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これを言うだけで相手からの好意が爆上がりする…日本人だけが口にする"感謝の念"を表す「パワーワード」

プレジデントオンライン / 2023年8月4日 7時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Boogich

応援される人は何をしているのか。プロ司会者で作家の鹿島しのぶさんは「どんなに能力がある人でも、部下や同僚の協力がないと仕事は成り立たない。周囲の人から好意を集めて応援される人は、常に意識のなかに感謝の念を持ち、日本人の美徳を表す『おかげさま』という言葉を口にする」という――。

※本稿は、鹿島しのぶ『小さな感謝 人生を好転させる一番簡単な方法』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■「感謝」を口にできない人はやがて淘汰される

ビジネスシーンにおいても感謝の言葉は大切です。

なぜなら、感謝の言葉をしっかり口にできるかできないかで、周囲の人があなたに向ける評価が大きく変わってくるからです。

たとえば企業においては、部下は上司の指示で動くのが基本です。そもそも自分ひとりですべてを切り盛りしている個人事業主なら話は別かもしれませんが、企業における仕事は、多くのスタッフとの協業のうえに成り立っており、どんなプロジェクトであれ、上司からの指示がないまま、部下が勝手に仕事を進めることは、ほとんどあり得ません。

つまり、どんなに能力がある人でも、部下や同僚の協力がないと仕事は成り立たないのですから、仕事をするうえで、常に意識のなかに、仲間に対する感謝の念を持っていなければ成功は望むべくもないのです。

にもかかわらず、なかにはどうしてもそれができない人(仲間への感謝の念を持てない人)がいます。

そして、何人か部下を抱えるようになったとたんに、「俺は部下に仕事を与えてやっている、面倒をみてやっている」と思い込む人が出てくるのです。

それは日ごろの態度に必ず出ます。部下に対して傲慢な態度で接し、プロジェクトがうまくいっても、それを当然のこととして、「ありがとう」のひとこともいえないのです。

でも、そこで厳しい評価が下されます。そんな上司についていく人はいないでしょう。あくまで仕事だから表面的に従うことはあっても、意気に感じて積極的に動いてくれたりはしません。

つまり、感謝の言葉を口にできない人は、けっして“人望=評価”を得られません。そういう人間は、厳しい言い方をしますが、やがて淘汰され、消えていくのです。

■「お疲れさま」だけでは言葉が足りない

逆に、仲間に感謝の気持ちをきちんと言葉にして伝えられる人は、それだけでまわりからの人望を集め、徐々に評価を高めていきます。

組織のなかでは、仕事の能力ばかりで評価が決まるわけではありません。むしろ、上に行けば行くほど、「感謝」をベースにした人望力のほうが重視されることが多いのが現実です。

そうしたことを考えると、「みんながいてくれるから自分の存在がある」という事実をしっかりと自覚したうえで、感謝することをけっして忘れてはいけないということになります。

私事ですが、私は司会の仕事をしており、プロダクションも経営していますので、所属する司会者に仕事の依頼をしています。仕事が終わったという報告があった際には、必ず「お疲れさまでした。ありがとうございました」というようにしています。

「お疲れさまだけでは足りない」と思っているからです。

「感謝の言葉も添えないと、自分の本心は伝わらない」と思っているからです。

私にできることは「お疲れさまでした」に加え、「ありがとうございました」と、心を込めたひとことを添えることくらいです。

でも、そのひとことで私の思いが伝わり、次に仕事を頼んだときにも喜んで引き受けてくれたらうれしいし、ありがたいのです。

実際、私は、そんな関係をたくさん築くことで、おかげさまでプロの司会者として仕事を続けてこられたのだと自負しています。

あなたも、「ありがとう」で、もっと信頼の輪を広げていきませんか?

■「小さな感謝」を積み重ねる

感謝の気持ちを表すにはいろいろな方法があります。

何かお世話になったときに、感謝の思いを込めたお礼の手紙を書くのもいいでしょう。手紙では大げさだと思えば、メールやSNSでメッセージを送ってもいいと思います。

また、それこそ本当に助けてもらったときは、感謝の気持ちをきちんと形にして、お礼の品を贈ってもいいでしょう。

黄色い花を手渡す親子の手
写真=iStock.com/Hakase_
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hakase_

でも、それよりもいいのは、ここまで書いてきたように、感謝の気持ちをきちんと言葉にして伝えることです。私は、それが基本であり、繰り返しますが、「小さな感謝の積み重ね」が何より大切だと思っています。

私は、司会の仕事でいろいろな会場に出かけますが、どこに行っても、クロークやバックヤードで仕事をしている方々にも、努めて「ありがとうございます」というように心がけてきましたし、いまも心がけています。

司会の仕事とは直接関係していないとしても、いっしょに会場で仕事をしている大切な仲間だと思っているからです。

そして、そんな人たちから思いもかけない大きな仕事をいただいたことは一度や二度ではありません。

■「凡事徹底」がチャンスを引き寄せる

ホテルのバックヤードで、トイレの掃除をしていた高齢の女性スタッフさんに「いつも、きれいにしてくださって、ありがとうございます」とごあいさつして以来、言葉を交わすようになっていたのですが、じつはなかなかのキャリアの持ち主で、その後、その人のプッシュで仕事をいただいたこともあります。

そんな体験もあって、私は、つくづく「小さな感謝の積み重ねを大切にするべきだ」と思っています。

「凡事徹底」という言葉がありますが、なんでもないようなあたりまえのことを徹底的に行なうことを意味し、私は感謝するというのはまさにそうあるべきだと思っています。

そもそも感謝とは、自分を振り返り、いかにたくさんの人の存在のうえに成り立っているかを自覚することから生まれる“あたりまえの感情”であることは、これまで書いてきたとおりです。

そのあたりまえのことを、日々徹底して、言葉にしたり、行動にしたりして示していくことが大切なのではないでしょうか。

夜の宇宙から日本と中国への地球観覧。
写真=iStock.com/imaginima
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/imaginima

■見せかけの「ありがとう」は必ず見透かされる

残念なのは、見せかけの感謝の言葉を口にすることです。心のこもっていない「ありがとう」は誰の心にも響きません。

たとえば、上司に対しては忠実ぶりを発揮するくせに部下に対しては横柄な人、あるいは社会的地位のある人にはひたすらおもねるくせに、そうでない人は歯牙にもかけない人の「ありがとう」をあなたは信じることができますか?

