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日本一の洗濯屋が教える「マスクが長持ちする正しい洗い方」

プレジデントオンライン / 2020年12月31日 11時15分

マスクと洗濯用具を持つ「洗濯ブラザーズ」の今井良さん(左)、茂木貴史さん(中央)、茂木康之さん - 写真=プレジデントオンライン編集部

毎日身に着けるマスクは、常に清潔にしておきたい。『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)を出した「洗濯ブラザーズ」の茂木康之氏は「マスクは肌着のようなもの。洗濯機で洗う前の『プレウォッシュ』を心がけてほしい」という――。

■マスクは肌着……だからこそ正しいケアが必要だ

いまや、マスクは生活必需品となりました。繰り返し使える経済性や、デザイン、フィット感、肌なじみを重視し、使い捨ての不織布マスクではなく、コットンやシルク、化学繊維などの布マスクを愛用している方も増えています。

コロナ時代、マスクに求められるのは、ウイルスをブロックする本来の役割だけではありません。きれいに洗濯されたマスクと、皮脂が浮き出ていたり、ファンデーションや口紅がついたりしたマスク……。マスク次第で、相手に与える清潔感や好感度は大きく変わってしまいます。

何より意識してほしいのは、マスクは直接、肌に触れているということ。

ボクら洗濯ブラザーズは、横浜でクリーニング店「リブレ ヨコハマ」を営みながら、日本全国のみなさんに「正しい洗濯」を広める活動を続けています。

洗濯ブラザーズの長男がオーガニックコスメの輸入業に、そして次男が洋服の生地を扱うテキスタイル会社やクリーニング機器メーカーに勤務していた経緯から、服と肌にやさしい洗濯法を追求してきました。

肌に直接、触れる肌着のケアを間違えば、肌荒れや肌トラブルの原因になります。それは、マスクも同じ。

マスクは肌着――。ボクらはそんなふうに考えながら、毎日愛用のマスクを洗濯しています。しかも、肌着はふだん上着の下に隠れていますが、マスクは人目にさらされます。だからこそ、肌着よりも気を遣って、正しいケアをしていく必要があるのです。

■洗濯機で洗う前の「プレウォッシュ」

では、マスクにはどのようなケアが必要なのでしょうか。

マスクにスプレーをかけている茂木康之氏の手元
写真=プレジデントオンライン編集部
洗濯機で洗う前に、弱アルカリ性の洗濯用液体洗剤と水を混ぜて作った「プレウォッシュ液」をマスクに吹きかける - 写真=プレジデントオンライン編集部

冬に入って新型コロナ第3波が本格的に到来したいま、家庭でも簡単にできるマスクと肌にやさしい、正しい洗濯法を実演してみたいと思います。

マスクを洗う茂木康之氏
マスクをブラシで叩く茂木康之さん(写真=プレジデントオンライン編集部)

まず大切なポイントとなるのが、洗濯機で洗う前の前処理である「プレウォッシュ」。100円ショップなどで用意したスプレー容器に、弱アルカリ性の洗濯用液体洗剤と水を1対1ずつ入れて、軽く振って混ぜ合わせます。プレウォッシュ液はこれだけで完成です。プレウォッシュ液は1週間で使い切ってください。

次に、皮脂やファンデーションなどが付いた、汚れが目立つ部分にプレウォッシュ液をしっかり吹き付けます。そして、油汚れを浮かせるイメージで、洗濯ブラシで強めに叩きます。ブラシがなければ、歯ブラシでもかまいません。注意点は、ブラシで汚れをこすらないこと。こすると、汚れが落ちないだけではなく、生地を傷めてしまいます。この5分のプレウォッシュで、汚れとともに、口臭などの臭いも分解できます。

プレウォッシュしたマスクは、すぐに洗濯機には入れずに、10分ほど置いてください。その間に浮き上がった汚れを本洗いで根こそぎ落とすのです。

■柔軟剤はNG……肌荒れを引き起こす原因になる

プレウォッシュでとくに注意していただきたいのが、ポリエステルなどの化繊マスクです。化繊マスクは強度もあり、カラーも色とりどり。洗濯も簡単なので、利用している人はたくさんいます。

とはいえ、化繊には油汚れが付着しやすいという難点があります。

鼻の頭の部分が汚れて黒くなったり、テカったりしているマスクを着用している人を見たことがあるのではないでしょうか。

あれは鼻の頭に浮き出る皮脂汚れ。皮脂や口紅などの油汚れは洗濯機に入れただけでは取れません。とくに鼻の皮脂は、日々同じ箇所に付着し、蓄積されてしまいます。毎日、プレウォッシュをして、重点的にケアしていくべきです。

マスクを着けて話す茂木康之氏と奥に座る茂木貴史氏
写真=プレジデントオンライン編集部
マスクを着けて話す茂木康之さん(手前)と茂木貴史さん - 写真=プレジデントオンライン編集部

ただし、ボクらはあまり化繊マスクをおすすめしていません。化繊マスクをつけて、肌荒れの症状を訴える人がたくさんいるからです。なかには、化繊マスクを洗濯するさいに柔軟剤を使用する人もいるかもしれませんが、それは絶対にやめましょう。

繊維に残った柔軟剤の成分が、衣類をふんわりさせたり、香りづけ、消臭、抗菌などの効果をもたらすと言われています。しかし、そうした成分が、マスクに残ってしまうと、常に肌に触れていることになりますから、汗などと反応すると肌への刺激になる可能性があります。

