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これをやれば誰でも結果を出せる…「平均年収2000万円超」キーエンス社員が"業務実績"を毎日必ず記録するワケ

プレジデントオンライン / 2024年1月24日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/takasuu

キーエンス社員の平均年間給与は2000万円を超えるという。なぜ可能なのか。キーエンスで全社営業ランキング1位を3期連続で獲得していた岩田圭弘さんは「背景には各個人の圧倒的なパフォーマンスの高さがある。それを支えているのが“数値化”による仕事術だ。重要なのは毎日記録を続けることである」という――。

※本稿は、岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

■どんな人材でも“圧倒的な結果が出せる人”に成長させる

キーエンスが、近年注目を浴びているのは、その「利益率の高さ」と「給与の高さ」です。営業利益率は脅威の55%超、社員の平均年間給与は2000万円超。

一方で、キーエンスについて、「各個人の圧倒的なパフォーマンスの高さ」に注目する人は、そう多くはありません。

キーエンスの神髄は、「どんな人材でも、短期間で“圧倒的な結果が出せる人”に成長させることができる」という点にあるのです。

では、なぜキーエンスの社員は、こんなにも短期間で急成長できるのでしょうか。

その秘密が、実は同社社内で独自に行われている「数値化」による仕事術にあるのです。前回の記事でもお伝えしましたが、キーエンスの数値化について、再度おさらいしましょう。

“キーエンスの数値化”とは、いわば「プロセスの数値化」です。

たとえば、「受注件数○件」を目標とする営業であれば、受注(結果)に至るまでの

「DM→電話→アポ→面談→商談化」の各プロセス(行動)を分解します。

「採用人数○人」を目標とする人事であれば、採用(結果)に至るまでの「応募→書類

選考→一次面接→二次面接→最終面接→内定承諾」の各プロセス(行動)を分解します。

そして、それぞれのプロセス(行動)に数字的目標(行動目標)を立て、日々その実績を記録していきます。

■自分の体重と一緒に記録してみるのもいい

日々の業務実績はエクセルなどを使って図表1や図表2のように記録してもいいですが、気軽にメモ帳やノートに書き込んでも構いません。

【図表1】業務実績の記録(営業の場合の例)
出典=『数値化の魔力』

自分の体重の記録と合わせて記録するなど、多少の遊び心を入れてもいいでしょう。もしかすると、仕事の成果が出ているときほど減量の成果が出ているといった相関関係に気づくことができるかもしれません。

【図表2】業務実績の記録(人事の場合の例)
出典=『数値化の魔力』

あるいはもっときっちりと管理したいという人であれば、「1日ごとの達成率」を記録していってもいいでしょう。ただし、あまり記録内容を煩雑にしてしまうと、習慣化することが難しいかもしれませんので、注意したいところです。

■気軽に素早く記録できる方法がおすすめ

私としては、できるだけ気軽に素早く記録できる方法がおすすめです。他にも「備考欄」を設けるのもいいでしょう。「見積りを求めるお客さんが多かったから、次からはプレゼン資料に盛り込もう」など、その日の改善点を書いていくのです。

これは1日を振り返ったときの覚書として利用します。1カ月単位での振り返りのときなどに、いつも同じような理由で実績値が下がる傾向があるなど、いろいろな気付きに役立ちます。

このように日次で「行動実績」を把握できていれば、月単位での実績を記録したときになって初めてKPIとの乖離(かいり)に驚くという事態は避けられます。

また、日次の実績を記録して自分のその日の行動量が明らかになることで、目標を上回っていれば達成感を得られますし、下回っていれば次の日にどれだけ挽回すればいいのかが明確になり、客観的に自己評価ができるので、仕事からプライベートへの切り替えが容易になります。

このことで、モヤッとした不安やストレスを家まで持ち帰ることを防げます。

書類を見ながらパソコンに入力する人
写真=iStock.com/ipuwadol
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/ipuwadol

■振り返りは「1日」「1カ月」「3カ月」「半期」で行う

日次で実績を記録することで、自然と1日の終わりに振り返りを行うことになります。

このときに、アポの数は十分だったか、今月は何日目だがどのくらい受注できているか、といった振り返りを行ないます。

そして、振り返りは1日単位だけでなく、1カ月、3カ月、半期ごとにも行ない、実績とKPIの乖離具合を確認するようにしましょう。

私が在職していた頃のキーエンスでも、3カ月に一度はマネージャー評価会という形でKPIや施策の振り返りを行なっていました。ここでは単にKPIと実績のズレだけでなく、なぜズレが生じているのか、そもそも現在のKPIは適切なのかといったレベルまで振り返ります。

1日単位で振り返るときは、手帳などに手書きで書き込む方法でもいいと思います。実際、私は1日単位での振り返りは最初は手帳に書き込むことで行なっていました。

■ダイエットと同じで「後回し」は厳禁

とはいえ、日々の記録は忙しかったり疲れてしまったりするなどでついサボってしまいがちです。これはダイエットと似ていて、1日や2日サボると急にモチベーションが下がってしまい、面倒くさくなってしまう可能性があります。

