避難所運営をデジタルで効率化する新システムを開発
PR TIMES / 2021年1月19日 19時45分
~BLEビーコン、AIシステムで漏れなく効率的な避難所運営~
地震や台風、豪雨などの大規模災害の発生時に設置される自治体の避難所について、福岡工業大学情報通信工学科の石田研究室では小型のコンピュータ端末「BLEビーコン」を用いて避難所に出入りする人の数や性別、住所などの情報をタッチレスで送受信し、集計するシステムを開発しました。それらのデータと過去の災害対応データを組み合わせ、AIがその自治体や避難所にとって最適な物資や人員の配分を自動的に判断するシステムも開発しています。データとAIの力で漏れの無い、効率的な避難所運営を行う。新しい研究にご着目ください。
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10年前の東日本大震災の発生時、発生から1週間で設置された避難所は2000以上に上り、自治体やボランティアの人的資源も限られる中で避難所の運営は困難を迫られました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、今後の災害発生時には避難所の収容人数の大幅な見直しと分散避難が必要になるなど、新たな課題も生じています。こうした課題に対して、福岡工業大学情報通信工学科の石田研究室はコンピュータやAIによるシステムを使って、効率的な被災者の情報把握や避難所の運営をする研究を進めています。
【被災者は今どこに?何人?小型コンピュータ「ビーコン」でタッチレス集計】
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支援業務を行う職員やボランティアの人数にも限界がある中で、出入りする避難者の正確な集計を行うことは困難です。石田研究室が開発したシステムを用いる場合、避難者は平常時にアプリに自分の情報を登録しておきます。被災時に避難所へ行き、BLEビーコンの半径10m以内に立ち入ると、ビーコンが自動的に被災者とメッセージのやり取りを行い、出入りを記録。「今その避難所にいる人数」をリアルタイムで集計出来ます。
自治体が避難所の支援を行う上で最も重要なのは実際に避難所にどのような人(性別、高齢者、子供)が何人いるかという情報です。ビーコンに登録された情報は、自治体の管理画面に集約され、物資の配分などを判断する材料になります。民間の施設を臨時で避難所にする場合も、ビーコンとシステムがあれば情報の把握を行うことが可能です。退出する場合に次の行き先を登録してもらえれば、その後の支援の漏れも無くすことが出来ます。
【効率的な物資、人員の配置は?AIが提案】
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多くの避難所が開設された場合に、どの避難所にどれくらいの物資を送るべきか。効率的な支援のために自治体の組織内でどれくらい人員や機材を配置するべきか。担当者はケースごとに判断する必要があります。
このシステムはこれまでに自治体が過去の災害時にどのような対応をしてきたかをAIが分析。
過去の同規模の災害時を振り返って、どのようなリソース配分を行うことが必要か、その時点で最適と考えられる提案をしてくれます。これによって、迅速かつ過不足のない物資や人員の配置を行うことで、災害支援を速やかに行うことが出来ます。各自治体にある過去の災害対応のデータをAIの学習材料として共有できれば、より精密な予測も実現可能です。
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情報工学部 情報通信工学科 石田智行 准教授
民間企業での勤務を経て、2006年~2013年まで岩手県滝沢市役所に勤務。自治体職員として東日本大震災を経験し、初動対応や支援活動にあたりました。茨城大学工学部助教、講師を経て、2018年~福岡工業大学情報通信工学科准教授。自らが現場で感じた災害対応の課題に応えようと研究に取り組み、研究室メンバーと共に様々なシステムを開発しています。
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