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テスト直前にこれをやるだけで「数学の得点がアップする」…心理学者が教える驚きの方法

プレジデントオンライン / 2023年5月30日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Gins Wang

仕事の能率や生産性を高めるにはどうすればいいか。心理学者の内藤誼人さんは「仕事ができる人になりきってしまうといい。ロシア・モスクワ大学のウラジミール・ライコフ氏は、フランスやロシアの著名な数学者になりきって数学の問題を解いてみると、得点がアップすることを確認している」という――。

※本稿は、内藤誼人『ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)の一部を再編集したものです。

■クヨクヨと迷うことがあったら「かつ丼」を食べる

やるつもりはあるのに、うまくいくかどうかが不安で、なかなか行動を起こせない、というタイプの人もいるでしょう。

不安が高いため、迷いに迷ってしまう。結果として無意味に時間をつぶしてしまうわけですが、こういうタイプのダラダラをどうにかする方法はないものでしょうか。

もちろん、あります。

その方法とは、ジンクスを持つこと。

「○○すれば、大丈夫」というジンクスを1つ持っておくと、不安を一掃することができ、迷いがなくなってすぐに行動できるようになるかもしれません。

ジンクスを使うというやり方は、プロのスポーツ選手も利用しています。

オランダ・エラスムス・ロッテルダム大学のマイケラ・シッパーズ氏は、サッカー、バレーボール、アイスホッケーのトップ選手197人を対象にして、「大切な試合前に、何らかのジンクス行動をとっていますか?」と尋ねてみました。

すると、80.3%がジンクス行動をとっていることがわかったのです。

また、シッパーズ氏はどんなときにジンクスに頼りたくなるのかも尋ねてみたのですが、「相手が格上」のときにその気持ちが強まることも判明しました。相手が格上のときには、いつも以上に不安が高まりますから、こんなときにはジンクスが有効なのでしょう。

ジンクスというのは、迷信行動ですから、科学的な根拠があるわけではありません。

しかし、どんな行動であっても、「さあ、これで私は大丈夫だ!」と思い込むことができ、不安も打ち消すことができれば、万々歳ですよね。

ぜひみなさんも、自分なりのジンクスを持ってみてください。

クヨクヨと迷うことがあったら、お風呂に入って熱いシャワーを浴びるとか、かつ丼を食べるとか、瞑想(めいそう)をするとか、どんな行動でもよいと思います。

なお、シッパーズ氏の研究では、一番多いジンクス行動は、「何か特別なものを食べる」でした。197人中66人が、このジンクスを持っていたそうです。

不安な気持ちがあると、どうしても気持ちが前に進んでいきません。

こんなときには、とにかく不安を払拭しないと、一歩も進めずに無意味に時間を浪費することになってしまいます。

不安によってダラダラしてしまう人は、ジンクスによって不安を取り除きましょう。迷ったときには、サイコロに決めてもらう、というジンクスもいいですね。

「奇数が出たら、○○することにする」と決めてしまうのです。運を天にまかせることになりますが、自分で決められないのなら、いっそのことサイコロに決めてもらったほうが、あれこれと悩まずにすみます。

■「自分ならうまくいく」と暗示をかけてしまう

不安な人が行動をためらってしまうのは、「うまくいかない」と思い込んでいるからです。何をしてもうまくいかないと思っていれば、行動を躊躇してしまうのもしかたがありません。

こういう人には、自己暗示も効果的です。

「私ならうまくいく」
「絶対に成功する」

などと自己暗示をかけてみるのです。自己暗示をばかばかしいといって切り捨ててしまう人もいますが、自己暗示は数多くの研究でその効果が確認されている、非常に有効な方法です。

ドイツ・ケルン大学のライサン・ダミッシュ氏は、ゴルフ未経験の学生を集めて、1メートルの距離からゴルフのパッティングをさせるという実験をしてみました。

【図表1】カップインした回数
出所=『「ダラダラ時間」をリセットする最新心理学BEST60』

暗示をかけるグループには、ボールを手渡すときに、「このボールは、これまでの参加者にも使ってもらっているんだけど、とてもパッティングが成功しやすい幸運なボールなんだよ」とインチキなことを告げてから渡しました。

比較のための条件(コントロール条件)のグループには、「このボールは、参加者全員が使うボールです」とだけ告げて渡しました。

パッティングは一人10回ずつやってもらい、カップインした回数は図表1のグラフのようになりました。

「なるほど、私の使うボールは幸運なボールなんだな」と暗示をかけられたグループのほうが、本当にパッティング能力が向上していることがわかりますね。暗示には、本当に効果があるのです。

不安が強くて、行動をためらってしまっている人は、まず自分に暗示をかけてみてください。先ほど紹介したジンクスも、いってみれば自己暗示です。「○○したら、何でもうまくいく」という暗示を自分にかけてしまえば、躊躇せずに行動することができるようになりますよ。

■「ありがたい」を口ぐせにして抑うつを解消

私たちは、気分が落ち込んでいるとき、いわゆる「抑うつ状態」のときには、何もする気が起きません。うつ病にかかった人が、ダラダラしているように見えるのは、そのためです。

うつ病の人に対しては、「おい、辛気くさい顔をしていないで、元気出せよ!」などと励ましてはいけません。本人だって、元気を出したいのです。ところが、気分が落ち込んでしまって、元気を出したくとも出せないのです。