ですから、メモ帳に手書きでもエクセルに入力でも、あるいはスマートフォンのアプリを利用するなどでも、とにかく自分が続けられる方法を選びましょう。

特に営業などで出先から直帰する機会が多いような人は、持ち歩いている手帳やスマートフォンを利用できる方法を検討したほうがいいでしょう。

他にも「記録の習慣」を止めてしまう可能性のある注意点として、暇になったときにまとめて記録しようと思わないことです。まとめて記録しようとしても2、3日前のことでさえ正確に思い出せませんし、記録の負荷が増えてしまいますので、これは絶対に避けましょう。

ダイエットでも、週末にまとめてやろうなどと思った瞬間に、そのダイエットは失敗することが決定してしまいます。ですから、記録しないと仕事が終わった気がしない、と思えるほど習慣化されるまで、頑張るしかありません。

体重計に乗る人の足元
写真=iStock.com/stockvisual
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/stockvisual

■就業時間に合わせてリマインドを設定しておく

ちなみにキーエンスの場合は日々申告しなければならないという社内のルールがありましたので、サボるわけにはいかないという強制力がありました。しかし、自身の会社にそのような仕組みがないのであれば、自分で仕組み化するしかありません。

たとえば簡単な仕組みとしては、毎日就業時間の終わりに記録するために、アラートやリマインドが行なわれるようにスケジュール表やカレンダーといったPIM(Personal Information Manager)や専用のアプリを利用するなどです。

そしてできれば1週間に一度、難しくても最低1カ月に一度は徹底的に振り返る日を設けて、記録漏れや記録溜めしてしまった作業を取り返せる日を設定するようにします。

会社や部門としてのルールがないのであれば、仲間を募るのもいいでしょう。1日単位のKPIを目標にしながら日々の行動量をコントロールしていくと、週末や月末には目に見えて結果が出てくるようになります。

このとき、仕事で成果を上げるのは才能や特別な能力ではなく、行動量だったのだと実感できるはずです。このことに実感を持って気がつけることこそが、毎日の行動を記録する習慣を続けるコツになってきます。

■仕事の種類によっては「タイムラグ」がある

ただし、仕事の種類によっては行動しているときと成果が表れるタイミングに大きなタイムラグが生じる場合があります。この場合は、たとえば1週間や1カ月の単位で「行動の量」を数値化して可視化したときに、頑張っている割には成果が出ていないと焦ってしまったりモチベーションが下がってしまったりする可能性がありますが、焦りは禁物です。

このような場合は、自身の仕事の性質上、KGIの達成にタイムラグがあることを理解していれば、慌てることはなくなります。そのためにもプロセスごとのKPIの達成度を確認するなどしてプロセスを評価することも大切になってきます。

■記録を続けることで「因果関係」が明確になる

日々記録を続けることの意義は他にもあります。因果関係が明確になっていくのです。

「不足(課題)」の分析をする際、行動実績のデータ(N)がたくさんあるほうが、分析の精度が上がります。

たとえばサイコロの「1」が出る確率は「6分の1」ですが、2~3回転がしただけでは「1」が出るとは限らず、確率に大きなブレが生じます。

岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)
岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)

しかし、20~50回とサイコロを振る回数(試行回数)を増やして分母を大きくすれば、確率は本来の「6分の1」に近づきます。これが「大数の法則」ですね。

これと同じで、行動実績も短い期間の数字だけだと、母数が少なすぎるため、そこから出てくる数字、特に「転換率」が不正確なものになります。「転換率」は「行動の質」の不足点を明確にするための基準となる数字です。

ですから、不正確な「転換率」を頼りに、「行動の質」の不足点を分析することになるので、正確に原因を突き止められない場合があるのです。しかし、たとえば、日次の実績を月末に集計して月次の実績としてまとめたときには、1カ月分のデータが蓄積されているので、「転換率」は比較的正確な数字になっています。

■「結果につながる努力」をするためにも重要

そのため、そこから導き出される「行動の質」の不足の原因も正確である場合が多いのです。これは、「結果にきちんとつながる努力」をするために、非常に重要です。同じように、四半期、半期、年度単位での行動実績を記録していくことで、数字の精度はどんどんと上がります。

このような期間の考え方は、営業以外でも同じです。たとえば人事であれば、人材募集のチャネルごとの実績数がある程度、蓄積された3カ月や半期といった単位で分析することで、初めてエージェント経由が有効だったのか、媒体経由のほうが有効だったのかといった評価を行なえるようになります。

このように、日々の実績記録は振り返りに役立つと同時に、「自分の不足」の原因の特定の精度を上げ、正しい努力をすることに寄与するのです。

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岩田 圭弘(いわた・よしひろ)
アスエネ共同創業者 兼 取締役COO
慶應義塾大学経済学部卒業後、2009年にキーエンスに新卒入社。マイクロスコープ事業部の営業を担当。2010年新人ランキング1位を獲得。その後、2012年下期から3期連続で全社営業ランキング1位を獲得し、マネージャーに就任。その後本社販売促進グループへ異動、営業戦略立案・販売促進業務を担当。2015年、三菱UFJリサーチ&コンサルティングに転職。小売、医薬、建設業界の戦略策定、新規事業戦略策定に従事。2016年にキーエンスに戻り新規事業の立上げに携わる。2020年アスエネに参画。

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(アスエネ共同創業者 兼 取締役COO 岩田 圭弘)

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