フォロフライが2.2トンサイズの新型商用EV『F2』プロトタイプを初公開、25年デリバリー予定…E-Tokyo Festival 2024
レスポンス / 2024年4月1日 10時45分
ゼロエミッションビークルをテーマに有明の東京ビッグサイトで3月30日、31日に開催されたE-Tokyo Festival2024に、EVメーカーのフォロフライが出展。2.2トンサイズ新型電動トラックのプロトタイプや新しいクルマ作りの同社のスタンスを披露した。
配送の世界でラストワンマイルと呼ばれる比較的距離の短い輸送で、EVの優位性が認識されつつある。そんな中、フォロフライでは『F1』と呼ばれる最大積載量950kgのモデルをリリースし、すでに一定数のユーザーを得ている。EVでありながら既存の同クラスのガソリン車と同等の価格を実現したことも大きな強みとなり、配送業界などで利用が広がっている商用EVだ。
そんなF1での実績を受けてフォロフライではさらに大きなニーズのある2.2トンクラスのトラックの開発に着手。それが今回ブースに展示された『F2』(仮称)だ。当日の新車発表会ではブランドアンバサダーの俳優・声優・歌手の七海ひろきさんを招いて、小間裕康社長とのトークが繰り広げられた。
◆“導入時からコストダウン”ができるEVトラックに
デモ用に全身をゼブラ模様としたF2は、実は完成モデルではなく開発中の段階だという。平ボディの架装がなされていたが、これもあくまでも一例。各部の仕様は国内の顧客への試乗やリサーチを通して、ユーザーが欲しがっている仕様へとカスタマイズしていく予定だ。想定する走行距離や積載量、その他の細かな部分までをカスタマイズで対応していくとしている。価格面ではF1同様に、既存のライバル(2トンクラスのガソリン車)と同等の価格を想定し、EVトラックにありがちな導入コストが高いがランニングコストで元を取るのではなく“導入時からコストダウン”ができる予定だ。
注目したいのがその開発スタイル。同社は生産工場を外部委託するいわゆるファブレス生産のメーカーだ。しかし従来のファブレス生産だけではコストを思うように下げられないことを知っているフォロフライでは、複数の企業と部品などを共同開発することで費用を分担しコストを下げることに成功(スマートフォンのディスプレイ部を複数の企業が共用しているのと同様の開発スタイル)。具体的にはキャビンなどの共有化がそのひとつ。これをフォロフライではファブレス2.0と呼んで、同社の開発スタイルの根幹に据え、リーズナブルな車両を提供するのに一役買っている。
今後は4月から試乗会などを開催しつつ、ユーザーニーズを吸い上げ、カスタマイズを実施していき、2025年にはデリバリーを開始する予定だ。また日本仕様に合致する安全装備のカスタマイズも実施中。トラックへの搭載義務化がスタートする自動ブレーキシステムのカスタマイズも日本仕様として急ピッチで開発中だ。
まだまだ開発段階だというF2、デリバリーされる頃にはどんなトラックに仕上がっているのか。さらに、F2の次の展開としては国内需要の大きな1.5トントラックの開発も開発予定だという。フォロフライのEVトラックラインアップ拡充は急ピッチで進んでいくことが予想される。
◆『F1』のお好み焼きキッチンカーも
そんなF2の隣に展示されたのはF1のトラックに架装を施したキッチンカー。お好み焼き専門店の千房に向けてワンオフ設計された架装だ。フォロフライでは車両販売のみならず、架装の相談にも乗り、車両販売から架装までをワンオペで請け負う態勢を整え、ユーザーに合わせたオーダーメイドの仕様を作り上げることも実施している。トラックやバンなどの商用車では使用環境によってさまざまな仕様が必要になることを想定すると、ユーザーに取ってもありがたいシステムと言えるだろう。
ところでF1はボディサイズ的にはトヨタ『ハイエース』や日産『キャラバン』など国内で活躍しているバンモデルと同等で、ボリュームゾーンである同クラスの車両をEVに置き換えることによるメリットを感じるユーザーがF1に注目するケースが増えているという。
車両価格、メンテナンス費用、インフラ導入コストなどを総合的に考えて、既存のガソリン車に対してメリットが大きいEVトラック/バン。国内メーカーがファブレス生産で質が高く、リーズナブルな価格の車両を展開しはじめると既存の勢力地図は一気に変わってくる可能性もありそうだ。
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