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「塾のカバン」を見るだけでわかってしまう…中学受験のプロが教える「学力が高い子供の特徴」

プレジデントオンライン / 2023年10月29日 10時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Choreograph

学力が高い子供はどこが違うのか。教育コンサルタントの渋田隆之さんは「鞄や筆箱、机のまわりが整理整頓されている子が多い。自己管理ができていると、自然と身のまわりに無駄なものがなくなる」という――。

※本稿は、渋田隆之『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)の一部を再編集したものです。

■「やる気」に頼らず勉強を習慣化する

「塾の小テストが空欄ばかりで頭を抱えました」
「勉強中、子どもが麦茶を飲みにきただけでイライラしてしまいます」
「こっそりノートを見てみたら、落書きばかりで情けなくなって……」

いつまでも宿題をやらない、机に向かわないわが子の様子を見てなげき、成績が悪くても他人事のような表情を見ると、「この子は受験に向いていないのでは?」という気持ちにもなります。しかし、順位や偏差値を見て奮い立ち、やる気を出せる生徒なんて、ほんの一握り。いても、保護者の前だけの演技だったりします(たまに、演技派の子役がいるので要注意です)。

中学受験は長期間の戦いになります。

子どものやる気のあるなしを気にするより、お風呂に入る、歯を磨くといったことと同じように、勉強を習慣化してしまうのが最強です。最初は、朝ごはんまでの20分、お風呂の前の15分など、負担にならないくらいの時間で1日の予定に組み込むくらいでよいでしょう。

保護者としても、やる気がない子に「きちんとしなさい」「早くやりなさい」と叱るよりも、学習習慣を作り、環境を整えるという視点を持ったほうが、建設的ですし、ストレスが減るはずです。

■「ほめて育てる」と「本気で一喝」の二刀流

勉強を習慣化するといっても、そうかんたんではありません。3歩進んで2歩下がるくらいの地道な進歩です。しかし、長い目でとらえると、学習習慣をつけるということは一生の財産になります。焦らず、勉強の習慣化を中学受験の最終的な目的の一つにしてもよいのではないでしょうか。

長年の経験から思うのは、子どもには「ほめて育てる」と「本気で一喝」の二刀流で接するのが正解だということ。ここでは、子どもをなかなかほめられないという場合におすすめの方法をお伝えします。

まずは、保護者が子どもの様子をプラスにとらえる「習慣」をつけること。とくに、マイナスの言葉が出そうになったときには、次のように楽しみながらプラスの言葉に言いかえることが大切です。

・「性格が暗い」→「落ち着きがある」「大人びている」
・「うるさい」→「元気がいい」「ボキャブラリーが豊富」
・「幼稚」→「純粋な気持ちを忘れていない」「子どもらしい」
・「三日坊主」→「三日間も集中して物事に取り組むことができる」
・「行動が遅い」→「しっかりと考えてから行動できる」
・「せっかち」→「行動力がある」「時間に敏感」

■「ボージョレヌーボー的ほめ言葉」

「子育てのポイントは何ですか?」という質問に、ミッション系の学校では、「マリアさまがイエスを育てたのと同じように、子どもを育てること」と答えます。

聖母マリアは、イエスを神の授かりものとして身ごもり、育てたのであって、決して自分の子どもとして扱わなかっただろうと想像するからです。子育てでは、このように子どもを他者として認識することが大切です。そうすれば、「子どものためを思って」という一方的な押しつけは行われないですし、「この子はどんな子?」という自然な関心がわいて、じっくり観察して子どものいいところを見つけられるはずです。

私のおすすめの「ボージョレヌーボー的ほめ言葉」を紹介します。

・赤ちゃんのとき=100年に一度のかわいさ
・幼稚園・保育園のとき=いまだかつてない愛嬌(あいきょう)のよさ
・小学生のとき=かわいさと賢さが際立つ出来のよさ
・受験前=今世紀最高のがんばり屋
教室の机
写真=iStock.com/gyro
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/gyro

