「セックスレスの結婚生活に意味はない」39歳女性は不倫を自白して貧困シングルマザーになった

プレジデントオンライン / 2021年1月19日 11時15分

シングルマザーの山本ゆいなさん(39歳・仮名) - 筆者撮影

山本ゆいなさん(39歳・仮名)は、小学2年生の息子を育てるシングルマザーだ。元夫とはセックスレスで離婚した。セックスレス解消のためさまざまな努力したが実を結ばす、不倫に走ったという。フリーライターのツマミ具依氏が取材した——。

■半数以上の夫婦がセックスレス

夫婦関係に亀裂を生むセックスレスの問題。日本家族計画協会が2020年に行った調査によると、夫婦の2組に1組以上の51.9%がセックスレスであることが明らかになった。同調査の2004年31.9%と比較すると、約15年の間に2割増となっている。

「たかがセックスレス」と思う人も、セックスレス夫婦の結末を聞くとそうとは言えないはず。セックスレスが原因で不貞し、離婚したシングルマザーに話を聞いた。

「私は愛のあるセックスがしたかっただけなんです。夫がいる限り、どんなに好きな人がいても不貞になり、悪いことになっちゃう。ママ友から『セックスレスなのは普通』と聞いても、私はやり過ごせなかった」

淡いピンクのワンピースを着た山本ゆいなさん(39歳・仮名)は、かわいらしい声も相まって、年齢より若く見える。話す様子は、所帯染みたお母さんというよりも、ガールズトークをする女子のようだ。

山本さんは、職場で出会った3つ上の男性と30歳のときに結婚。セックスレスを自覚したのは、34歳の頃だったという。

「1人目の子供を産んでからセックスレス気味だったんですが、2人目の子作りという理由があればまた戻れると思って。一応、夫は協力してくれましたが、乗り気じゃないのはバンバン伝わってきました」

■セックスレスは「女として終わっている」という根拠のようだった

2人目の子供を妊娠するも、病院で障害を持つ可能性があると診断された。

「母に『中絶しなさい』と言われ、自分の考えも言えないまま従いました。中絶した後、この選択をすべきだったのか、身も心もボロボロになって人生を考え直したときに気付いたんです。いままでずっと母親の顔色をうかがって生きてきて、自分の気持ちから逃げてきたって。それは母親だけでなく、夫に対してもでした。私は、夫から愛されたい気持ちから逃げていたんです」

セックスを求めていた本当の理由を悟った山本さん。セックスレスの心情を問うと、ため息交じりにこう語った。

「男性はしたい。女性はそれを受け入れる。そういうイメージがあるので、こっちから求めるのは敗北感がありました。30代って、女性として朽ちていくのを身に染みて感じるんですよ。セックスレスは『女として終わっている』という客観的な根拠を示されているようでした。一番つらかったことは、浮気ができないこと。やろうと思えば、他の人とすることはできる。けれども、それが本質的な解決じゃない。他の人ではなく、夫がいいと自分に言い聞かせていたし、実際そうだと思っていました」

中絶後は、本格的にセックスレスに突入。自分の気持ちが言えないまま悶々(もんもん)と3年の月日が流れた。そんなある日、転機が訪れる。

「昔働いていた職場の男性に誘われて、久しぶりに2人で飲みに行きました。そしたら、帰り際にホテルに誘われたんです。ドキドキしながらも『それはできません』と断ると、『じゃあ、手をつなごう』って言われました。手くらいなら、と了承したら、久しぶりに男性と触れた感覚がよみがえってきたんですよ。そのとき、夫に触れたいとはっきり思いました」

■ついに浮気をしたが、虚しさを生むだけだった

触発された山本さんは、勇気を出して夫に思いを伝えることを決心する。何日も推敲(すいこう)を重ねて、こんな手紙を書いた。

「私は結婚してからずっとあなたに言いたいことが言えませんでした。いろいろなことが伝えられず、伝えられないことを積み重ねてしまい、もうどこから伝えて良いのかわからないくらい、積み重ねました。それでも、あなたと生活していくために、少しずつ話していきたいと思っています。あなたときちんと心を通わせたいから。実は、とても恥ずかしくて言いにくいのですが、本当はセックスしたかったのです」

テーブルの置き手紙を読んだ夫は、翌日山本さんを食事に誘い、「あんなこと言わせてごめんね」と謝った。手もつないでくれた。だが、肝心の行為には至らず、数カ月が経過。落胆した山本さんは、今度は面と向かって「したい」と伝えるが、「いいよ」と夫は言ってそのままソファで寝てしまった。もう我慢の限界だった。

「自制してきたけど、もういいかなって。浮気をしました。ここまでしてもセックスをしてくれないので、免罪符を得た気になったんですよ。相手は手をつないだ男性です。でも、浮気してみたところで満たされなかったんです。代わりに他の人でごまかしても、虚しさを生むだけとわかりました。本当に向き合うべきは夫だと思って、男性とは関係を絶ちました」

■大げんかのあと、手紙で不貞をカミングアウト

山本さんは、セックスレス解消を諦めなかった。いきなりセックスするのはハードルが高いだろうと、パートナーシップの本を読み、カウンセラーに相談して、自分の行動を見直した。スキンシップを重ね、会話の数を増やし、夫が喜ぶことを意識した。

