「今日も暑いですね」「そうですね」で沈黙してしまう…雑談が苦手な人にお勧めの必ず盛り上がる質問フレーズ
プレジデントオンライン / 2023年8月21日 8時15分
■なぜ「雑談が苦手」と感じてしまうのか
仕事でもプライベートでも、雑談はなかなか避けることができません。特に職場での雑談は、直接仕事に関係するわけではありませんが、協力関係を築いたり、人間関係を円滑にして、今後仕事の話を進める土台を作るうえでも役立つことがあります。雑談が苦手だと、こうしたメリットを得られないだけでなく、人と交流するのが憂鬱(ゆううつ)になったりしてしまいます。
「雑談が苦手」と感じる理由は、大きく2つあります。
一つは「人からどう思われているか」が気になってしまうから。
話しているときに、相手の反応が少しでも悪かったり、笑顔がなかったりすると「自分のことが嫌いだからではないか」「何か気に障ることを言ってしまったのではないか」と心配になるのです。相手の反応に過敏になり、緊張するので疲れてしまい、つい、会話を避けるようになってしまいます。そのために経験が積めず、余計に苦手意識が強くなってしまうという悪循環に陥ります。
もう一つは「人との交流が苦手」というケースです。
新しい環境の中で人と交流することや、初めて会った人と話すことは、誰でもある程度の苦手意識があるものです。しかし、その苦手意識が強いと、こちらから交流することができず、話しかけられるのを待つばかりになる。自分から輪の中に入っていくことができないので、なかなかなじめず、孤立しやすくなります。
■人は自分のことをそれほど見ていない
雑談が苦手な人は、これら二つのいずれかか、両方に当てはまる人が多いと思います。いずれも「ありきたりなことばかり言う、面白みのない人と思われているんじゃないか」「変な人だと判断されるのではないか」といったプレッシャーやストレスを感じています。人から判断されることに対する恐怖心があるのです。
ですから、まずお伝えしたいのは、「人はそれほどあなたのことを見てはいない」ということです。みんな自分のことに精いっぱいで、雑談でほかの人が何をどんなふうに言ったかというところまで、気にしていたり、覚えていたりすることはありません。そこに気づいてほしいと思います。
試しに、隣の席の同僚が、昨日どんな柄のネクタイをしていたか、何色のズボンやスカートを履いていたか、思い出してみてください。うろ覚えだったり、全く覚えていない人も多いと思います。そんなものなのです。
それを頭に入れたうえで、雑談に苦手意識がある人への、簡単な雑談のテクニック四つをお伝えしましょう。
1 共通の話題で質問する
まずは、仕事の質問をすることをお勧めします。雑談は、お互いにとって共通の話題だと、会話が続きやすくなります。会社で共通の話題といえば、仕事の話ですから、上司や同僚には業務上でわからないことや、気になったことについて、質問するといいでしょう。
仕事の質問をすると、仕事に対する意欲を表すことにもなります。また、質問された方は、「頼られている」と感じられてうれしい気持ちになるものです。会話も続き、相手との距離も縮まるはずです。
取引先での雑談も同様です。たとえば、会社のホームページをあらかじめチェックしておき、「御社は大阪にもあるんですね。当社も大阪に支店があるんですよ。大阪にはよく行かれるんですか」など、共通点を見つけてそこから質問をしていきます。質問をすると、自然に会話がキャッチボールになりますし、共通点が起点になっているので、親しみも持ってもらいやすいでしょう。
2 自分の感情を載せて話す
2つ目のポイントは、感情を載せることです。
会話が続かない、盛り上がらないという人は、例えば「いい天気ですね」「そうですね」で話が終わってしまう傾向があります。単なる情報の共有になっていて、自分の感情を載せた言葉が伝えられていないからです。
ただ、「晴れている」「曇っている」という情報を伝え合うだけでなく、それに対して自分がどう感じたのか、どう思ったのかを伝えてみましょう。自分の気持ちを開示すると、相手が自分に興味を持ってくれるきっかけになります。