■「正解主義」ではなく「修正主義」で向き合う

「がんばれと言ったのも、がんばらなくていいよと言ったのもあなたでした」

これは、中学受験を見事に表した言葉です。

保護者のみなさんは、がんばって成功してほしいという気持ちと、こんなに大変ならやめさせたほうがよいのでは、という気持ちの葛藤の中で日々を過ごしているのではないでしょうか。

「がんばってほしい」も、「がんばらなくていい」も、どちらもその状況においては正解です。この本の中にも、いろいろな事例が登場するため、ときには内容が矛盾していると思われるかもしれません。しかしそれは、絶対的に正しい方法論などはなく、むしろ葛藤の中にこそ正解があることの表れともいえます。

本稿では「子どもをプラス思考でとらえる」というスタンスで筆を進めていますが、ほめてばかりでは成功しないかもしれないし、ほめることにより油断して失敗することだって、ないとは限りません。

逆に、叱ったほうが成功するかもしれませんし、叱ることでモチベーションをなくして失敗することも当然あるでしょう。自分の子どもがどちらのタイプに近いか、今はどちらの手法を選んだほうがいいか、と常に探るスタンスでいることが大切です。

それには、ほめてみたり、ときには叱ってみたりして、子どもの反応を観察し、また結果を分析してみてください。子どもは千差万別ですし、時期によって、受け止め方も変わってきます。

まとめると、「正解主義」ではなく「修正主義」でいくことです。そのためにも、子どもとは密にコミュニケーションをとることをおすすめします。

■まずは鞄の整理整頓から

塾の鞄の厚さ(重さ)と学力が反比例するというのは、私の持論です。

学力の高い子は、鞄や筆箱、机のまわりが整理整頓されているものです。自己管理ができていると、自然と身のまわりに無駄なものがなくなるからでしょう。

塾では、机と机の間に鞄を置きっぱなしにする生徒に注意をします。「となりの人のことを考えられていない人が、読解で登場人物の心情がわかるわけがない」と伝えています。まわりに気を配れる子は、テストでも細かい部分にまで注意を払うことができて、ミスが少ないと感じます。

プリントや文房具がぐちゃぐちゃに突っ込まれた鞄を見たときも、「君たちの頭の中と同じだ」と伝えています。アコーディオン状の保護者向けプリントが鞄から出てくる生徒は、おそらく家庭でのコミュニケーションも成り立っていません。鞄の整理はついついやってあげたくなりますが、自分のことは自分でできるようにしないと、いつまでたってもできるようにはなりません。

■お手伝いは絶好のチャンス

生徒たちに「家のお手伝いは何をしているの?」と聞くことがあります。

「食べたものをシンクに持っていく」「洗濯物を取り込む(「たたむ」じゃありません笑)」「ゴミを捨てに行く」がベスト3でしょうか。

ゴミを捨てに行くのは、たいてい、分別してゴミ袋に入れるまでは保護者の仕事のようですね。「お風呂を沸かす」と言った生徒がいましたが、多分スイッチを押しただけで、薪を取りに行ったりはしていないはずです。「沸かす」に対抗して「お風呂の栓を抜く」と応えた強者もいました。

実はお手伝いは「時間を有効活用することがさまざまな場面で役立つ」ことを教える絶好のチャンスです。

■時間管理能力と決断力を伸ばす

お小遣いのやりくりと同じです。計画性のある子は決められたお小遣いの中で、上手にやりくりしています。欲しいゲームを買うために、好きな漫画を我慢したりもするでしょう。時間管理も同じで、教材をいつも手に届く場所に置くなど、工夫すればもっとたくさん時間が使えることが体感できると、大いなる成長といえます。