もし抑うつのせいでダラダラしてしまうのであれば、その抑うつ感をどうにかすることを考えましょう。

本当にうつの度合いが大きいときには、すぐに医者に診てもらうことをおすすめしますが、ほんのちょっとした抑うつ程度であれば、本人の心がけで改善させることも難しくありません。

1つの方法は、感謝。

自宅の寝室で手を合わせる老人
写真=iStock.com/FG Trade Latin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FG Trade Latin

どんなことに対しても、「ありがたい」「ありがたい」と口ぐせのようにつぶやくようにしていると、不思議なことに抑うつ感は抑制されていくのです。

ルーマニア・ティミショアラ大学のボグダン・タルビューレ氏の調査では、何事にも感謝する人のほうが、抑うつになりにくいことが確認されています。

タルビューレ氏はまた、宗教的な人も抑うつになりにくいことを突き止めていますが、その理由は、たいていの宗教では、「感謝の気持ち」が説かれているからです。

■「仕事があるだけでありがたい」と思えるか

朝、起きたときに晴れていたら、「出社するときに濡れずにすむよ、ありがたい、ありがたい」と口に出し、もし雨が降っていても、「農家の人たちが喜ぶだろうな、ありがたい、ありがたい」と、どんな状況でも感謝するようにするのです。

食事のときもそうですね。おかずなどなくとも、「白いごはんが食べられるだけで幸せだ、ありがたい、ありがたい」と言って食べると、本当においしく感じることができますし、幸せな気持ちになります。

人生のすべてに感謝できるようになると、なぜか抑うつになりにくくなります。おそらく、感謝の気持ちと、抑うつの気持ちというものは両立しないので、ポジティブな感謝の気持ちが前面に出てきて、抑うつ感のほうは相対的に追いやられてしまうからでしょう。

愚痴や不満は、なるべく持たないほうがいいですね。

「どうしてこんなに給料が安いんだ」などと不満を持っていると、気持ちが落ち込んでしまいます。

その点、「仕事があるだけでありがたい」と感謝するようにすると、気持ちが前向きになりますし、幸せに生きていくことができます。心が幸せで満たされていると、気持ちも弾みますし、ダラダラしなくなるものです。

■「私は、○○だ」と10回くらいつぶやくと仕事効率が上がる

仕事ができる人のことを思い浮かべるだけでも効果的ですが、さらにその本人になりきってしまうのもいいアイデアですね。

「○○さんなら、どのように仕事をするだろう?」ではなく、「私は、○○だ」とモデル(手本)の人物になりきってしまうのです。

ロシア・モスクワ大学のウラジミール・ライコフ氏は、「ロシアの作曲家セルゲイ・ラフマニノフになったつもり」あるいは、「ウィーンの天才バイオリニスト、フリッツ・クライスラーになったつもり」で楽器の演奏をしてもらい、その演奏を専門家に聴かせて得点をつけてもらいました。

すると、ただ演奏をするより、「○○になったつもり」のグループのほうが、はるかに上手に演奏できることがわかったのです。

いやあ、本人の思い込みの力というのは、すごいものですね。

ちなみに、ライコフ氏は、「フランスの数学者アンリ・ポワンカレになったつもり」あるいは、「ロシアの数学者アンドレイ・コルモゴロフになったつもり」で数学の問題を解かせると、やはり得点がアップすることも確認しています。

さらには、「アメリカのチェスプレーヤーのポール・モーフィーになったつもり」でチェスをやらせると、チェスの腕前があがってしまうことも突き止めています。

ダラダラと仕事をしている人は、自分で仕事をしようとしているのが問題なのです。

自分ではなく、他の人になりきりましょう。そのほうが、仕事もスイスイこなせるようになりますから。だまされたと思って、仕事ができる人になりきってください。

モデル(手本)のまねをするのはよいことですよ。

昔の人たちは、みなこれをやっていました。今のように、先輩や上司が丁寧に仕事を教えてくれることはなかったので、仕事の技は「見て盗む」しかなかったのです。

内藤誼人『ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)
内藤誼人『ダラダラ時間をリセットする最新心理学BEST60』(春陽堂書店)

先輩や師匠がやっていることを見よう見まねでやりながら、手本の人物と自分を重ね合わせながら仕事をすることで技量を磨いたのです。

やる気が出なくて、ついついダラダラしてしまう、という人は、エネルギッシュな人になりきるようにしてみてください。

燃える闘魂と呼ばれたアントニオ猪木さんになったつもりになれば、自然と全身に力がみなぎってきて、仕事への取り組みも熱くなるような気がするのですが、どうでしょうか。

ただ何となく仕事を開始するより、「私は○○だ!」「私は○○なんだ!」と10回くらいつぶやいてから始めたほうが、明らかに仕事の能率や生産性も変わってきますよ。

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内藤 誼人(ないとう・よしひと)
心理学者
立正大学客員教授、有限会社アンギルド代表取締役社長。慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ心理学系アクティビスト。趣味は手品、昆虫採集、ガーデニング。『すごい! モテ方』『すごい! ホメ方』『もっとすごい! ホメ方』(以上、廣済堂出版)、『ビビらない技法』『「人たらし」のブラック心理術』(以上、大和書房)、『裏社会の危険な心理交渉術』『世界最先端の研究が教える すごい心理学』(以上、総合法令出版)など著書は200冊を超え、、近著に『めんどくさい人の取扱説明書』(きずな出版)がある。

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(心理学者 内藤 誼人)

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