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全身性エリテマトーデス、自己抗体「抗P抗体」が病勢の評価に有用と判明

QLife / 2023年9月5日 12時33分

抗リボソームPタンパク質抗体、患者さんの病態にどのように関与?

 新潟大学の研究グループは、全身性エリテマトーデス(SLE)の患者さんにみられる自己抗体の一種、抗リボソームPタンパク質抗体(抗P抗体)の抗体価が病勢を反映することを明らかにしたと発表しました。

 SLEは免疫系の異常により、自分自身の身体の構成要素に対して、免疫反応を示す自己抗体が産生され、皮膚、関節、腎臓、脳神経などさまざまな臓器に障害を引き起こします。抗P抗体は、SLE患者さんに見られる自己抗体の一種であり、その存在は1965年頃から知られていました。

 これまでの研究では、抗P抗体と病変や炎症性サイトカイン産生との関連が示されていましたが、抗体価との数量的な関連については明らかな報告はありませんでした。研究グループは、先行研究で、抗P抗体をマウスに投与すると、⾎液中のトリプトファン(アミノ酸の一種)の分解が進み、トリプトファンを原料とするセロトニンが脳内で不⾜することにより、不安状態を引き起こすことを明らかにしました。今回は、このトリプトファンの分解が実際に抗P抗体を持つSLE患者さんにも亢進しているか、また不安状態が実際に多く⽣じているかの検証を⾏いました。

抗P抗体価が高いほど高容量の副腎皮質ステロイド薬が治療に必要

 研究グループは、2008年から2022年までの期間に、新潟大学医歯学総合病院にSLEで入院した患者さん80人を対象に、血清を用いて炎症性サイトカインやトリプトファン等の濃度を測定し、電子カルテ上のデータからSLEの病状との関連を比較検討しました。

 結果として、80人のうち30人において抗P抗体が検出され、その患者さんは皮膚に発疹が認められる割合が高く、また抗P抗体価は、病勢の強さを示す数値や治療に必要とされた副腎皮質ステロイド薬の内服量などに関連することがわかりました。具体的には、抗P抗体の抗体価が高いほど高容量の副腎皮質ステロイド薬が治療に必要であり、SLEの病勢の強さを評価したり、治療薬を選択したりする上で、抗P抗体の抗体価を測定することが有用であることがわかりました。

 また、抗P抗体のなかでは、IgG3型の抗体が最もSLEの病状と強い関連を示しました。IgG3はIgG型免疫グロブリンの中で最も強い免疫反応を惹起する抗体の型であり、SLE患者さんの病勢を強くする可能性があると考えられます。「今後は、もっと多くの人を対象にした研究を行って抗P抗体と免疫反応との因果関係を解明し、治療によって抗P抗体が関連した免疫異常がどのように改善されていくのかを明らかにすることが必要になる」と、研究グループは指摘しています。(QLife編集部)

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