部屋や机の片づけの効果の一つに、自分の判断に自信が持てるようになることがあります。

片づけるときには、モノを自分で捨てる・捨てないの判断をするしかないので、自然と決断力が磨かれて、自信がついてくるといわれています。ゴミ屋敷に住んでいるのは、捨てるという決断を諦めた人たちです。ですから、片づけを先回りして保護者がやってしまうと、子どもの決断力を養う機会を逃している、ともいえるのです。

さまざまなお手伝いを通して、子どもの時間管理能力と決断力を伸ばしてあげてください。また、よくできたときの「ありがとう」は、家族の関係をあたたかくします。

■ゲームや漫画は禁止しないほうがいい

保護者は、「どうしても勉強してほしい」が前提にあるため、子どもが遊んでいる時間が短時間でも気になるものですが、息抜きとしてゲームや好きなことをする時間も絶対に必要です。厳しく制限することは、隠れてこっそりゲームをする行動につながりやすくなります(隠れてやるゲームのほうが夢中になりやすいので、やっかいです)。全面禁止にするのではなく、宿題やお手伝いのあとにやっていい、などのルールにしたほうが健全です。

また、漫画は、「感情移入できるのでOK。学習漫画だとさらによし」と考えていいでしょう。最近は学習漫画でも今風のイラストが増えましたが、内容はしっかりとしているものが少なくありません。受験にも十分に対応できるものが増えています。

1冊の学習漫画を読んでいる4人の子どもたち
写真=iStock.com/SteveStone
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SteveStone

ただし、スマートフォンの使い方だけは、注意が必要です。

安全管理上、スマホやキッズ携帯を子どもに使わせている家庭も増えています。スマホを与える場合には、「やってはいけないこと」を先に決めておきましょう。

朝日小学生新聞の記事で、子どもにスマホやタブレットを上手に使わせるために、「充電器を1週間に1回しか貸さない」という方法が紹介されていました。お小遣いと同じく、計画的に使うことを学べるすばらしいやり方です。もちろん、利用時間を守る、個人情報は載せない、人の悪口や噂や不安を書かない、など、ルールを設定することは、トラブル防止のためにも大切です。

■「この犬かわいくない」が生んだスマホトラブル

ある生徒が親友のAちゃんに飼い犬の写真を送ったら、「この犬かわいくない」という返信が来て勉強に手がつかなくなり、楽しみだった修学旅行も全然楽しめませんでした。

渋田隆之『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)
渋田隆之『2万人の受験生親子を合格に導いたプロ講師の 後悔しない中学受験100』(かんき出版)

相談にきたその生徒に「Aちゃんとしっかり話をしてみなよ」とアドバイスしたところ、すぐに解決。本当は「この犬かわいくない?」という、ポジティブな返信だったということがわかったそうです。

日本語は難しいものです。文章だけで気持ちを伝え合うことは、人生経験の未熟な小学生同士では非常に困難です。受験が近くなったら、スマホで友だち同士でやりとりをするのは、原則禁止にするのもよいかと思います。

最後に、ゲームや漫画、スマホについて、注意しておきたいことをお伝えします。

一度失われてしまった集中力がもとに戻るまでにかかる時間は、20~30分だそうです。勉強の途中でゲームをしたり、スマホをいじったりしたら、回復までに無駄な時間がかかってしまうため、「いつやるか」も大事なポイントです。

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渋田 隆之(しぶた・たかゆき)
国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー
神奈川大手学習塾で中学受験部門を立ち上げ、責任者として20年携わる。毎年、塾に通う受験生全員と生徒面談を実施。保護者向けにも、ガイダンス、進路面談・カウンセリングを担当し、これまで関わった人数は2万人以上。講演会は年に80回以上。ブログ「中学受験熱血応援談」は年間100万件以上のアクセスを獲得している。2022年7月に中学受験PREXを立ち上げ、現在も継続して中学受験の最前線に立ち続ける。

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(国語専門塾の中学受験PREX代表、教育コンサルタント・学習アドバイザー 渋田 隆之)

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