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だから稲盛和夫も松下幸之助も大成功した…偉大な経営者と一時的に有名になって終わる人の決定的違い

プレジデントオンライン / 2024年4月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GIANT7

持続的成功を実現している人は何をしているか。昭和女子大学総長の坂東眞理子さんは「例えまだ自分が十分に成功していなくても、他者や社会に貢献すればするほど、自分が幸せになる。稲盛和夫さんや松下幸之助さんのように大成功した経営者は、『事業を通じて人々に便利で豊かな生活を提供するために、安くてよい品質のものをつくって顧客の役に立とう。そして社会に貢献しようとしたから成功したのだ』と語っている。つまり、社会貢献は、人の志を集め、チームの力を高める最大の旗印になる」という――。

※本稿は、坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

■十分に成功していなくても、他者や社会に貢献できる

多くの人は、「世のため人のために尽くすのはよいことで、他者に貢献する人が多ければよい社会になる」とわかっています。

でも多くの人は「仕事や家族の世話で手いっぱいで、自分にはとてもその余裕はない」「社会や人のために貢献していると、自分のなすべきことがおろそかになってしまう」と考えがちです。

「まず自分の義務を果たすのが優先。余裕ができたら社会や困っている人に手をさしのべよう」というのが多数の考えでしょう。

あるいは、「自分のなすべきこと、たとえば仕事や子育てを成し遂げた高齢者が、社会に貢献するのはよいことだが、若い人、働き盛りの人は、そんな悠長なことなどをする前に、自分自身が成功するよう努力するのが先だ」「社会貢献なんて大資産家で余裕のある人がすべきだ」と考える人もたくさんいます。

しかし現実には、どんな年代の人でも、他者に貢献できます。まだ自分が十分に成功していなくても、他者や社会に貢献すればするほど、自分が幸せになるのです。

まわりの人に対する感謝の言葉を発する、相手のミスや至らなさを許す、上機嫌にふるまって周囲の人の気持ちを明るくする、なども立派な社会貢献の「かたち」です。どんな形でも社会貢献をするほど、本人も幸せになるのです。

ところが、そうした「与える人」に対して「売名的」「偽善的」と批判する人や、「結局、自己満足のために行なっているのだろう」と足をひっぱる人もいます。

しかし、それでくじけないでください。批判をおそれていると何もできません。批判している人は嫉妬しているのです。

日本が「人助け指数」で世界最低グループというのは、「与える人」を悪くいい、悪くいわれるのをおそれて自分は与えない人が多いからだと思います。

■「仕事のおかげで収入、知り合いができる」と思えるか

「幸せ」の定義はいろいろあります。健康であること、愛する人がいること、家族や友人と心が通じること、仕事で成功すること、経済的に困らないこと、有名になること……それらはすべて「幸せ」なことです。

それでも、いつもいつも幸せということはなくて、どんな人にも自分や家族が病気になったり、仕事が順調にいかなかったり、友人に裏切られたりなどの苦労は、必ずついて回ります。

そんなときに、ものの見方を変え、気持ちが落ち込んだり自暴自棄になったりするのを防ぐことができる、いわば「レジリエンス」(復元力)を持っているのが「幸せな人」なのです。

たとえば、毎日仕事をしっかりこなしていても、仕事の意義が納得できず疲れる、面倒だ、苦労が多い、やりたいことができない、といった受け止め方をすると、とても幸せな気分ではいられません。

でも、仕事をしているおかげで収入がある、仕事で知り合いができる、仕事を通じて世の中の役に立っている、税金や保険料も納付して社会に貢献している、というように、ちょっと見方を変えれば、幸せな気持ちになります。

あるいは、家族や友人が病気になった場合、その世話をするのは大変ですが、悪いことばかりではありません。相手から感謝されると、自分が愛する人を支えているという実感が湧いてきます。それが自分を幸せにします。

自分の行動が相手の役に立っている、社会を支えていると思える気持ち(自己効力感)こそが、「貢献」ということから得られる最大の報酬です。

■稲盛和夫や松下幸之助が大成功した理由

それだけではありません。社会貢献をしていると「貢献寿命」がのび、健康寿命ものびるのです。

稲盛和夫さんや松下幸之助さんのように大成功した経営者は、「事業を通じて人々に便利で豊かな生活を提供するために、安くてよい品質のものをつくって顧客の役に立とう。そして社会に貢献しようとしたから成功したのだ」と語っておられます。

反対に、「どんな手段を使っても金儲けをしたい、利潤を上げたい、人に注目されたい」というきわめて利己的な動機で事業をする経営者は、エネルギーがあるので一時的には成功するかもしれませんが、長期的には顧客の支持も得られず、社員のやる気も高めることができず、なかなか成功することができません。

もちろん、どれだけ動機がよくても、経営者として高い品質のモノやサービスを提供し、コストを削減していかなければ成功できないのは当然ですが、動機が利己的で不純だと、一時的にはうまくいっても持続的成功は難しくなります。

■誰かの役に立っているという「手ごたえ」を感じられるか

坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)
坂東眞理子『与える人 「小さな利他」で幸福の種をまく』(三笠書房)

つまり社会貢献は、人の志を集め、チームの力を高める最大の旗印になるのです。

稲盛さんや松下さんのような大経営者でなくても、何か仕事をするときに外部からの支持を集め、内部の人の気持ちを高めるのは、仕事を通じて社会貢献しようという志です。「利益」は投機家をひきつけるだけです。

そして何よりも、自分を奮い立たせるのは、自分の仕事が社会をよくし、誰かの役に立っているという「手ごたえ」を感じるときです。

その手ごたえが、自分は生きている価値があると実感させてくれます。

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坂東 眞理子(ばんどう・まりこ)
昭和女子大学総長
1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、総理府(現内閣府)に入省。内閣総理大臣官房男女共同参画室長。埼玉県副知事。在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年、昭和女子大学教授、同大学女性文化研究所長。2007年に同大学学長、2014年理事長、2016年総長。2023年に理事長退任。著書に300万部を超えるベストセラーの『女性の品格』(PHP研究所)のほか『70歳のたしなみ』(小学館)など多数。

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(昭和女子大学総長 坂東 眞理子)

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