「ものすごく恥ずかしいですけど、『キスしてほしい』『かわいいって言ってほしい』とストレートに気持ちを言うようにもしました。気持ちをため込んじゃうと、いじけた態度やこじらせた言い方になっちゃうので。一応、夫はそのときはやってくれるんですけど、継続しないんですよね。うまくあしらわれて、かわされている感じがしました」

セックスレスは好転せず、それどころか夫婦関係は悪化していく。山本さんが主婦業と並行して仕事を始めるとけんかが増えた。『誰のおかげで生活できてるんだ』とモラハラ発言をする夫に恐怖を感じ、次第に愛情もうせていき、離婚を考えるようになる。そして、夫と大げんかしたとき、山本さんは再び手紙を書いた。

「あなたがセックスしてくれないから、他の人としました。でも、あなたも私も悪くないと思います。離婚しましょう」

結婚指輪を外す
写真=iStock.com/simarik
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/simarik

■離婚し小学2年生の子供を育てるシングルマザーに

手紙を読んで激昂した夫は、山本さんの両親に連絡。両親からも非難され、「稼ぎもほぼないし、旦那さんの元にいさせてもらいなさい」と離婚を反対された。だが、山本さんは弁護士に「セックスレスは正当な離婚理由にならない」と言われるまで、自分の過ちに無自覚だった。

「夫のことが好きで、ずっとしたいと言ってきた。それを向き合ってくれないゆえの不貞だから、悪いことじゃない。彼も彼なりに葛藤していたから悪くない。だからどっちも悪くないっていうのが答えになるんじゃないかと思ったんです」

そうはいかない。セックスレスの夫ではなく、不貞行為をした山本さんが法的に問題となる。夫が同意しない限り離婚できない立場に追いやられ、夫は離婚を拒んだため、事態はこじれた。「離婚してやる!」とたんかを切ったつもりが、墓穴を掘ってしまったのだ。

それでも、この生活を終わらせたい山本さんは夫を説得。ほぼ自身の財産がない中、車を売って約30万円の慰謝料を支払い、離婚にこぎつけた。こうして山本さんは現在、小学2年生の子供を育てるシングルマザーとなったのだ。

「離婚が決まって子供と引っ越しました。親に離婚を反対されていたので保証人もいなかったんですけど、不動産屋に頭を下げて、引っ越し資金は旦那からの借金と息子のお年玉をこっそり使いました。今、息子への返済をしているところなんですよ。冷蔵庫も何もなかったけど、友達がくれたりしてある程度そろったんです。カーテンは今もないんですけどね。でも、意外となんとかなるんですよ」

晴れ晴れした表情を見せる山本さん。しかし、現実的に、今後の生活はどうする予定なのだろうか。

■貧乏になってもいいから「愛されたい」という気持ちがあった

「稼げる仕事をしようと、風俗系もやったんです。画面の前で脱ぐエロチャットです。デリヘルも一回だけ……。レスに苦しんでいるので、性欲が強いのかなと思ってたんですけど、苦しくなっちゃって、向いてなかったですね。離婚直後は、平日は派遣、土日はチャットをやって、マジで死にそうでした。最近、転職して生保レディの仕事を始めたんですよ。派遣の一般事務しかしてきてなかったけど、正社員になって働こうって。それくらいのガッツがないとやっていけないと腹をくくりました。生保レディなら一応安定しているし、今は研修中で月収21万円ですけど、マックスで年収400万円弱にはなるみたいで。成績あげて頑張らないと」

そのほかの収入は、養育費の支払い4万円と児童手当4万円。養育費は、離婚の譲れない条件だったという。「養育費はいつまで払われるかわからないですけど」と危機感もあるようだが、離婚の後悔はないのだろうか。

「後悔はないです。不安もない。大丈夫です。主婦って、お金がないから離婚できないという問題がありますよね。ですが、自分を傷つける夫とお金のために一緒にいることは、私には間違っていることだった。もちろん、お金のために我慢するという答えも尊いと思います。でも、我慢できないくらい「愛されたい」という気持ちがあった。今一番大事なのは、息子と愛し合うこと。夫といたときは、夫の恐怖でストレスがたまって、子供に当たっちゃったこともあって申し訳なかったので。離婚したら一緒にニコニコする時間が作れるようになったので、今はいい方向に向かっている気がします」

■理想の再婚相手は「穏やかな金持ち」

いずれは再婚したいという。理想の相手を聞いてみると――。

「穏やかな金持ち……結局、金持ちがいいですね。だけど、お金で困るから再婚したいというのは間違っている。やっぱり好きじゃなかった、だと意味がないですから。でもつい、経済的にすがっちゃいそうで……。そうならないためにも、1人で養っていける自信を持てないとダメだろうな。だから、ちゃんと恋愛するためにも自分で稼がなきゃいけない。なにより、年収高い人って性欲も強いと思うんですよ。だから、レスになることもないんじゃないかな。前の旦那はそんなに年収が高くなかったので。だけど、あまりにも快楽に走られると、自分が道具っぽく思えてしまうんですよね。最近会った人がそういう人で。私、男性の扱い方にすごく敏感なので……」

愛されたい。お金も必要。1人で子供を育てていく現実を前に、気持ちが揺れていた。子供のためにも自分のためにも稼がなくては。そう自分に言い聞かせるように語って、山本さんはこれから参加する合コンへと向かっていった。どうか離婚の決断が実を結ぶものであってほしい。

(フリーライター ツマミ 具依)

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