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「どうせ自分は…」は絶対言ってはいけない…脳内科医「脳に効くひとり言、脳をフリーズさせる最悪のひとり言」

プレジデントオンライン / 2024年3月28日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/AH86

脳にいい言葉、悪い言葉は何か。脳内科医の加藤俊徳さんは「『うまくいくさ』『私は正しい』といった自己を肯定する良いひとり言は脳を活性化させる一方で、悪いひとり言は脳の働きを抑え、フリーズさせる。私のクリニックを訪れるうつ病傾向の人の少なからずがつぶやく『どうせ私は~』というフレーズは、自分を損なう最悪の言葉である」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■成功する人は誰もが「良いひとり言」をつぶやいている

成功している会社の経営者は、ひとり言と向き合うことが上手なのではないでしょうか? 彼らは本当に大事なことは、誰にも相談できません。最後は、自分自身で判断するしかないとわかっています。

孤独の中で、彼らが最後に相談するのは、自分自身でしょう。自分自身に問いかけることが、一番良い結果になるということを知っていると思います。

米国の実業家のロックフェラーは、「未来は現在の過ごし方にかかっている」、「自分を見失わず着実に前進しろ」というのが口癖で、絶えず自分自身に言い聞かせていたようです。

成功している人は、意識的に“良いひとり言”を用いているのです。

一方で、否定的で、たんに悪態をついているだけのような、生産性の低いひとり言もあります。

そのようなマイナスのエネルギーを持ったひとり言を発していると、自分自身がどんどん非生産的でマイナス思考の人間になっていきます。

そう考えると、ひとり言は扱い方次第で、とても危険なものでもあるということができます。

私のクリニックを訪れる人たちの中にも、否定的でマイナスの言葉ばかりつぶやいている人がいます。やはりそういう人の脳は、極端に活動が弱くなっています。

良いひとり言は、脳を活性化させ、悪いひとり言は脳をダウンさせます。そう言い切ってよい、と私は考えています。

本稿では、「良いひとり言」と「悪いひとり言」の違いは何かについて考えながら、人生を豊かにする良いひとり言の選び方とつぶやき方を見ていきましょう。

■自分が一番気分が良くなる言葉は何か

良いひとり言の特徴は、ポジティブであるということです。

「きっとできるはず」、「うまくいくさ」と自分の可能性を信じる言葉や、「私は正しい」、「我ながらあっぱれ!」といった自己を肯定する言葉がそれに当たります。

誰でも、右のような肯定的な言葉を投げかけられたら、気分は良くなるでしょう。それは自分自身に投げかけるひとり言でも、まったく同じです。

晴れた日に清々しい表情をした人のイメージ
写真=iStock.com/maruco
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/maruco

気分が良くなれば、脳は活発に動き出し、良いアウトプットができるようになります。

自分が一番気分が良くなる言葉が何かを調べてみて下さい。

人それぞれによって、脳が働きやすい言葉は違いますから、何度か口にして試してみるといいでしょう。

ちなみに私は、「やれるんじゃない?」「いけるんじゃない?」というような自分を激励したり、鼓舞する言葉をよく使います。

なぜなら、私が身を置く研究の世界は、理論が発見され、認められれば、他者から賞賛を受けることができますが、その前の段階では、賞賛どころか誰も見向きもしてくれないからです。

もちろん、賞賛がほしくて研究をしているわけではありませんが、自分の研究が価値あるもので、自分のやり方が間違っていないと信じるためにも、自分で自分を賞賛したり、激励するようなひとり言をつぶやいて、自分を鼓舞するわけです。

前述した会社の経営者と同じく、孤独な世界なので、自分で自分を支えるしかないのです。

私自身も、自分のひとり言によって支えられてきたと思っています。

■ネガティブなひとり言は脳の自殺行為だ

良いひとり言がポジティブな言葉であるのに対して、悪いひとり言はその逆のネガティブな言葉です。ポジティブな言葉は脳を活性化させますが、ネガティブな言葉は脳の働きを抑え、フリーズさせてしまいます。

「ダメだ」「できないよ」といった自分を否定するような言葉や、「ちくしょう!」「ばかやろう!」という怒りの言葉、「もう嫌だなぁ……」といった嫌悪の言葉をつぶやいていませんか?

