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「老後のための節約」は本当に必要なのか…「ゼロで死ね」というメッセージが教える"人生を豊かに過ごす秘訣"

プレジデントオンライン / 2024年3月8日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Armand Burger

ビジネスパーソンの評価が高いのはどんな本なのか。グロービス経営大学院とフライヤーは2月、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」を発表した。2022年12月から2023年11月の間に日本国内で刊行された書籍123冊を対象に、読者による投票を行ったものだ。その結果を紹介しよう――。

■「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」受賞作

総合グランプリ:『きみのお金は誰のため』(田内学著、東洋経済新報社)
イノベーション部門賞:『温かいテクノロジー』(林要著、ライツ社)
マネジメント部門賞:『任せるコツ』(山本渉著、すばる舎)
政治・経済部門賞:『社会の変え方』(泉房穂著、ライツ社)
自己啓発部門賞:『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(八木仁平著、KADOKAWA)
リベラルアーツ部門賞:『きみのお金は誰のため』(田内学著、東洋経済新報社)
ビジネス実務部門賞:『頭のいい人が話す前に考えていること』(安達裕哉著、ダイヤモンド社)
〈特別賞〉ロングセラー賞:『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著、児島修訳、ダイヤモンド社)
〈特別賞〉グロービス経営大学院賞:『冒険の書』(孫泰蔵著、あけたらしろめ挿絵、日経BP)


「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」概要
グロービス経営大学院とフライヤーが主催。対象書籍は、2022年12月から2023年11月の間に日本国内で刊行された書籍の中から、各出版社が1社5冊までエントリー、さらにグロービス経営大学院・フライヤー・協力各社が選書した書籍を追加。各書籍はイノベーション、マネジメント、政治・経済、自己啓発、リベラルアーツ、ビジネス実務の6部門のいずれか1部門に分類している。読者による投票は2023年12月5日~2023年12月27日に行われた。エントリーした書籍は123冊。投票数は非公開。

■お金と社会の本質が「物語」で学べる

総合グランプリとリベラルアーツ部門賞をダブル受賞したのは、物語形式でお金と社会の本質が学べる『きみのお金は誰のため』でした。

田内学『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)
田内学『きみのお金は誰のため』(東洋経済新報社)

本書の主人公は中学2年生の佐久間優斗。優斗は個別進路面談で「(将来就くなら)年収の高い仕事がいい」と答えたことから、担任に「お金より大事なものがある」と説教をされてしまいました。

納得がいかないまま帰路についたところ、近所の謎めいた屋敷の前で七海という女性に呼び止められます。投資銀行で働く七海は、謎の大富豪「ボス」に話を聞きに来たとのこと。ふたりはともにボスの屋敷に招き入れられ、お金の講義を受けることになります。

そこでボスがまず教えてくれたのは、お金にまつわる3つの真実でした。

一、お金自体に価値はない。
二、お金で解決できる問題はない。
三、みんなでお金を貯めても意味はない。

「そんなわけはない」と口々に反論した優斗と七海は、その後もボスの屋敷に通い、お金の講義を受けることに。さて、物語の行方は――?

お金と社会について学べるだけでなく、物語としても楽しめる、子どもにも大人にもおすすめしたい一冊です。気持ちのいい伏線回収と感動のラストにもぜひご注目ください。

■家族型ロボット「LOVOT」にかけられた想い

イノベーション部門賞は、『温かいテクノロジー』でした。

林要『温かいテクノロジー』(ライツ社)
林要『温かいテクノロジー』(ライツ社)

あなたは、家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を知っていますか?

LOVOTのキャッチコピーは「愛されるために生まれてきた世界初のロボット」。丸みのあるフォルムにくりんとした目、体温を感じるあたたかさから、誰もがつい「かわいい!」と言ってしまうようなロボットです。本書では、そんなLOVOTの開発ストーリーや開発者たちがLOVOTにかける想いが語られます。

これまでのロボット開発では、一般的に「生産性や利便性の向上」が追求されていました。一方でLOVOTは、人に手をかけることを要求する、生産性や利便性の向上とは対照的な存在である点が特徴です。

人に手をかけることを要求する存在といえば、ペットを思い浮かべる人が多いでしょう。ペットもまた、人に手をかけることを要求し、その要求によって私たちを癒やしてくれる存在ですが、誰もがペットを飼えるわけではありません。

そこで生み出されたのがLOVOTです。そしてその背景には「生産性向上を目的としない温かいテクノロジーこそが、テクノロジーのイメージそのものを変えられるのではないだろうか」という著者、林要氏の想いがあります。

