進むTPP交渉――参加各国は商業利益より公衆衛生の優先を

PR TIMES / 2013年8月22日 12時49分



環太平洋パートナーシップ(TPP)協定の第19回交渉会合がブルネイで始まった。TPPは、参加12ヵ国5億人余りの健康向上にも資するものでなければならないが、一方で交渉は、低価格な医薬品の普及を阻み、各国政府が自国民の健康を守る能力すら制限されるような協定妥結に向かっていると、国境なき医師団(MSF)は懸念を表明する。

MSF必須医薬品キャンペーンの責任者で、ブルネイ入りするリーナ・メンガニーは、「米国は1年半以上にわたり貿易相手国から異議を突きつけられているにもかかわらず、知的財産保護の条項案取り下げを拒んでいます。この条項案は、安価なジェネリック薬の自由な入手を妨げるもので、米国の狙いは、医薬品の特許の乱発を抑えて特許期間を国際的な取り決めに基づく20年に限定しようという途上国政府の努力をくじくことにあります。またこうした画策は、米国政府自身がこれまで目指していた、製薬業界の商業的利益と、途上国の人びとの公衆衛生の利害の均衡を崩すものでもあるのです」と訴える。
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<新たな障壁――治験データの独占>

今回の会合で、米国は、生物製剤の「データ独占権」保護期間を12年にするという新たな要求を積み上げてくることが予想されている。生物製剤に分類される薬には、糖尿病、がん、C型肝炎などの治療に用いられる多くの薬が含まれる。このデータ独占権により、薬事規制当局がジェネリック薬、バイオシミラー(後発生物製剤)薬・ワクチンを承認する際、治験データの利用が制限されることになり、先発薬メーカーは当該薬の専売状態を確保できる。要するにデータ独占権は、特許で保護されていない薬やワクチンであっても、その普及流通を特許同様に阻む新たな障壁となるのだ。

治験データが非公開の間、当該薬の廉価版の製品化を進める競合メーカーは、薬事承認を得るため、改めて治験を行わなければならなくなる。安全性と効果は先発薬メーカーによって確認済みであるから、新たな治験は不経済かつ非倫理的な工程となってしまう。世界保健機関(WHO)をはじめ、各国連機関も、医薬品の普及流通に対する有害な影響を考慮し、各国のデータ独占権発動に警鐘を鳴らしている。さらに、12年と言う要求は、米国内の生物製剤のデータ独占権有効期間を7年に短縮しようという、オバマ政権の国内向け提案とも相反するものだ。

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