残念ながら、このような言葉を発すると、脳の働きが一気に悪くなります。神経細胞も活性化することなく、脳はフリーズ状態になるのです。

うつ病の患者の脳がまさにこうした状態になっています。「視覚系」、「聴覚系」といった情報入力に関係する脳番地が落ち込むことで、「思考系」や「理解系」などワーキングメモリーに関係する脳番地が慢性的にフリーズし、「記憶系」や「感情系」の脳番地が動かなくなるのです。

そうなると、ますます気分が落ち込んで、さらにネガティブな言葉を発してしまいます。この悪循環によって、うつ状態から抜け出すことが難しくなってしまうのです。ネガティブなひとり言は、自分で自分の脳を動かなくしてしまうわけですから、脳の自殺行為と言っても過言ではないでしょう。

ただし、人間ですから、ときにはマイナス思考になったり、落ち込んだりしてネガティブワードが口から出てしまいます。

そんなときは、「なぜ今、こんなネガティブな言葉を言ってしまったのか?」と、左脳を働かせて、その原因を推測してみることをお勧めします。

「どうしてこんな言葉が出たのかな?」→「きっと昨晩の睡眠不足で疲れているからだな」→「よし、今日はしっかり睡眠をとろう」

原因を考え、対策を決めることで、脳はフリーズすることなく、むしろ停止しかけたのが再び活性化することになります。

■自分を損なう“絶対に使ってはいけないタブーワード”

ネガティブなひとり言の中でも、最悪なひとり言があります。

どうせ俺なんか、何やってもダメなんだ」
どうせ私なんて、誰も相手にしてくれないんだ」

この「どうせ私は~」というフレーズほど、自分を損なう言葉はありません。

ですが、クリニックを訪れるうつ病傾向の人の少なからずが、このフレーズをつぶやきます。

私は、「どうせダメだって、今言ったけど、何がダメなの?」と聞きます。

すると、「だって、今までもやろうと思ってきたけど、ダメだったから」とか、「今までできたことがないから」というような答えが返ってきます。

「どうせ」という言葉を頭に持ってくると、もはやすべてが否定されてしまう文脈になってしまいます。

でも本当に、すべてがダメなのでしょうか?

現実には、そんなことはあるわけがありません。

もし本当に、すべてがダメな人間だったら、今こうして生きて生活できてもいないでしょう。

しかし、朝起きて、準備をして、クリニックにやってきているわけです。

そして、私に面と向かって相談している時点で、人並みにできていることがたくさんあるはずです。

できていることを一切無視し、ダメなところやできていないところだけにフォーカスする言葉が、「どうせ自分は~」という言葉なのです。

それは本当の自分の姿を映し出す言葉ではなく、「自己否定」と「自己限定」を呼び覚ますだけの言葉です。

「だって、こうしてあなたは今日一日を生きているでしょう。それだけでも素晴らしいことじゃない?」

「あなたが存在していることで、力になっている人がいるでしょう?」

と、私は聞きます。

すると、自分を卑下ばかりしていた人もハタと思い至るようです。

否定的なひとり言は、脳の働きを低下させ、思考を停止させてしまいます。

「どうせ~だから」という言葉は、その際たるものです。

ひとり言のタブーとして、使わないように心がけてほしいと思います。

■「不自然な言葉」は脳をフリーズさせる

良いひとり言は、「腑に落ちる」ものでなければなりません。

一見、肯定的な言葉でも、あまりにも不自然でそぐわない言葉では、良いひとり言とは言えません。

「素晴らしいなぁ!」
「すごいなぁ!」

心の底から漏れた言葉であれば、これほど良いひとり言はないでしょう。

ただ、頭の中ではさほどいいと思っていないのに、無理してつぶやいても効果はあまり期待できません。

むしろ本心ではそう思っていないのに、その気持ちをごまかしてつぶやくと、脳は混乱してしまいます。

脳というのは、とても生理的な仕組みで動いています。ですから、その生理に反するものを受けつけないという性質があります。

本心の言葉じゃなかったり、嘘の言葉だったりすると、ネガティブなひとり言と同じく、脳がフリーズしてしまう可能性があります。

その意味で、偽悪的で強引な内容のつぶやきや、決めつけのつぶやきも同じだといえます。

「結局、世の中はお金だ」
「しょせん結婚なんて、互いの利害で成り立つのさ」
「周りは悪人ばかりだ」

斜に構えた偽悪的な言葉や、強引な決めつけの言葉は、ネガティブな言葉と同じく脳の活動を限定してしまいます。

加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)
加藤俊徳『なぜうまくいく人は「ひとり言」が多いのか?』(クロスメディア・パブリッシング)

そもそも脳は、もっと賢かったり冷静だったりします。

本人が言葉にする内容に、嘘や誇張、思い込みや独断が混じっている場合、無意識でそれを察知しているのです。

「言葉」と「脳」が矛盾した状態は、不安とストレスを生んでしまいます。

それを感じないようにするために、脳は自ら判断を保留したり、騙されたふりをしてしまうのです。

いずれにしても、不自然で本心から離れたひとり言や、極端に決めつけが強く偽悪的な言葉は、脳の働きを抑えてしまうので注意が必要です。

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加藤 俊徳(かとう・としのり)
脳内科医
昭和大学客員教授。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。MRI脳画像診断・発達脳科学の専門家で、脳を機能別領域に分類した脳番地トレーニングや脳科学音読法の提唱者。1991年に、現在世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)」法を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。著書に『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き』(ダイヤモンド社)、『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『一生頭がよくなり続ける すごい脳の使い方』(サンマーク出版)など多数。

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(脳内科医 加藤 俊徳)

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