うなずく"深さと速度"が絶妙すぎる…成績最上位「5%」セールスの言動をAI分析して判明した儲かる聞き方
プレジデントオンライン / 2023年6月21日 11時15分
※本稿は、越川慎司『AI分析でわかった トップ5%セールスの習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。
■成績最上位「5%セールス」の61%は「プレゼンが苦手」
トップの営業成績を残す人は華麗なプレゼンテーションをするものだと思っていました。しかし、実際には人前で話すと緊張する人が多く、プレゼンテーションは苦手であると答える5%セールス(※)は全体の61%もいたのです。
※「5%セールス」=3年連続で目標を達成し続けて、かつ社内の営業成績がトップ5%に入っている人
一方、95%セールス(※)の中でプレゼンが苦手であると答えたのは27%しかいませんでした。単純にこの調査結果からすると、「プレゼンが得意=営業成績が良い」という因果関係はないようです。
※「95%セールス」=5%セールスではない人
顧客へのヒアリングで分かったのは、5%セールスは話し上手というより聞き上手ということです。同じ社内で同僚にランダム・ヒアリング(対象者および回答者を無差別にピックアップして調査)をすると、78%の回答が「あの人は聞き上手」と答えていました。
話を聞いてくれるセールスは、顧客にとって好印象です。言いかえれば、聞き方一つで相手に好印象を持たせることができるのです。
では、聞き上手とは、どういうことでしょうか。
■うなずく“深さと速度”が絶妙すぎる
そこには、テクニックや相手との関係性といったものもあるでしょう。
しかし、顧客や同僚から「聞き上手」と評価されるのは、それだけではありません。相手に好印象を与えるポイントは、「聞いている姿を相手に見せること」にあるのです。
情報のほとんどは目から入ってくるといわれています。5%セールスはその視覚を使って、「(相手の話を)しっかり聞いていますよ」と、相手に見せているのです。5%セールスは、深くうなずき、あいづちを打ち、相手が話しているのをさえぎって話すことは決してしないようにしているそうです。
拙著『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』でも、5%リーダーは一般の管理職の方に比べて、3.5~4センチ以上うなずきが深いという話を紹介しました。5%セールスは、うなずきが深いというより、ゆっくりなのだそうです。
うなずきがゆっくりだと、共感を示していることが伝わり、相手が安心するのです。特にまだ関係性が浅い相手との対話においてゆっくりうなずくことが多いそうです。
さらに、5%セールスはメモをとっている姿を見せます。
パソコンやスマホでメモをとることはできますが、文字入力の動作は相手に冷たく見えてしまうことがあります。また文字入力のキーボードを打つ音がうるさい印象を与える可能性もあります。
そこで5%セールスは、目の前でノートを広げてメモをとる様子を見せていました。パソコンでメモをとるときは、相手に許可をとっていました。許可をとらずにメモをとると、違う仕事(=内職)をしているのではないかと疑われてしまうからです。
「今すごく大切なことをおっしゃったので、メモをとらせてもらってよろしいですか?」
このような一言を発するだけで、相手に興味・関心を持っていることを理解させることができます。うなずきやメモをとるシーンが見えることで、心を傾けて「聞いている」ことが伝わり、相手も心を開いてくれるのです。
■5%セールスの75%は「ラッキーパンチ」で大型案件獲得
多くのセールスがラッキーパンチを経験しています。ラッキーパンチとは、ボクシングの試合で弱い選手が出したパンチがたまたま強い相手にクリーンヒットして、ダメージを与えることです。転じて、自分の実力と関係なく、タイミングや運で大型案件を獲得することをいいます。
さほど重要視していなかった顧客から高額な一括発注をいただいたり、ふらっと店舗に立ち寄った顧客が高額商品を即決購入してくださったりするようなケースです。5%セールスにもラッキーパンチはあります。5%セールスの75%は、運で獲得した大型案件があると言っていました。
5%セールスが「運」を味方につけるためにやっていることを、ここでは2つ紹介します。
■セレンディピティを獲得するために行動を増やす
