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お店選びで「飲み放題だから」は三流、「雰囲気がよい」は二流、では一流は?…周囲から評価される「伝え方」

プレジデントオンライン / 2023年8月30日 19時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/K2_keyleter

組織や人から許可をもらうためには、どうすればいいか。人材育成コンサルタントの吉田幸弘さんは「たとえば部署の交流会で店選びを任されたとき、その店を選んだ理由をどう伝えるか。『雰囲気がよい』では相手は納得しない。自分主体ではなく相手主体の言葉に置き換え、客観的な理由を添えられるといい」という――。

※本稿は、吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

■相手視点で理由を伝え「やらされ感」を払拭する

人は理由がないものに対しては納得せず、「やらされ感」を持って動く人も多い傾向にあります。ですから理由はしっかり伝える必要があります。

この場合、主観的な理由ではなく客観的な理由にする必要があります。

自分視点ではなく相手視点で考えましょう。

例をあげましょう。

・ランニングコストが安くなる
・入力業務に3日とられていたのが1日で済むようになった
・組織として時短になる

これら3つの理由は相手(組織)のためです。

ですので、仮にこの理由をあげてサービスを導入してほしいといえば、組織も腰を上げてくれるでしょう。

ここで1つの例として、外部のタイムマネジメント研修を受講したいとします。

その際、次のような理由をあげたとします。

①自分がラクになる
②早く帰れる
③自分が学びたい

しかし残念ながらこの理由では上司もOKしないでしょう。

組織としても上司としてもメリットを感じないからです。

この場合、組織・上司としての視点の理由にしなければなりません。

それでは修正した例をあげていきます。

①他の業務に時間を使え、心身が健康になり、集中力がつく
②残業がなくなり、働き方改革につなげられる〔早く帰ってクリエイティブなこと(デザインスキル)を学べる〕
③チームメンバーにもシェアして生産性を高めたい

これなら上司も許可してくれるでしょう。

■相手主体にすると伝える内容も変わる

他にも例を見ていきましょう。

【要望】ホームページの運営会社を変えたい
【自分主体の理由】
①知り合いでやりやすい
②今使っている会社のサービスが良くない

この場合は次のように変更します。

【相手主体・客観的な理由】
①ランニングコストが下がる
②契約を結びたいホームページ会社が問い合わせ件数を増やしている実績がある
ソーシャルメディアマーケティングのイメージ
写真=iStock.com/jadamprostore
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jadamprostore
【要望】次の部署の交流会は表参道にあるイタリアンレストランC店にしたい
【自分主体の理由】
①店の雰囲気がよい
②飲み放題メニューがあり、たくさん飲める
③何か楽しいことをしたい

②の理由は一見、よいと思えるかもしれませんが、お酒を飲めない人もいます。

理由を相手主体に変えましょう。

【相手主体の理由・客観的事由】
①個室でゆっくり話せる
②価格が一定だから安心
③交流を図った方がいい

■相手に刺さる根拠となるデータの使い方

根拠となるデータはどのようなものがいいのでしょうか。

まずは効果のある順番に触れていきます。

①聞き手(相手)がすでに信じている人のデータや意見

たとえば部長を説得したいケースで、部長が社長の言っていることを絶対だと思っている場合、「社長が〇〇と言っていた」と伝えれば反対しないでしょう。

たとえば、採用活動の一環として、応募者への自社紹介を目的としたYouTubeチャンネルを開設したいと思っているとします。

しかし、YouTubeを開設する場合、動画編集を外注するためコストがかかります。

また、実際にやってみなくては視聴者が観てくれるかわかりません。

仮に観てくれる人がいたとしても、応募してくれるかわかりません。

一方で部長は、従来通りに求人情報媒体Aを使った方がコストも安いし、手軽だと思っているとします。

この場合、まずは社長がYouTubeを開設するといいと言っていたと伝えましょう。

そのうえで、社長の言葉を次のように伝えます。

「社長が言っていたのですが、経営者仲間Bさんの会社で、YouTubeに力を入れてから、自社にピッタリの人材が応募してくるようになったそうです。

事前にどんなメンバーがいるか、1日の仕事の様子がどんなものかなど実際に働いている様子がわかるからです。自分に合っているかがわかるのが大きいと入社したメンバーも言っているそうです。