信じられないと思います。表情、態度、話しぶり……見せかけの「ありがとう」は必ず見透かされます。

感謝の気持ちの根底にあるのは、相手への敬意、リスペクトする心です。上下関係にとらわれず、性別や年齢に関係なく接すること、その姿勢が大切です。

人生を好転させたかったら、なんでもないような小さな感謝を凡事徹底し、積み重ねていくべきなのです。

それを実践している人のまわりには“信頼の輪”が広がっていきます。

そして、その信頼の輪はさまざまなチャンスを引き寄せてくれるでしょう。

■日本人の美徳「おかげさま」はパワーワード

感謝の気持ちを伝える際のパワーのある言葉として、「おかげさま」を挙げたいと思います。

「おかげさま」は、他人から受けた助力や親切に対して感謝の気持ちを表す言葉です。

漢字で書くと、「お陰様」ですが、「陰」とは、神仏などの偉大な存在を示しており、「神仏の陰の下で庇護を受ける」ことに、敬称(様)をつけて「おかげさま」となったようです。

日本の仏像
写真=iStock.com/wesvandinter
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/wesvandinter

つまり本来は、利益や成功があったときに「神仏から恩恵を受けた」という意味で使用されていた言葉なのです。

日本人は古くから、この「おかげさまで」という言葉を日常的に使ってきました。

いまでも地方に行けば、たとえば道ですれ違ったときなどに「おかげさまで暖かくなってよかったですね」などと会話しているのをよく耳にします。

暖かくなるかどうかは気象現象にすぎないのですから、別にありがたがることはないはずですが、自然に対しても感謝しているのです。

これは、四季に恵まれた島国の自然とうまく調和して生きてきた日本人の特質だと思いますし、このように森羅万象に感謝の念を抱けるのは、日本人の美徳ともいえるでしょう。

■世界各国の感謝の言葉は実利的

この「おかげさま」(感謝を表す言葉)を英語にすれば「thank」、ドイツ語にすれば「danke」、フランス語にすれば「merci」になります。

ちなみに、「thank」は英語の「think」(考える・思う)に由来しているもので、「danke」も同様に、ドイツ語の「denken」(考える・思う)に由来しているそうです。

そういう意味では、まず“人ありきの言葉”といっていいでしょう。

おもしろいのはフランス語の「merci」です。これは、ラテン語の「merces」が語源だそうですが、本来は「報酬」という意味だったとか。それが中世になって神からもらう「恵み・慈悲」を意味するようになり、転じて感謝を表すようになったものだそうです。

「おかげさま」と比べると、もともとはずいぶん実利的な意味合いの強い言葉だったようです。

「thank」「danke」「merci」など、世界各国に感謝の言葉はありますが、私には、「おかげさまで」という言葉には、明らかに“相手に対するより謙虚な気持ち”が込められているように感じます。

■好意を持ってくれる相手に対し、自分も好意を抱く

それはさておき、この「おかげさま」という言葉は、日本ではいまも生きていくうえで便利なコミュニケーションツールのひとつとなっており、ビジネスシーンでもよく使われています。

たとえば、何かのプロジェクトが終わったときの報告に、「おかげさまで、無事にプロジェクトを終えることができました」と、「おかげさま」とひとこと添えるだけで、相手に感謝の思いを伝えることができます。

鹿島しのぶ『小さな感謝 人生を好転させる一番簡単な方法』(三笠書房)
鹿島しのぶ『小さな感謝 人生を好転させる一番簡単な方法』(三笠書房)

さらに「ありがとうございました」を添えて、「おかげさまで、無事プロジェクトを終えることができました。ありがとうございました」とすれば、感謝の思いを伝える文書としては完璧でしょう。

仮に、「無事にプロジェクトを終えることができました」という事務的な連絡を受けた場合、相手は、ただ「そうか、終わったんだな」と事実を認識するだけに終わってしまうでしょう。

しかし、「おかげさま」を添えた文書を受け取った人は、感謝されていることに満足感を覚えますし、自分が好意を抱かれていることを認識します。

自分に好意を持ってくれる相手に対し、自分も好意を抱くのはいうまでもありません。逆にいえば、きちんと感謝の思いが伝わってこそ、相手もシンパシー(共感)を感じ、「これからも応援してあげよう」と思うようになります。

だから、「おかげさま」が大切なのです。

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鹿島 しのぶ(かしま・しのぶ)
プロ司会者、作家
白百合女子大学文学部英語英文学科卒業後、会社員を経てプロの司会者として活動を開始。(株)総合会話術仟言流の代表を務め、ブライダルプランナーの役割も兼ね備えたプロ司会者の育成にも力を注いでいる。また、2017年まで駿台トラベル&ホテル専門学校ブライダル学科長を務め、ブライダル関連、接遇会話、ビジネスマナーの授業を担当した。『「また会いたい」と思われる人』『「品がいい」と言われる人』『99%人に好かれる「礼儀正しい人」』(以上、三笠書房)など著書多数。

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(プロ司会者、作家 鹿島 しのぶ)

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