5%セールスは、偶然のラッキーを“必然”にすることに注力していました。
ここでセールスにおけるラッキーパンチとはどんなものか、もう少し具体的に見てみましょう。たとえば、トップセールスの“おこぼれ”です。
部門の業績に大きなインパクトを与える重要商談は、社長同士のトップセールスによってもたらされたもの、もしくは会社の業績に目をつけた大手企業側から問い合わせが来たものです。後者は代表電話や会社ホームページへ連絡が来ることがあります。
こうした大型商談を成功させれば大きな売り上げが見込めますし、単なる個別商談ではなく会社間の業務提携に拡大すれば、長期間に渡り安定した売り上げを獲得できます。
このような社長同士のやりとりや代表電話によって受けた商談は、各社のトップ5%セールスが対応することが多く、それが彼らの「連続成果」に繋がっているケースが多数ありました。
5%セールスへのアンケートによると、こうしたトップセールスや業務提携に関する初期対応を経験した5%セールスは79%いました。そうした大切な商談を任せてもらえるのは、それまで信頼を積み重ねていたからだと、5%セールスの人たちは教えてくれました。
入りたての新人や、成績が良くないメンバーに重要な商談を任せることはありません。商談成約率のアップダウンが激しくなく、着実に実績を積み上げていた人に「重要商談」が降ってくるのです。
このように向こうから降ってきたような幸運を「セレンディピティ」といいます。5%セールスは、安定して成果を出しつつも、セレンディピティで大型案件を手にしていました。
セレンディピティを引き寄せるために、普段から信頼を積み重ねていたのです。そして、セレンディピティに気づくように意識していたそうです。
また、5%セールスはセレンディピティを増やすために、成功をイメージしながら行動量を増やしていくことを意識しているそうです。たとえば、オンラインセミナーに参加して、参加者同士で情報交換する。
社内の懇親会に参加して、普段話さない部門の人に話しかける。打算的な活動をするというよりは、行動量を増やして、接する人を多くすることで、人からもたらされる「セレンディピティ」を獲得しようとしていたようです。こうした行動量を増やす動きは、各社の5%セールスに共通する習慣でした。
■セレンディピティを獲得した「後」の行動で差をつける
5%セールスの75%は、運で獲得した大型案件があると言っていたと先ほどお話ししました。しかし、実はトップ5%よりもトップ20%セールスのほうがラッキーパンチの比率はむしろ高かったのです。
調査したところ、5%セールスと20%セールスの違いは、ラッキーな案件を獲得した「後」の行動にありました。
5%セールスは、ラッキーな案件を獲得したら、その幸運がどうやってもたらされて、再び幸運を獲得するにはどのような行動をすべきかを考えていたのです。
たとえば、製造業でラッキーな案件を獲得した5%セールスは、同じ製造業の他の潜在顧客にも提案するという新たな試みをしていました。
5%セールスは、再現性が高い「勝ち筋」を見つけることに注力しています。ラッキーな案件にも「勝ち筋」があると信じ、小さな行動実験をしていたのです。5%セールスの人たちは、成功をイメージしながら行動量を増やすことでセレンディピティを獲得していました。
そして獲得した後も、ただのラッキーパンチに終わらせることなく、再現性を高めるための行動実験を行っていたことが分かったのです。
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株式会社クロスリバー代表
元マイクロソフト役員。国内および外資系通信会社に勤務し、2005年に米マイクロソフト本社に入社。2017年にクロスリバーを設立し、メンバー全員が週休3日・完全リモートワーク・複業を実践、800社以上の働き方改革の実行支援やオンライン研修を提供。オンライン講座は約6万人が受講し、満足度は98%を超える。著書に『AI分析でわかったトップ5%リーダーの習慣』、『AI分析でわかったトップ5%社員の習慣』(共にディスカヴァー・トゥエンティワン)、近著に『29歳の教科書』(プレジデント社)がある。
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(株式会社クロスリバー代表 越川 慎司)
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