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積み立て投資の「長期」とは具体的に何年か…リーマン級の金融危機でも絶対に利益が出る「投資期間の目安」

プレジデントオンライン / 2024年3月26日 15時15分

出所=『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』

投資は「長期の積み立て」を勧められることが多い。「長期」とは具体的にどれぐらいなのか。YouTubeに投資系の動画を投稿する投資塾ゆうさんは「私は最低15年は継続するようアドバイスしている。10年と15年を比べると、15年のほうが損失を抑えられ、利益率も高くなる」という――。

※本稿は、投資塾ゆう『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

■10年投資では勝率81%、平均利益率70%

一般的に、積み立て投資は長期で続けるのが大切といわれます。しかし、この「長期」というキーワードがあいまいで、いったい何年やればいいのかがよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

そこで、過去のS&P500のデータを使って、10年継続した場合と、15年継続した場合の投資成果を調べてみました。

まずは1994年を起点に、1994年から10年、1995年から10年、1996年から2010年と直近までを21パターンの10年間を切り取って調べてみました。

利益が出ている場合を勝ち、損失が出ている場合を負けとみなすと、17勝4敗、勝率は81%です。平均の利益率は70%という結果になりました。最も利益が出たのは2012年~21年の期間で、利益率は168%。10年間で3倍近く資金を増やせた計算です。ゴールとなった21年はS&P500が過去最高値に到達した年でした。

これに対し、最も成績が悪かったのが、1999年~2008年の期間です。ゴールである2008年は、100年に1度の金融危機と言われたリーマンショックが起こった年です。最終的に2008~2011年をゴールとする4つの期間で損失を出しています。

これは先ほどの20年の積み立て投資で資産を倍にできたシミュレーションの中で、含み損が出続けていた時期にあたります。

この4年間は、リーマンショックの暴落を機に、株価が低迷を続けた期間で、100年に1度レベルの金融危機に1ドル70円台という歴史的な円高が重なりました。歴史的な株安と歴史的な円高のダブルパンチという、日本人の投資家にとっては歴史的な不運に見舞われた期間といえるでしょう。

■「10年」ではゴールと金融危機が重なると厳しい

しかし、12年には株価が上昇に、為替も円安に転じており、この12年をゴールとする10年間からは、利益を出すことができるようになっています。

これらのデータでわかることは、積み立て投資はゴールの時期の相場環境が、全体のパフォーマンスに大きな影響を与えるということです。勝率自体は81%と高いうえ、勝った際の利益率も平均で70%と十分な成績だとはいえますが、ゴールの時期が深刻な金融危機と歴史的な円高に重なってしまうと厳しい状況におかれてしまうことがわかります。

では、積み立て投資を15年に延ばした場合はどうでしょうか。図表2は1994年を起点に1994年から15年、1995年から15年というふうに、直近までの16パターンを調べた結果です。

【図表2】積み立て投資を15年継続した場合の成果(為替変動込み)
出所=『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』

■積み立て投資は最低15年は継続すべき

結果は13勝3敗で勝率は10年の積み立ての場合とほぼ同じ81%ですが、最も負けた場合の損失がマイナス11%と、10年の場合の34%に比べるとマイナス幅を小さくできています。逆に最も利益が出た場合の利益率は328%で、こちらも10年の168%を大きく上回っています。平均の利益も123%と、10年の70%の1.75倍になりました。

このシミュレーションからわかることは、積み立て投資では10年よりも15年続けたほうが利益をより大きくでき、うまくいかなかった場合の損失も小さくできるということです。ですから、私は自分のお客様に対しては、最低15年は継続する前提で積み立て投資を始めてくださいとアドバイスしています。

■1~2年の「延長」で勝率100%を達成できる

しかし問題は、15年続けても勝率が100%にはならないことです。老後の資金をつくろうと15年もの間、コツコツと積み立て投資を継続したのに、最後にお金が減ってしまったというのでは、ガッカリを通り超えて絶望してしまうかもしれません。

ただ、そんな時でもあきらめることはありません。試しに、15年間の積み立て投資でマイナスとなってしまった3つの期間で、積み立てをやめずに延長したと仮定して、再度シミュレーションしてみました。

まずは、1994年から2008年までの15年間のパターンで、積立期間をプラスした場合、図表3のようになりました。

【図表3】1994年から2008年の積み立て投資期間を延長した場合
出所=『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』

1年プラスすると成績は一転し、19%の利益を出せています。15年の積み立てでは約15万円の損失が出ていたのが、1年追加しただけで約37万円のプラスになっています。

次は、1996年から2010年までの15年間に、積み立て期間をプラスした場合の試算結果を見てみましょう(図表4)。

【図表4】1996年から2010年の積み立て投資期間を延長した場合
出所=『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』

この15年ではマイナス2%とわずかながら損失を出してしまいましたが、積み立てをもう1年プラスした場合はマイナス6%と損失が拡大してしまいました。

もうひとふんばりして、さらに1年プラスすると、損益はようやくプラスに転じ、23%の利益が出るという結果となりました。

では、15年間の積み立て投資でマイナス11%という最も大きな損失を出してしまった1997年から2011年までの期間はどうでしょうか。1年積み立て期間を延ばすと一転して17%の利益となり、2年延ばすと84%もの利益を出せるという結果になりました。

■「リーマン+円高」でもほぼ負けなしを達成できる

結論としては、15年間積み立て投資を継続しても、ゴールに100年に1度レベルの金融危機と、歴史的な円高が重なるという二重の不運に見舞われれば損失が避けられないわけですが、そんな場合でも、もう1~2年ふんばって積み立て期間を延ばせば救われるということです。こうした局面では、可能な限り相場が好転するまで積み立て投資を延長する価値は非常に大きいといえるでしょう。

株式市場グラフとテクニカル分析ストック
写真=iStock.com/primeimages
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/primeimages

積み立て投資はスタート時点の相場環境は気にする必要はありませんが、ゴール時点の相場環境が悪いとパフォーマンスが大きく落ちてしまいます。こうした場合でも延長という選択肢が取れるよう、ゴールの地点に多少の余裕を持った計画を立てておくと安心です。

投資塾ゆう『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)
投資塾ゆう『知識も時間もないですが、新NISAでほったらかし投資よりお金を増やしたいです』(KADOKAWA)

ちなみに、ここまで紹介したシミュレーションデータはすべて、日本円をドルに換えて投資した場合の試算で、為替変動込みの損益です。

これを為替変動がないと仮定して試算すると、15年の積み立て投資はどの期間を切り取っても全勝となり、負けはゼロとなりました。10年の積み立て投資でも20勝1敗で、ほぼ負けなしといっていいレベルです。

リーマンショックは株価が半値近くまで暴落したのに加え、ドルに対する円の価値も史上最高値となる1ドル70円台を記録したという、歴史的な株安と歴史的な円高が見事に重なった時期です。こうしためったにない不幸が重なってしまったとしても、1~2年耐えれば大きな利益が出るわけですから、やはり積み立て投資のパワーは強力だといっていいと思います。

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投資塾ゆう(とうしじゅくゆう)
投資アドバイザー
証券会社の営業として7年働いたあと独立。組織のノルマから解放され、お客様のサポートに集中できるようになったことで、「直接アドバイスができない人たちに対して正しい投資知識を身に付けてもらいたい」と思い、YouTubeチャンネルを開設。登録者数は15.8万人、動画の高評価率は98.4%。多くの視聴者から信頼を集める。動画制作には過去データの分析に膨大な時間を費やす。

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(投資アドバイザー 投資塾ゆう)

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