仮に柔軟剤がすすぎ切れていなかったとしたら最悪です。そんな状態のマスクをつけることは、常に柔軟剤を顔に塗っているようなもの。肌の健康のためにも絶対にやめましょう。

■洗剤の量を増やしても汚れは落ちない

さて「マスクの正しい洗濯」に話を戻します。

インタビュー中の洗濯ブラザーズの3人
写真=プレジデントオンライン編集部
インタビュー中の「洗濯ブラザーズ」の3人 - 写真=プレジデントオンライン編集部

プレウォッシュが終わったマスクを置いている間、洗濯物を入れていない空の洗濯機にお水をためてください。水がたまりきったら、洗剤を投入し、洗濯機内で、水と洗剤を攪拌(かくはん)させます。ドラム式をお使いの方は、水と洗剤をあらかじめ混ぜ合わせた液体を洗剤ケースに直接入れます。

水は繊維のなかにまで浸透して汚れを落とすのですが、同時に繊維にとってかなりの刺激があり、縮みや傷み、色落ちなどを引き起こします。繊維を水から守るために、水と洗剤を前もって合わせておきましょう。

水と洗剤の量は、だいたい水1Lに対し、洗剤1mLほど。パッケージの裏面に書かれている洗剤メーカーの濃度設定通りでかまいません。洗剤の量を増やせば、増やすほど、汚れが落ちると勘違いしている人が多いのですが、それは大きな間違いです。洗剤の量を増やすと立ちすぎた泡が汚れを保護してしまったり、洗剤の成分がしっかりとすすぎ切れなかったりして、汚れが落ちにくくなってしまいます。

いよいよ洗濯機での本洗いですが、その前にもうひと手間。プレウォッシュしたマスクを洗濯ネットに入れてください。マスクに対して洗濯ネットが大きすぎると型崩れしたり、しわになったりするので、ネットの空いたスペースを結び、マスクが動かないように固定します。

ネットに入れて空いたスペースを結んだマスク
写真=プレジデントオンライン編集部
洗濯ネットにマスクを入れ、ネットを結んでマスクが動かないように固定する - 写真=プレジデントオンライン編集部

洗いの時間は3分程度で十分です。洗濯機では、洗いのあと、脱水、すすぎ、脱水という工程になるのですが、汚れや匂いをカットするのは洗いではありません。脱水の遠心力で、汚れを繊維から剥がして、すすぎで汚れを落としているのです。

■デリケートな生地を使ったマスクは手洗いで

シルクや麻、ガーゼなどのデリケートな生地を使ったマスクは、手洗いがおすすめです。東京都の小池都知事がいつも着用しているような刺繍が入ったマスクを洗濯機に入れたら、いっぺんで縮んだり、型崩れしたりしてしまう恐れがあります。

手洗いといっても簡単です。プレウォッシュのあと、水と洗剤を混ぜた液体のなかで、3分ほど押し洗いするだけ。手洗いが終わったあとは、洗濯ネットに入れて洗濯機で脱水とすすぎを行います。洗剤の量や柔軟剤の使い方に注意するだけでなく、脱水やすすぎも、肌とマスクを守るポイントになってくるのです。

そして最後が乾燥。乾燥機を使うと、一気に縮んでしまい、アベノマスクのようなサイズになってしまいます。ピッチハンガーに、マスクを広げて、2箇所から4箇所を挟んで干せば、3、4時間で乾きます。耳の部分を引っかけるとマスクの重みで、ゴムが伸びたり、たるんだりしてしまうので、注意してください。

マスクを干す茂木康之氏
写真=プレジデントオンライン編集部
マスクを干す茂木康之氏。マスクをしっかり広げて干せば3、4時間で乾く - 写真=プレジデントオンライン編集部

こうしてすべての工程を説明すると長く感じてしまうかもしれませんが、5分ほどのプレウォッシュ後、洗濯機に入れるだけ。毎日の帰宅後も苦にはならないと思います。

何度も洗濯を繰り返すとウイルスをブロックするという本来の機能が弱まるのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかしいまは、市販の抗ウイルス、抗菌などのマスク用スプレーが発売されています。

■洗い方ひとつで清潔に、より長く使える

洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)
洗濯ブラザーズ『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム)

もともと洋服が好きだったボクらは「気に入った洋服を正しく洗って、長く着てほしい」という思いで、肌と洋服にやさしい洗濯を広める活動をしてきました。それは、マスクも同じです。

ボクらが愛用しているのは、ポロシャツと同じ鹿の子素材のマスク。ボクらの実験では、約100回洗濯しても型崩れや風合いの変化はありませんでした。テニスやゴルフなどのスポーツのシャツとしても利用される素材なので、フィット感がいい上、乾きも早く、通気性も十分。さらに、生地に凹凸もあるので、ファンデーションなどの汚れがつきにくいという特徴があります。

みなさんも自分に合ったマスクを探してみてください。そして、毎日、正しく手入れをした清潔なマスクを着用してほしいと考えているのです。

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洗濯ブラザーズ(せんたくぶらざーず)
茂木貴史(長男)、茂木康之(次男)、今井良(三男)の3人で結成し、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜でクリーニング店「LIVRER YOKOHAMA(リブレ ヨコハマ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。キレイに洗えるだけではなく、同時に服を傷めず長持ちさせられるのが、洗濯ブラザーズ式・洗濯術の特徴。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行うなど、毎日の洗濯が、「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。初の著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)は6万部突破のベストセラー。公式サイト、オリジナル洗剤オンラインショップ

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(洗濯ブラザーズ)

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