愛とは何か、感情とは何か、生命とは何か――。AI時代を生きる私たちに根源的な問いを投げかけてくれる、これまでにない一冊です。

■自分にも相手にもメリットのある「任せ方」のコツ

マネジメント部門賞には『任せるコツ』が輝きました。

山本渉『任せるコツ』(すばる舎)
山本渉『任せるコツ』(すばる舎)

「この仕事、誰かに頼みたい。でも自分でやったほうが早いかな」
「誰かに手伝ってほしいけど、みんな忙しそうだ」
「こういうタスクは○○さんの得意分野だ。やってくれるかな……」

こんなふうに逡巡した結果、結局「自分でやる」を選んだことのある人は多いでしょう。本書はそんなビジネスパーソンに向けて、自分にとっても相手にとってもメリットのある「任せ方」を教えてくれる一冊です。

ポイントは、相手に気持ちよく引き受けてもらえるように、次の5つの要素を踏まえて依頼すること。

・意欲創出:相手がやりたいと思える文脈になっていること
・目的の明確化:なぜ必要なのか理由を伝えること
・欲求充足:利己的都合ではなく相手のメリットを示すこと
・選択肢の提示:断ったりスケジュールを変更したりする余白があること
・負担の配慮:負担を減らす工夫や相談の余地があること

また、単純に優秀な人やスケジュールが空いている人ではなく「意欲」と「適性」のある人に任せるという観点も重要です。本書では、意外と難しい「意欲」と「適性」の見極め方についても詳細に解説されています。

仕事はもちろん、家庭やPTAなどでも使える本書。頼み、頼まれることに苦手意識があるすべての人におすすめします。

■「18歳までの医療費無料化」を成し遂げた元明石市長の言葉

政治・経済部門賞は『社会の変え方』でした。

泉房穂『社会の変え方』(ライツ社)
泉房穂『社会の変え方』(ライツ社)

2011年から2023年4月末にかけて明石市長を務めた泉房穂氏はさまざまなことを成し遂げました。

「18歳までの医療費無料化」をはじめとする、子どもを対象とした全国初の5つの無料化、児童扶養手当の毎月支給、犯罪被害者や障害者に手を差し伸べる条例……これらの施策を実施したことで注目され、明石市は「本当に住みやすい街大賞2022in関西」で堂々の1位に選ばれました。

泉氏はなぜ明石市長に立候補したのか。子どもに焦点を当てた理由とは。障害者や高齢者、マイノリティなどに関する全国初の施策に込めた想いは――。本書では、誠実かつ熱い言葉で、明石市長の想いやストーリーが語られています。

一冊に通底するのは、「政治が変わらないのは行動しない私たちの責任でもある」「政治をあきらめてはいけない」というメッセージ。いまの自分にできることは何か、政治のあるべき姿とはどんなものかと、今を生きる私たちに問いかけてくれる、覚悟を感じる一冊です。

■「これも才能かも?」と気付ける一冊

自己啓発部門賞に輝いたのは『世界一やさしい「才能」の見つけ方』です。

八木仁平『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(KADOKAWA)
八木仁平『世界一やさしい「才能」の見つけ方』(KADOKAWA)

「あなたにはどんな才能がありますか?」

こう聞かれて、自信を持って「私には○○の才能があります!」と即答できる人はほとんどいないでしょう。ですが本書を読むと、誰でも必ず、自分の才能を見つけられます。

本書でまず強調されているのは、才能の定義です。

才能は「人よりうまくできること」ではなく「つい、やってしまうこと」。上には上がいるので、たいていの人は「人よりうまくできること」なんてないのです。

一方、「つい、やってしまうこと」なら、いくつも挙げられるのではないでしょうか? しかも著者の八木仁平さんは、一見役に立たないような「つい、やってしまうこと」でも、使い方次第で強みに変えられると断言しています。

才能の定義を正しく理解できたら、次の5つの質問に答えてみてください。「これも才能かも?」「この能力、別の生かし方もあるかも?」と気づけるでしょう。

(Q1)他人にイラッとすることは?
(Q2)親や先生によく注意されたことは?
(Q3)やっちゃダメと禁止されると辛いことは?
(Q4)あなたの短所を「だからこそ」と言い換えるとどうなりますか?
(Q5)他の人は嫌がるのに、自分には楽しいと思えることは?

