新型コロナウイルス:第2波で感染爆発したインド 国境なき医師団は緊急対応を再開
PR TIMES / 2021年4月26日 18時45分
インドにおける新型コロナウイルスの感染第2波を受け、国境なき医師団(MSF)は4月23日、西部マハラシュトラ州の州都ムンバイで緊急対応を再開した。人口過密の大都市ムンバイは、衛生状態が悪い地域もあるため、予防や感染者の治療が進まなければ、さらに急速拡大する恐れがある。
[画像: https://prtimes.jp/i/4782/516/resize/d4782-516-174140-0.jpg ]
新規感染者数 世界最多を連日更新
インドの1日あたりの新規感染者数は、4月25日時点で35万人近くに達し、世界最多記録を更新し続けている。感染拡大が最も深刻なマハラシュトラ州では、4月16日の新規感染者数が11万5736人にのぼり、MSFはこの地域で感染者の特定と容体管理、予防活動を支援している。
「非常に憂慮すべき状況です」とムンバイでMSFの新型コロナ対応コーディネーターを務めるディリップ・バスカランは語る。「パンデミック(世界的大流行)が始まって以来、最大の急増です。MSFはひっ迫する医療機関への支援をいつでも拡大できる状態にしています」
免疫の低下した患者、重篤者、スラム地区での対応に注力
MSFは、ムンバイのシャタブディ病院でスクリーニング検査やトリアージ(※)などの感染予防・制御を支援。結核や薬剤耐性結核の患者など、免疫力が低下して病気にかかりやすい人も対象とし、新型コロナの感染予防・感染者の特定を担っている。MSFは、マハラシュトラ州にあるMSFの結核診療所でも、同様の活動を実施している。
※重症度、緊急度などによって治療の優先順位を決めること。
シャタブディ病院とMSFの診療所に来た新型コロナと結核の二重感染患者は、入院による容体管理と治療のためにセウリ病院に搬送している。結核はないがコロナにより入院が必要な患者は、新型コロナ専門の治療センターに紹介。さらにMSFは、結核・薬剤耐性結核患者、糖尿病患者、高齢者などのハイリスク患者に対して、予防キット配布、カウンセリング、電話による経過観察を行っている。
MSFは先週、ムンバイのスラム地区で、オンラインによる健康教育と水と衛生活動を開始。以前から支援していた4カ所の一般診療所でケアの継続を図るとともに、同様の活動を、今後5カ所の医療施設に拡大していく。
MSFは、ムンバイに設置される巨大病院内の2部門を支援する準備も進めており、新型コロナ対応を強化するために、医師5人と看護師5人を追加採用した。各部門にはベッド数約1000床分の集中治療室用テント2セットがそれぞれ用意される。MSFはこの仮設病棟で酸素の供給や治療などの医療・技術支援を行うとともに、集中治療室で重篤患者のケアを担っていく。
MSFは1999年にインドで活動を開始。アンドラ・プラデシュ州、ビハール州、チャッティースガル州、デリー準州、ジャンムー・カシミール州、ジャルカンド州、マハラシュトラ州、マニプール州、テランガナ州、ウッタル・プラデシュ州で必須医療を無償で提供してきた。新型コロナのパンデミック初期には、MSFは同国北東部ビハール州の州都パトナで、100床の仮設治療センターを運営していた。
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