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最新アンケート「世帯年収300万円台の過半数は幸せだ」

プレジデントオンライン / 2020年6月20日 11時15分

■年収300万円世帯の半数は幸せ

世帯年収300万円台でも幸せ──。プレジデント誌のアンケート調査(図)でそうした実態が浮上した。「とても幸せだ」または「どちらかというと幸せだ」と回答した人が合わせて54.4%と半数を超えた。この結果に意外な感じがする読者もいるかもしれないが、決して不思議なことではないようだ。「幸福学」が専門の慶應義塾大学大学院教授の前野隆司さんは「年収というのは幸せを構成する1つの要素にすぎず、お金以外の幸せの構成要素を充実させれば十分ありえます」と説明する。

実際、米プリンストン大学のダニエル・カーネマン名誉教授の調査で、年収7万5000ドル(800万円弱)までは収入に比例して幸せ感が増すものの、それ以上収入が増えても幸せ感は頭打ちになることがわかっている。「収入が高いほど人は幸せになる」という単純な図式ではないのだ。「もちろん、一定程度の収入はあったほうがいいわけですが、それがすべてではない。年収が高いけれども不幸せだと感じている人は、お金以外の要因が足りないのだと思われます」と前野さんはいう。

では、幸せを構成する要素とはどういうものなのか。前野さんによれば、「地位財」と「非地位財」の2種類に大別される。地位財は周囲との比較で満足を得るもので、収入、社会的地位、所有物(家や車など)が代表例だ。非地位財とは他人との比較はなしに得られるもので、愛情、人間関係、生きがい、健康などである。「地位財は上を見ればきりがなく、また1度得ても飽きやすいため幸福感が持続しない。一方、非地位財は安定的に幸福度が持続する特徴があります。したがって非地位財を多く持っているほうが幸せになりやすいのです」と前野さんは話す。

■仕事にやりがいを得て、幸せを感じている

アンケート結果でも年収300万円台の人が幸せを感じる理由として、「健康状態」「趣味の充実」など非地位財のパーセンテージが高くなっている。「『仕事の内容』をあげる人も多いようですが、収入の多寡とは別に仕事自体にやりがいを得て、そこに幸せを感じているのでしょう」と前野さん。

慶應義塾大学大学院教授 前野隆司氏
慶應義塾大学大学院教授 前野隆司氏

もしも、あなたがいま不幸せで、その理由として収入にばかり目を向けているのであれば、前野さんの次のアドバイスに耳を傾けていただきたい。

「幸せへの近道は、地位財である収入よりも非地位財を重視することなのです。その最も簡単な方法が『感謝』です。『ありがとう』の気持ちを口に出して相手に伝えます。これはタダですし、すぐに実行できる。まずは身近なパートナー、家族、友人らに感謝しましょう。感謝すると心が落ち着き、幸福感が膨らみます。結果、周囲との人間関係もよりよくなります。感謝の対象は無限で、家族や知人でなくてもかまいません。新型コロナ禍のいまなら、医療従事者の方々やスーパーの店員さんに感謝してみてはどうでしょう」

また、何事も楽観的に捉え、前向きな姿勢で臨むことも大切だそうだ。「確かに、収入減や仕事そのものがなくなるリスクはありますが、楽観的になると創造性が発揮され、現状を打破するようないいアイデアが生まれてくるでしょう」と前野さんはいう。さらに、趣味の充実もいいという。読書や散歩、ジョギングなどお金のかからない趣味はたくさんあるし、軽い運動は健康にもよく幸せ感につながる。

「結局のところ、バランスが大切なのです。生活に必要な最低限のお金をキープしつつ、感謝、人間関係、やりがい、趣味、健康などいろいろな幸せの要素も身に付けるようにします。そうすれば、たとえ不確実性の高い困難な時代であっても、幸福感は揺るぎないものになるでしょう」という前野さんの言葉を覚えておきたい。

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前野隆司(まえの・たかし)
慶應義塾大学大学院教授
1962年生まれ。86年東京工業大学理工学研究科機械工学専攻修士課程修了。キヤノン、慶應義塾大学理工学部教授などを経て、2008年から現職。著書に『幸せのメカニズム 実践・幸福学入門』。

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(ジャーナリスト 田之上 信)

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