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かわいい収納グッズを買う人ほど「片付けがうまくいかない」ワケ

プレジデントオンライン / 2021年8月29日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Studio Light and Shade

掃除、洗濯、買い物……細々とした家事を効率的にやるにはどうしたらいいのか。元外資系メーカー管理職で2児を育てながら文筆業やヨガスタジオ経営などをしている尾石晴さんは「『自分と家族にとって、何が必要か、何が大事か』を知って、やる家事やらない家事を決めることで、家族の幸福度は上がる」という――。

※本稿は、尾石晴『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

■家族の幸福度を上げるために、家事の効率化の前にコレをやる

手段から入るとうまくいかない理由

家事の効率化や収納術、便利家電にライフハックを発信するSNS。これらを見て「良さそう。取り入れよう!」と思った経験はないですか?

以前の私は、これが「生活を便利にしてくれるなら」と思って、便利グッズや家事グッズを購入していました。収納は、すべて見える化してくれるようなクリアボックス、ドアにカバンをかけられるハンガー、お風呂まわりの備品を外に出しておくためのカゴなどから、野菜の皮が早く剥(む)けると聞けば、それ専用の器具を買ってみたり、冷凍食品をおいしく保存できる専用の袋なども買っていました。多忙な人でも、子どもがいても「とにかく、これがあれば便利になる!」と思っていたのです。

ところが、数カ月経つと、「使わなくなった収納グッズ」が邪魔になったり、別のモノが上に置かれてスペースを取るだけで使えなくなったりと、家事効率化からほど遠くなった経験があります。

その後、私は家で快適に過ごせるようにするために、片付け収納の資格「ライフオーガナイザー1級」を取りました。そのときに気づいたのが、まず「ものを片付けよう」と思って収納グッズを買う人は、「必ず片付けがうまくいかない」ことです。

なぜかと言うと、収納グッズに合わせて、家にある物を収納したくなるので、本当に必要なものではなく、収納グッズに合わせたものが残るようになってしまうのです。

すると、大事にしているものではなく、スペースに合わせたものが良い場所を取っていき、そのためのメンテナンスが必要になったりと、工夫しているのに使いにくい、家事効率化になかなか結びつかないとなってしまいます。

私の例からも言えるように、家事効率化や家の仕組みをつくりたかったら、一番大事なのは、「自分と家族にとって、何が必要か、何が大事か」を知ることです。

■家事効率化を実現する仕分け法

では、どうやって「自分と家族にとって、何が必要か、何が大事か」を知るのか? ここで、1つのやり方をご紹介します。

家族の幸福度が上がる!家事の仕分け法
出典=『ワーママはるのライフシフト習慣術』

このやり方は、有名なビジネス書『7つの習慣』から、「時間マトリックス」を応用しています。「緊急」と「重要」の2軸で4象限をつくり、「緊急でもなく重要でもないもの」は第4領域として「時間を使うのをやめなさい」という考えです。

これを応用して「できる、できない、好き、嫌い」で分けます。

図表は私のものです。日常的にルーチンで行なわれる作業(食事づくり、洗濯、買い物、保育園の支度など、必ず毎日やるもの)で、仕分けをしてみます。

この中で注目すべきは、第4領域の④「嫌い、できない」の項目です。ここに入った項目は、外注するか、回数を減らすか、そもそも行為自体をなくすように取り組んでみます。私の場合は「買い物」です。そのため、私は、買い物は全部外注にしました。

生協(生鮮食品、米、飲料など)、Amazon定期便(シャンプーやハンドソープなど)にして、買い物にはいっさい行きません。これはわが家の場合なので、買い物が「好き、できる」に入っている人は、無理して効率化する必要はありません。

第4領域から手を付けることが最優先です。この中でも、毎日やるものほど、細かく分類してみるのもおすすめです。買い物とひとくくりにするのではなく、「生鮮食品の買い物は好きだけど、日用品は面倒」と言う人もいます。その場合は、もう1つマトリックスをつくって、「買い物」という大項目からやっていること(日用品購入、食料品購入、お酒の購入、書籍購入など)を分類して、「嫌い、できない」に入った項目を捨てるのもいい手法です。

■外注がムダかどうかは、時給と価値で判断

私の場合、「好き、できない」に入っている「掃除」は、第4象限ではないですが、毎日はルンバに、週1回はシルバー人材センターにお願いしています。掃除は好きだけど、家族と過ごす時間やせっかく取れる趣味の時間を減らしてまでは「できない」「やりたくない」からです(時々ストレスが溜まったら、下駄箱を掃除したりします、すっきり! これは目的が違いますね)。

尾石晴『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)
尾石晴『ワーママはるのライフシフト習慣術』(フォレスト出版)

外注するときに、よく「それはお金がある人だからできる、私はお金を払うくらいなら自分でやる」と話す人がいます。そんなときは、ご自分の時給を計算してみてください。

まずは、給与を勤務時間で割ってみます。月28万円もらって20日間(1日7時間)働いている人なら、28万円÷(20日×7時間)=時給2000円です(実際は福利厚生や社会保険を含めると、もっと高い時給になるはずですがここでは割愛)。一般的には、その時給以下で外注できるなら「掃除」などは頼むべきだとされます。

しかし、時間がないワーキングマザーが持つ視点としては、1時間2000円で外注をお願いしたら、掃除する時間(時給2000円)+自分が「学ぶ時間」「子どもと過ごす時間」「のんびりする時間」に対して、時給2000円以上の価値があるかどうかです。時給2000円払って外注して、その時間に「自分にとって意義のある過ごし方」ができるなら、自分でやるより何倍も大きなメリットがあるので、再考してみる価値はあります。