『入ってみたら、思っていた職場と違っていた』といったギャップもないので離職もしなくなったようです。

何より、番組を通じて自社のファンである人が入ってくるのでモチベーションも高いそうです」

このように伝えれば、部長もYouTubeを開設することを承諾してくれるでしょう。

他にも、「部長がよく読むビジネス情報誌Aに『YouTubeで採用に成功した』と情報が書いてありました」などと伝えるのもいいでしょう。

部長の信用する人物、媒体や書籍、ニュースを意見の裏づけとして使うのです。

話を通したい人が参考にしている人物、本、媒体などを把握しておけば、意見を通したい時のデータとして活用できます。

■話の内容よりも「誰が言ったか」を重視

②権威あるデータや意見

「国や官公庁、○○研究所の調べによると……」という話は伝える人である本人が経験したものや調べたものより効き目があります。

ただし、この場合、相手になじみがあるデータでないとダメです。

仮に「私がこの前交流会で知り合った、業績を大きく伸ばしている武田物産(仮名)の伊藤社長が言っていたのですが」と言っても、伊藤社長を信頼するかどうかは聞き手が決めることです。

また、目新しいデータだからいいとも限りません。

そのデータを出しているのが信頼に値するところかどうかが大事になってきます。

③自分自身の行動に基づいたデータ

この場合、自分が信頼に値するような業績を上げているかどうかが大事になってきます。人は話の内容よりも「誰が言ったか」を重視します。

同じ内容であっても常に目標を達成している営業マンAさんの意見と、目標未達が数ヵ月続いているBさんの意見では、当然信憑性も変わってくるでしょう。

もちろん、上司としてはBさんの意見も聞く必要があります。

Bさんの意見が実は有用かもしれないからです。

しかしわかってはいても、業績が伴っていない人の意見は疑いたくなることもあるでしょう。

ですから、仮に意見を出す人が目標未達で結果を出していない場合、「私の考えでは」「私の所感では」「私の印象では」といった自分にしか裏づけがない根拠は説得力が落ちるので避けた方がベターです。

■材料となるデータを探す3つの方法

では自分でデータを探すにはどうしたらいいか。

①それ自体に注目してデータを探す

たとえばAというクラウドシステムを導入したいなら「Aを使った同業他社の意見」などを伝えるといいです。

これは権威ある人物よりむしろ現場に近い人間の意見がいいでしょう。

②「似たもの」に注目して根拠を探す

仮にAという商品がこれから発売であったり、まだ発売後間もない状態でデータが少ないならば、似ている既存商品をデータとして探しましょう。

Bというクラウドシステムを利用した例や、クラウドを使ったことによる「時短」に関する記事でもいいです。特に有名なメディアは効果があります。

③「反対のもの」に注目して根拠を探す

使わないことによるデメリット、使っていないことによるマイナスを探します。

吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)
吉田幸弘『部下も上司も動かす 武器としての伝え方』(自由国民社)

ある仕事をA社に発注したいけれども、B社を使っているという場合は

「B社のデメリット>A社のメリット」になるものを探してくればいいのです。

「B社を使うと、印刷物の色味が良くない」とか「発色が出ていない」などのケースをあげるのです。

または、A社の安全性を前面に出すことも有用です。たとえば、返品交換できるなどもアピールの材料になるでしょう。

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吉田 幸弘(よしだ・ゆきひろ)
人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー
1970年生まれ。大学卒業後、大手旅行会社、有名学校法人を経て外資系企業へ転職。そこで周囲のメンバーとうまくコミュニケーションが取れず、降格人事を経験する。その後、異動先で出会った上司より「伝え方」の大切さを教わり、「ポイントを絞ってわかりやすく伝える方法」を駆使して、劇的に営業成績を改善。社外でも営業コンサルタント・人材育成コンサルタント・コーチとして活動し、2011年1月より独立。現在はさまざまな業種のビジネスパーソン向けに、人材育成、チームビルディング、生産性向上、コミュニケーション術の方法を中心としたコンサルティング活動及び1on1コーチング、講演、研修等を実施している。累計の受講者数は3万人を超えている。

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(人材育成コンサルタント・コミュニケーションデザイナー 吉田 幸弘)

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