30万部を超えた前著『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』とあわせて読めば、人生をより楽しく快適に生き抜けること間違いなしです。

■2023年年間ベストセラー「単行本ビジネス」部門1位の話題書

ビジネス実務部門賞は『頭のいい人が話す前に考えていること』。2023年年間ベストセラー(日販調べ)の「単行本ビジネス」部門で第1位に輝いた話題書です。

安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)
安達裕哉『頭のいい人が話す前に考えていること』(ダイヤモンド社)

本書では、コミュニケーションの黄金法則が7つ示されます。

法則1:とにかく反応するな
法則2:頭のよさは、他人が決める
法則3:人はちゃんと考えて“くれて”る人を信頼する
法則4:人と闘うな、課題と闘え
法則5:伝わらないのは、話し方ではなく考えが足りないせい
法則6:知識はだれかのために使って初めて知性となる
法則7:承認欲求を満たす側に回れ

法則3の「人はちゃんと考えて“くれて”る人を信頼する」では、多くの人をギクリとさせる例が紹介されています。

デート中、相手から「この青の服と、白の服、どっちを買ったらいいと思う?」と聞かれたら、あなたはなんと答えるでしょう?

ここで、何も考えることなく「白かな」と答えると、「適当に答えていない?」と思われてしまいかねません。「あなたのことをちゃんと考えているよ」という姿勢を見せるなら、「白と青、それぞれ、どこがいいと思ったの?」と返すのがベストです。

あなたは何も考えず、思いついたことをそのまま発言してしまっていませんか。本書を読んで、話す前にひと呼吸置いて「考える」習慣をつければ、まわりから一目置かれるようになり、仕事もプライベートも思い通りになるでしょう。

■「老後のための節約」は本当に正しいのか

〈特別賞〉のロングセラー賞は、「ゼロで死ね」というタイトルが鮮烈な『DIE WITH ZERO』でした。

ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)
ビル・パーキンス著、児島修訳『DIE WITH ZERO』(ダイヤモンド社)

老後に備えて貯金をする。この行動に異を唱える人はほとんどいないでしょう。ですが本書では、この一見合理的な行動の否定から始まります。

その理由は、お金を節約しようとするあまり、そのときしかできない経験の機会を失ってしまうと、世界が小さな場所になってしまうから。

必要以上にため込むのではなく、今しか味わえない経験に時間と金を費やす――。これを突き詰めると「ゼロで死ぬ」というところに行きつくのだと著者はいいます。

「人生の最後に残るのは思い出だけだ」「思い出は金融投資と同様、私たちに配当を与えてくれる。その瞬間の喜びだけでなく、あとから振り返ることで、当時の風景や感情を追体験できる」

このメッセージを受け取って、あなたはまだ、老後のために節約を続けようと思うでしょうか?

思い出の配当をより多く得るために、まずは今すぐ経験に投資することから始めましょう。喜びを先送りにするのではなく、「いま」この瞬間に良質な経験をしましょう。これこそが、長い残りの人生を豊かに過ごす方法なのです。

■これからの生き方の指針が得られる一冊

〈特別賞〉のグロービス経営大学院賞は、連続起業家の孫泰蔵氏が自身のSNSで執筆していたストーリーを、編集者の強い勧めによって書籍化した『冒険の書』でした。

孫泰蔵著、あけたらしろめ挿絵『冒険の書』(日経BP)
孫泰蔵著、あけたらしろめ挿絵『冒険の書』(日経BP)

主人公の「僕」が、「なぜ学校に行かなければならないのか」という素朴な疑問に答えるために時空を超えた旅に出るというストーリーとなっています。

「学校に行きたくないなぁ……」と悩む「僕」は、友人のダイヤ・アイダに疑問や問いを打ち明けます。すると彼は「ついに泰蔵さんも冒険者になったのですね」と、一冊の本を差し出しました。彼は「冒険者には、他の冒険者の声が聞こえます。『冒険の書』は世界中に散らばっていて、冒険を決意した人だけ読むことができます。この本はきっと、泰蔵さんの重要な導きとなってくれるでしょう」と言い、立ち去ります。

「これが『冒険の書』なのか……?」と「僕」が不思議に思った途端、白い光があたりを包み、黒い人影と見たことのない風景が交錯しました。目の前には高い塔のお城が見えています。呆然としている僕に、一人の老人が話しかけてきて――?

本を手に取ることで、過去の偉人たちと言葉を交わし、学びを得て考えを深めていく「僕」。そんな「僕」と自分を重ね合わせながらストーリーを楽しんでいるうちに、これからの生き方の指針を得られる一冊です。

2022年12月から2023年11月に日本国内で刊行された書籍を対象として開催された、「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」。どの部門にも、2023年を象徴するような、学びにあふれる作品がランクインしました。

まだ読んでいない本や気になっていた本があれば、この機会にぜひチェックしてみてください。

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flier編集部 本の要約サービスflier(フライヤー)は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだだけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。

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(flier編集部)

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