最初は、「うれしい」「あまりうれしくない」「好き」「あまり好きではない」などの気持ちを載せるところから始めてみてはどうでしょうか。「いい天気ですね」と言われたら、「本当にいい天気ですね。僕は釣りが好きなので、こんなに天気がいいと、釣りに行きたくなってしまいます」「そうですね。でも私は汗かきで、すぐあせもができてしまうので、天気がいいと憂鬱になってしまうんです」などと返してみる。そうすると話題に広がりが生まれ、会話が盛り上がりますし、あなたに対して、より親しみを感じてもらえるようになるはずです。
■雑談上手は話題をどんどんふくらませる
3 「受け止め」⇒「質問」で話題をふくらませる
1や2ができるようになったら、ぜひ、話題をふくらませながら会話をつなげるようにしてみてください。
雑談がうまい人は、相手の話をどんどんふくらませながら会話を展開してくのが上手です。
たとえば「いい天気ですね」と話しかけられた場合、「最近はいい天気が続いていますよね。週末はどこかに行きましたか?」と関連する質問で返してみる。「友達と釣りに行きました」と言われたら、「気持ちがよさそうですね」などと受け止め、重ねて「よく行かれるんですか?」「何が釣れましたか?」「どのあたりに行ったのですか?」「釣れた魚はご自分で料理されますか?」など、質問を重ねます。
■「自分が話す」よりも「相手に話させる」ことを意識
相手の答えを受け止めるだけだと、そこで会話が終わってしまうので、その都度、質問を追加していきます。そうすることで、会話のキャッチボールが自然に続きます。
対人緊張が強く、雑談に対して苦手意識がある人は、「自分が話さなくては」「相手を楽しませることを言わなくては」と思い込んでいる人が多いように思います。しかし実際はそうではなく、雑談のうまい人は、自分が話しているようで、実は相手にうまく話させています。その割合は、自分:相手=4:6、あるいは3:7ぐらいです。必ずしも「話し上手」になる必要はなく、「話させ上手」「聞き上手」になることを意識するとよいでしょう。
ただ、相手の答えを受け止めることなく、脈絡のない質問を続けていると、質問というよりも尋問になってしまうので注意が必要です。極端な例を出すと、「出身はどこですか?」と聞いて「○○県です」という答えを聞いたあとすぐに「好きな食べ物は何ですか」「何かスポーツをやっていますか」など、別の質問を重ねたりすると、聞かれた方は不快な印象を持ちます。特に緊張している時は、相手の話が耳に入らず、こうした尋問調になりやすいので気を付けましょう。
4 仲良くなったら相違点を話題にする
まだあまり打ち解けていない会社の上司や同僚、初対面の取引先などが相手の時は、仕事のことや天気の話題など、共通の話題で雑談をするのがいいでしょう。でも、会う回数が増えて距離感が近くなってきたら、共通点よりも、相違点を話題にすると話が盛り上がり、より相手との関係を深めることができます。
たとえば「週末に何していました?」と聞いて、相手が「キャンプに行ってきました」と答えたら、「私はインドア派なので、キャンプは行ったことがないんです。キャンプのどんなところが面白いですか?」と返してみるのです。
お互いの違いを見つけ、「なぜ違うのか」を深めることで、お互い、相手のことをより深く知ることができます。
仕事の話ばかりだと、ビジネスライクになりすぎて、建前ばかりで本音を話すことができるようになりません。腹の探り合いになり、緊張関係が続いてしまいます。雑談をはさむことで、一気に人間関係がスムーズになることは多いので、ぜひこれら1から4を試してみてください。
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産業医・精神科医
産業医・精神科医・健診医として活動中。産業医としては毎月30社以上を訪問し、精神科医としては外来でうつ病をはじめとする精神疾患の治療にあたっている。ブログやTwitterでも積極的に情報発信している。「プレジデントオンライン」で連載中。
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(産業医・精神科医 井上 智介 構成=池田純子)
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