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「言い訳の枕詞」は絶対に避けるべき…仕事のできない人がホウレンソウで使いがちな"最初の一言"

プレジデントオンライン / 2022年8月11日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kazuma seki

上司へのホウレンソウ(報告、連絡、相談)をスムーズにこなすにはどうすればいいのか。グロービス経営大学院客員准教授の河野英太郎さんは「たどたどしく説明すると、自信のなさが相手を不安に陥れ、重箱の隅をつつくような質問攻めにあってしまう。ホウレンソウでは自信たっぷりに振る舞うべきだ」という――。

※本稿は、河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■プライミング(呼び水)効果をうまく使うべき

組織で仕事をする際に欠かせないのが、報告、連絡、相談(ホウレンソウ)です。ホウレンソウの場面には、仕事がうまくいくちょっとしたコツがたくさんあります。

上司にホウレンソウをする前に、「すみません、まだ準備不足なのですが」とか「うまく言えないのですが」などと言い訳をしてしまうことってありませんか?

実はこれ、確実に逆効果です。無意識にこうした枕詞を習慣として使っているなら、今すぐやめるべきでしょう。

私は以前、こんな実験をしたことがあります。

(A)「まだ不十分ですが」と、(B)「結構うまくまとまっていると思います」という言葉を頭につけたメール(内容は同じ)を別々のグループに送るという実験です。結果はものの見事に分かれました。

(A)のメールには寄ってたかって「もっと考えてから持ってこい」とか、「こことここがダメ」といったネガティブなコメントが返ってきました。

一方、(B)のメールには「いいね」「お見事!」「こうするともっといいかも」といったポジティブなコメントが返ってきました。内容は同じにもかかわらずです。

これは、人間が持っている「先入観」によるものです。心理学ではこれを、プライミング(呼び水)効果と言います。

「効く」と聞かされて薬を飲んだ場合と、薬と知らないで飲んだ場合の効果の違いに関する実験が有名ですが、ビジネスでも、自信があるという暗示を最初にかければ、相手からはポジティブな反応が返ってくるものです。

あえて自信満々にふるまうことで、相手の反応をポジティブなものにし、自分自身の追い風にすることができます。裏を返せば、わざわざ自分から逆風を作りだして、無用な労力や時間をかけるような愚をおかす必要はないのです。

■自信をもって、流れるような説明をする

同じ内容の報告でも、あの人がするとスムーズなのに、自分がすると質問攻めに遭う……そんな経験はありませんか?

多くの場合、その原因はあなたの「たどたどしい」説明にあります。

詰まりながらの説明は自信がない印象を与え、相手を不安に陥れます。その不安が重箱の隅をつつくような質問に変わり、話の内容とは無関係なあら探しをされてしまうのです。これでは目的が達成されないばかりか、あなたの信用にかかわります。

流れるような説明をするには、二つのコツがあります。

①「森」→「木」→「枝葉」の順で話をする
(森=話の全体像/木=話のポイント/枝葉=詳細な説明)

あなたが話したいこと、つまり「枝葉」から話しはじめるのではなく、まずは全体像(森)を話すことで相手の頭のベクトルを方向づけ、話のポイント(木)を説明して概要を理解させ、続いて詳細説明(枝葉)に入るのです。これができると、思った以上にスムーズにホウレンソウができます。

②事前に「開始のセリフ」と「説明と説明の間のセリフ」を決めておく

開始のセリフとはつまり、「あのー、えっと」で話しはじめずに、最初の一言目からズバリと話題に入るということです。

説明と説明の間のセリフとは、森と木、木と枝葉の説明をつなぐ接続詞です。「しかし」なのか「具体的に言うと」なのか、論理の展開をスムーズにするための接続詞を事前に決めておくと、上司やクライアントを前にしても緊張せずにホウレンソウができます。

小さなことと思うかもしれませんが、こうしたことの積み重ねが、あなたの印象を作るのです。

スーツやヘッドフォンを着用したホワイトカラーの労働者
写真=iStock.com/kokouu
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kokouu

■聞かれたことに答える

ホウレンソウでは、質問が返ってくることもあります。

例えば、あなたの報告に対して「それで、○○さんにアポイントは取れたの?」という質問が上司から返ってきたら、あなたはどう答えますか?

