸運にも彼は返事をくれて、私の会社に遊びに来てくれました。そこで意気投合し、一緒に起業に関するウェブメディアをつくらないかという話をして、記事の執筆を依頼したのです。「起業に関するウェブメディアをつくろう」から始まったのではなく、「借金玉さんと仕事をするのに、何をするのがいいだろうか」というところから、1つのビジネスをスタートさせたのです。
彼だけではありません。今私の会社の役員兼従業員として週4日働いている「つついさん」もそうです。
当時、私の会社の主要事業の1つを任せていたメンバーが、書類整理のアルバイトとして人の紹介で連れてきたのが彼女でした。いろいろ話をしてみると面白そうな人だったので、書類整理のほかにも記事制作や資料作成を頼んでいるうちに、気づけば、現在の主要事業の1つであるマーケティングオートメーションのコンサルティング事業をメインで切り盛りしてくれるようになっていました。
もともと彼女はITについてもマーケティングについても特別な知識があったわけではありませんが、なんとなく向いていそうだな、というところから1つの事業ができあがったのです。
■「バーチャル社員」ならあなたを助けてくれる
でも、サラリーマンが副業として始めたばかりのビジネスで、「一緒にバスに乗ってくれる人」なんているのだろうか。
「社員」ではなく「バーチャル社員」ならば、それが可能になるのです。
世の中は今、空前の人手不足です。それはデータから見ても明らかです。国が公表している、有効求人数と有効求職者数の2018年のデータのうち、有効求職者数が有効求人数を大きく上回るのは事務的職業のみです。それ以外は有効求職者数がまったく足りていない現実が見えてきます。
いわゆる「優秀な人」「魅力的な人」のほとんどはすでにどこかの企業で働いていたり、自分でビジネスをやっていたりするでしょう。そんな人を小さな会社が普通に雇うことはまず無理です。けれど、「一緒にバスに乗ってくれる人」は、別に普通の社員でなくともよいのです。
先ほどの「借金玉さん」のときも、彼を私の会社で雇ったわけではなく、契約形態としてはいわゆる業務委託契約です。「つついさん」の場合は当初はアルバイト(それも最初は週1日だけ)で、のちに週4日勤務という条件で役員兼従業員となってもらいました。「はじめに」でもご説明した通り、私は、こうしたかたちも含めて、私の会社の仕事を一緒に進めてくれる人たちのことを「バーチャル社員」と呼んでいます。
■正社員だろうが業務委託だろうが関係ない
「バーチャル」という言葉には「本質」という意味があります。私は、社員の本質はその形式ではなく、「会社のビジネスを一緒に進めて、貢献してくれること」だと考えています。ですから、役員だろうと、正社員だろうと、アルバイトだろうと、業務委託だろうと、1日8時間・週5日勤務でなくても、オフィスで働かなくても、この「会社のビジネスを一緒に進めて、貢献してくれる」人は、全員が「バーチャル社員」なのです。
実際、私の会社で一緒に働いている人たちは、業務委託契約の人もいれば、有期契約社員の人もいれば、パートタイム契約の人もいます。それぞれにお願いする仕事の内容やご本人の希望に合わせて、法令上の取り扱いも考えて適切なかたちを選んでいるだけです。北海道から九州まで、あるいは海外に住んでいる人もいます。東京にいるメンバーもオフィスに来る頻度はまちまちです。形式にとらわれず、必要なメンバーが、必要なときに、必要な仕事ができればよいのです。
■バーチャル社員は「外注」ではない
ここまでの話を聞いて、「なんだ、『バーチャル社員』って要は社員を雇う代わりに仕事を外注するってことか」と思われた方がいるかもしれません。たしかに、業務委託という契約形態をとる場合、一般的には「外注」と呼ばれると思います。しかし、業務委託である場合でも、「バーチャル社員」と「外注」は異なると私は考えています。
結論から言うと、「バスの目的地」が決まっていて、そのために必要な人をバスに乗せたとしたら、それはいわゆる「外注」に当たるでしょう。そうではなくて、「この人と一緒にバスに乗りたい」から始まって、一緒に目的地に向かう人が「バーチャル社員」なのです。
「バーチャル社員」を単なる外注と認識したままでは、彼ら彼女らの能力を100%活かすことはできないでしょう。
----------
ベンチャーネット代表
1978年、神奈川県川崎市生まれ。早稲田大学商学部、早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。大学卒業後、ヒューレットパッカード社にてITコンサルタントとして従事。2005年、業務効率の向上や新規事業立ち上げなどのITコンサルを行うベンチャーネットを創業。近年は、企業全体の業務効率化を図るためのRPAコンサルティング事業も行っている。
----------
(ベンチャーネット代表 持田 卓臣)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
特別なスキル、資格は不要!…今、にわかに企業ニーズが高まっている〈普通のサラリーマン〉の定年後の働き方とは【シニアキャリアコンサルティングが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月23日 11時15分
-
こりゃあ客はキレるわ…野村證券の”軍曹”が大損したアラブ王族に送った、たった2行の運用報告書…回転売買手数料でボッタくるだけでなく、はめ込んだ「腐れ玉」とは
集英社オンライン / 2024年5月22日 8時0分
-
「再雇用」を検討するシニア社員にとって、業務委託契約による〈個人事業主〉という働き方こそが有益といえる、これだけの理由【シニアキャリアコンサルティングが助言】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月16日 11時15分
-
〈那須・逮捕された“第6の男”〉センター分けの髪型で普通のサラリーマン風「結婚して子どももいた」「コロナで不動産会社が傾いていた」全身刺青の主犯格との関係は?
集英社オンライン / 2024年5月8日 19時38分
-
入社1か月で調子こく大企業の新入社員たち…GWに帰省した息子の態度に愕然――大人気記事・すぐ辞めた新入社員トップ10
日刊SPA! / 2024年5月4日 8時45分
ランキング
-
1「カスハラ」法整備でもそう簡単に解決しない事情 「お客様は神様」で生きてきた中高年の壁も
東洋経済オンライン / 2024年5月26日 12時30分
-
2上場が検討されるヨーカ堂が生き残る道とは? 山本哲也社長が語る
食品新聞 / 2024年5月26日 21時7分
-
3全国各地で浮上するオーバーツーリズム問題 訪日外国人たちだけが問題なのではなく「そこにダメな日本人がいる」
NEWSポストセブン / 2024年5月26日 7時15分
-
4コロナ禍に電子印鑑PR、「シヤチハタ」への逆風はね返す…おむつから建設現場まで「しるし」広げる
読売新聞 / 2024年5月26日 8時52分
-
5あなたの家に住み着いている“泥棒”の正体とは…?今すぐ退治して「快適な暮らし」を手に入れる方法【片付けのプロが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月26日 9時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください