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【MINI クーパーS 新型試乗】大きく、高くなっても「欲しい」と思わせる魅力…中村孝仁

レスポンス / 2024年10月8日 12時0分

ミニが新しくなり、すでに新しい『カントリーマン』の試乗記はお届けした。その時も記したけれど、新しいミニは大型化した。レベル的にはとてもミニとは呼べないのだけれど、それが言わば「姓」なのだから仕方ない。


今回は原点のミニともいえる3ドアモデルをお借りした。今回のモデルから単にミニ(以前だったらミニ・ワン)という呼称のモデルはなくなり、すべてが『ミニクーパー』という車名になったのが大きな違い。クーパーが付けば高性能モデルと思っていたのは過去の話である。


今回は「クーパーC」と「クーパーS」の2グレード。これに加えて新たな電動モデル(BEV)「クーパーE」と「クーパーSE」があるから、ICEとBEVで合計4グレードの展開となる。その中から今回お借りしたのは、クーパーSである。


◆ガラッと変わったインテリア


CとSの違いはエンジンで、Cにはワンと呼ばれていた時代と同じ1.5リットル3気筒のエンジンが搭載され、Sの方には2リットル4気筒ユニットが搭載される。どちらも組み合わされるトランスミッションは、先代と同じ7速DCTだ。パワーに関しては今回すべてKw表示とされてps表示は計算値として記載されているが、それによればCの方が156ps、Sの方が204psでどちらも相当にパワフルと言って過言ではない。因みに車両重量はCが1280kg、Sは1320kgである。


カントリーマンが大きくなってほとんどプジョー『3008』並みという話をしたが、大きくなったとはいえ、3ドアの3サイズは全長3875×全幅1745×全高1455mm。相変わらず全長は4mに満たないし、全幅だってカントリーマンから比べたら100mmも狭いから、これなら許せるという人は多いのではないかと思う。


インテリアに関しては基本的にカントリーマンと同じである(あくまでダッシュボードのデザイン)。とはいえ前回説明しなかったので改めて説明すると、変わったところがかなり多い。


例えばエンジンスタートだが、先代まではダッシュ中央に付く赤いスタート/ストップボタンを下側に押せば、エンジンオン/オフが可能だったが、今回は同じくダッシュ中央のEngineと書かれたスイッチを右に回してエンジンスタート。逆がエンジンオフである。


もっと変貌を遂げてしまったのがシフトレバーである。これまでは曲がりなりにもフロアにシフターが付いていたのだが、時代の流れか今回はエンジンスタータースイッチの隣に上下に動かすスイッチがあり、上げてR、下げてD、もう一回下げるとSモードに入る。余談ながらパドルシフトもないからドライバーの意思により変速は出来ない。パーキングはその隣のPボタンを押すことで入り、何といわゆるパーキングブレーキは存在しない。まあ、カタログ上ではそのPボタンをパーキングブレーキと称しているから、省かれたのはパーキングポジションなのかもしれない。


◆大きく、高くなっても「欲しい」と思わせる魅力


それにしてもパワーウェイトレシオ6.47である。勿論リッター当たり100psを超える。昔はリッター100psと言えば大したもんだったし、パワーウェイトレシオの6.47は、例を挙げればマツダ『ロードスター』の1.5リットルと2リットルの間ぐらい。元々ゴーカート・フィーリングなどと言っていたのだから、マツダ・ロードスターの様に軽快で楽しい走りを可能にしていることが数値的に裏付けられる。もちろんフィーリングは大違いなのだが、こちらはこちらで相当に楽しい。


今回はマツダのが試乗会で使った伊豆スカイラインを運転を楽しむレベルで走ってみたが、やっぱり楽しかった。


どう楽しいかというと、ステアリングを切り込んだ時の反応の速さがスポーツカー並みで、ズバッといけるし、直線での加速感も相当なもの。表現が稚拙だが、ロードスターがスパン、スパンとコーナーをクリアしていくのに対し、ミニはシャキン、シャキンといった感じ。まあ意味不明だな。でも、コーナリングの雰囲気が違うことは少し想像がつくと思うが、どっちも走って楽しいということだ。


「走って楽しい」を求められるクルマと、そうでないクルマがあることは重々承知している。そしてミニは大きくなったと同時に価格的にも高くなった。試乗したミニクーパーSは車両本体価格こそ465万円だが、試乗したモデルはオプションが57万円も載っていて、合計522万4000円であった。つまり乗り出し価格はというと、ほとんど600万円近い。ただ、それでも欲しいと思わせる魅力があって、どのように自動車の魅力をアピールするか、とてもよく考えられたクルマという印象を受けた。


そういえば試しはしなかったけれど、新しいミニはドライブレコーダーが標準装備なのだとか。そして、それは同時に美しい景色などを録画できる機能も持っていそうである。旅の動画も作れそうだ。


■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★


中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員・自動車技術会会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

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