このとき「○○さん出張らしいんですよ」などと、理由や背景から返事をしてしまう人が多いのではないでしょうか。

ひどい場合は「○○さん、さっき会ったら忙しそうで、話しかけようにもなかなかタイミングが合わなくて。部下が急に来なくなったらしいんですよ」と、さらに周辺情報に迂回する人もいます。

そんなとき、あなたの上司はこう考えています。「要するに、アポは取れたのか、取れなかったのか、別の日に決まったのか、どうなんだ! 早く教えてくれ!」

こうしたケースでは、質問者が一番聞きたいこと、つまり「アポイントが取れたかどうか」を最初に答えた後、必要に応じて周辺情報を話すようにしてください。つまり、「はい、取れました」「いいえ、取れませんでした」から答えるのです。

場合によっては、「いいえ、取れませんでした」という回答を受けて、上司が「そうか。じゃあ○○さんへは私から話そう」と別の判断を入れるかもしれません。その判断をしなければならない人にとっては、あなたが提供する周辺情報は雑音でしかないのです。

他にも、「何が言いたいんだ?」「どうして遅れたんだ?」といった詰問調の質問に対して、素直に「何が」や「どうして」に回答せず「すみません」と返してしまう人も多いものです。これも経験的に言って火に油を注ぐことになりかねません。

5W1Hの質問も、Yes/Noで答える質問も、聞かれたことに最初に答えるのがルールです。

実業家ミーティング
写真=iStock.com/franckreporter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/franckreporter

■早め早めにチェックを受ける

仕事をしていて最も困るのが、上司やクライアントによる急な方向転換です。それが締め切り直前だと絶望的。しわ寄せは全部自分にやってきます。これを避けるための方法があります。

ホウレンソウを早め早めにすることです。自分からチェックポイントを提案して、上司やクライアントとコンタクトを取り、常に認識を一つにしておく。これができると大きな悲劇を避けられます。

例えばプロジェクトの計画書を作ってほしいと頼まれたら、計画書の目次レベルができた段階で「このような流れで大丈夫ですか?」「スケジュールは『今後検討』でよろしいですか?」などと相談しておきます。

そうすればその場で「これでいい。この流れで続けて」「ここは省いて」などの指示を仰げますし、後日の大きな方向転換を避けられます。さらには「これなら昨年の事例が参考になる。◯◯さんに聞いたら、情報を持っているかもしれない」など作業負荷の軽減につながる情報ももらえるかもしれません。

問題が発生した場合も同じです。状況が進行してからホウレンソウしていたのでは、深刻度が増し、手遅れになってしまいます。何より早め早めの報告が重要です。仕事がデキる人というのは、常に早め早めに動く人です。

トラブルが発生した時点で第一報を報告しておくと、報告を受けた側は最短で問題を認識できますし、その後のあなたへの対応方針を指示することができます。

ある外国人経営者が「悪い話は昨日聞きたかった。いい話は来週でいい」という表現をしていました。彼は、悪い情報ほど先に報告しなさい、と言いたかったのです。

■「3分ください」を口ぐせにする

ホウレンソウをしようと思って上司を目で探したら、机に向かって執務中。そんなとき、あなたならどう話しかけますか? 多くの人は、「今ちょっといいですか」と言うのではないでしょうか?

河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
河野英太郎『99%の人がしていない たった1%の仕事のコツ 決定版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

そこで返ってくるのは、「ごめん、後にして」「今はダメ」といった言葉です。これでは、数分あれば解決できるはずの案件も後回しになり、仕事が滞ってしまいます。

実は、これを避けるためのいい方法があります。それは、「3分(あるいは1分)ください」と言うことです。この方法をとることで、上司は必要な時間がわかりますから、圧倒的にあなたを受け入れやすい態勢が整います。

「今話しかけても、忙しいに違いない」「すぐにまた会議だろうから、今話しかけたら迷惑だろう」と気を回すのは人情ですが、こうした配慮もいきすぎると、結果として上司に迷惑がかかります。

相手を慮(おもんぱか)って、まじめにおうかがいを立てた結果、ホウレンソウがままならない、などということは、決してあってはなりません。

むしろ上司には、「自分のたった3分の話を聞くことほど大事な仕事はない」というスタンスで臨むくらいでOKです。チャットツールを使っている組織なら、一方的に送付してしまうのも手です。

■仕事は信用がすべて

もちろんそのためにはホウレンソウする内容を吟味し、どうでもいいことには、時間をとらせないというマナーが必要です。

ひとたび「あいつ、いつもどうでもいいことばかり報告してくる」という印象を持たれたら、上司はあなたに時間を割かなくなるでしょう。

仕事は信用がすべて。この信用が、職場で大きな差を生むのです。

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河野 英太郎(こうの・えいたろう)
アイデミー取締役執行役員COO、Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授
1973年岐阜県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学水泳部主将。グロービス経営大学院修了(MBA)。電通、アクセンチュアを経て、2002年から2019年までの間、日本アイ・ビー・エムにてコンサルティングサービス、人事部門、専務補佐、若手育成部門長、AIソフトウェア営業部長などを歴任。2017年には複業としてEight Arrowsを創業し、代表取締役に。2019年、AI/DX/GX人材育成最大手の株式会社アイデミーに参画。現在、取締役執行役員COOを務める。著書に『社会人10年目の壁を乗り越える仕事のコツ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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(アイデミー取締役執行役員COO、Eight Arrows代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授 河野 英太郎)

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