■満足度を下げるものは、「やらない」仕組みづくり

他にも「できる、嫌い」にも、自分や家族にとっての満足度が上がる生活のヒントは隠れています。私は「ゴミ捨て」は「できるけれど、嫌い」でした。ゴミ捨ては「家中のゴミ箱からゴミを集める、袋を付け替える、ゴミ別に収集日を忘れないで出す」の繰り返しで、私には管理項目が多く、ワーキングメモリを消費する家事だからです。

ゴミ箱にペーパータオルを捨てる
※写真はイメージです(写真=iStock.com/s-cphoto)

そこで、ゴミ箱を家中からなくして、キッチン1カ所にしました。ゴミ箱に合わせて、人が動く仕組みです。収集日も忘れないように、アラームを2回設定、有料ゴミ袋の買い出しは、職場の1階にコンビニがある夫の項目にしました(地域別の有料袋はAmazonにはなかった)。

外注したわけでも、何かグッズを買ったわけでもありません。仕組みを変えて「やらないことを決めて、家事満足度を上げている例です。

他にも、行動は縛られているけれども、その時間自体を違う項目に「転換してやめる」こともできます。

例えば、洗濯物を干す時間には「Kindle本の読み上げ」を聞く、子どもとの電車遊びに何時間も付き合うのが苦痛なら、知育の時間にして、各都道府県の駅に電車ごっこで行くなどです。やっている行為は変わらないけれど、意味を変えてしまいます。

■「効率化」より「家族の満足度」を上げる仕組みづくり

効率化目的で複数のものを取り入れるのではなく、自分にとって、家族にとって「できる、できない、好き、嫌い」を見る練習をしていくと、「自分の優先度」「家族の優先度」が見えてきます。わが家のような買い物スタイルだと「え! 1週間に1回の生協でいいのですか? 週の後半は、生野菜や刺し身など出てこないし、ご家族から文句は出ませんか?」と聞かれます。わが家は週末にお出かけして、外食するときに生鮮食品を選んで食べたりします。このやり方でも、家族にとっては、土日の外出が楽しみになるので、これでいいのです。それよりも、平日にワンオペ育児で私がイライラして買い物に行くほうが「家族にとってはやめたほうがいいこと」なのです。

効率化や便利グッズ、やったら良い知恵は巷にたくさんあふれています。それらもうまく使えばこその効果発揮です。

ぜひ効率化を取り入れる前に、家族の満足度を上げる仕組みづくりとして、次のことをやってみてください。

● 自分の「できる、できない、好き、嫌い」で、毎日やっていて改善したいことを分ける。
● 外注を入れるなら、時給思考を持つ。
● 減らせないなら「意味」を置き換える。
● 家族にとって「やめたほうがいいこと」を見極めると満足度が上がる。

■夫婦は、家事分担より役割分担

公平に育児も家事も取り組みたいと思っている共働き夫婦がつくりやすいのが「見えない家事リスト」です。夫婦で「家事分担を公平にしよう」という目的で広まってきた「見えない家事リスト」をご存じですか? 例えば、「ゴミ捨て」という家事には、「ゴミを家中から集める、ビニール袋を付け替える、ゴミ収集日をチェックする、有料袋に入る量を入れる、分別する、時間を守って捨てる」などさまざまな項目が含まれます。この見えない家事が「リスト」になります。一般的には、家事分担量が多い妻が提示する項目が多くなります。

この「見えない家事リスト」をつくって、夫婦で家事を押し付けあっても、実はうまくいきません。リストがあることで「なんでここまでやるの?」「こんな細かくやっているのはあなたでしょ?」「やりたいほうがやりなよ」と、夫婦の家事認識ズレを際立たせ、関係が悪くなり、家庭内に不協和音が鳴り響くだけです。個人的には、最初から「見えない家事リスト」なんてつくらないほうがやりやすいと考えています。

なぜなら、見えないものは、人によっては本当に見えないからです。

それよりも、お互いが見えている「役割」をパズルのように組み合わせる。そのほうが、家族みんなが気持ちよく取り組めます。

例えば、妻は料理をする、夫は掃除をする。公園遊びは夫がメイン、絵本読みは妻がメインなど。家族はシェアハウスで過ごしているわけではないのですから、家事の「個数を分ける」のではなく、「役割を分ける」。人間は完璧ではないので、夫婦で「お互いの苦手」を補う。そのほうが、夫婦でいる意味があるはずです。

家事を公平にするために家族でいるのではなく、幸福になるために一緒にいるはずです。もちろん、パートナーが非協力的だ、分担の偏りがある、なんてご意見もあるでしょう。その場合にやるべきなのは、「見えない家事リスト」を叩きつけることではなく、「何のために家族でいるのか?」の目的確認です。家族の幸せを増やす「補完型」の考えを持っていきたいですね。

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尾石 晴(おいし・はる)
Voicyパーソナリティ
外資系メーカーに16年勤務し、うち6年は管理職として活躍。長時間労働が当たり前の中、「分解思考」で時間を捻出。ワンオペ育児をこなしながら残業0時間を達成し、チームを社内表彰に導く。その傍ら、発信業・不動産賃貸業・ヨガインストラクター、メンタルオーガナイザー、ライフオーガナイザーなど、会社員以外での収入経路を次々と確保。2020年4月に会社員を卒業。音声メディア「voicy」では1000万回再生超えを記録し、トップパーソナリティとして活躍中。2020年にはヨガスタジオ「ポスパムfukuokaスタジオ」を立ち上げ、代表を務める。2児の母。著書に『やめる時間術 24時間を自由に使えないすべての人へ』(実業之日本社)がある。ツイッター:@wa_mamaharuインスタグラム:@waamamaharu

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(Voicyパーソナリティ 尾石 晴)

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