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「エロ」ミームが大流行、ポルノ系ボットでXが埋め尽くされる理由 米

Rolling Stone Japan / 2024年3月9日 21時40分

いかがわしい新規フォロワーにご用心(PARILOV/ADOBE STOCK)

Twitterを買収したイーロン・マスク氏は、本人が言うところのTwitter最大の問題、すなわちボットの排除を約束した。いかにも彼らしいが、マスク氏は約束を守らなかったばかりか、問題解決策と本人が言う有料承認システムのせいでユーザーのフィードにはさらに偽アカウントが上がるようになった。数々の偽情報や過激思想はもちろんのこと、ジャンク広告やエンゲージメントを人為的に高める投稿がいたるところにあふれている。

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だが2024年年明け以降、一風変わったタイプのスパムがポストを席巻している――これをスパムと呼ぶとすればの話だが。それなりに注目を集めるポストのリプライを開くと、露出の高い魅力的な女性がいかがわしい画像をちらつかせる投稿をかなりの確率で目にするだろう。大本のポストの内容は関係ない。自然な文章になるようメッセージを修正するといったことは一切行われていないからだ。代わりに、間にスペースを挟んだ大文字で「HOT LINK IN BIO」「MY TITS IN BIO」と書かれている。とくに多いのが「MY PUSSY IN BIO」だ。プロフィール欄に飛ぶと、セクシーなアダルトコンテンツへのリンクがありますよ、というわけだ。



当然デジタルリテラシーの高い人々なら、これが体のいいハニーポットの類だと気づくだろう。インターネットにはポルノが無数に供給され、ファーストネームに数字がつらなるアカウントが一方的に発信した怪しげなリンクからわざわざ飛ばなくても十分事足りる。そうはいっても、「pussy in bio」ボットを裏で操る人間はかなり成功しているに違いない。なぜならどんなに削除しても、雨後の筍のごとく次々と現れるからだ。フィードをきれいにしようとブロックしても、スピードが追い付かない。

スパムアカウントは別の方法でも拡散している――しばしばXの衰退に対する不満の声として、またご想像の通りミームとして。単刀直入かつ独特なスタイルと脈絡のなさから、2024年のソーシャルメディアを牛耳る化身となった。誰もが金もうけ目当てで便乗することを最優先し、有意義な文脈がすべて台無しにされている。どんなにたわいもない考えや文化的言及も、突然前触れもなく話題を急転換され、「MY PUSSY IN BIO」に持っていかれてしまうのだ。



どうやら「PUSSY IN BIO」は(どん底の鬱状態とは真逆の)元気はつらつ状態や、なまめかしい雰囲気を表現するキャッチフレーズとも化しているようだ。K-POPファンは、ステージ上での推しの立ち居振る舞いやダンスの動きを賞賛する際にこのフレーズを使っている。一方コメディアンの中には、言葉遊びを面白がっている者もいる。使い方は様々だが、容赦ないポルノ系ボットに日がな囲まれているX中毒ユーザーは、このバカバカしい呪文が頭から離れなくなっているようだ。ボットを駆除するどころか、人類全体が思い思いに再利用しているようだ。

だが謎は残る。全く同じフレーズで、卑猥なコンテンツを約束する怪しげなアカウントが突然大量発生したのはなぜなのか。もっとも考えられる可能性は、Xの規制機能を回避しようという新手の手段だ――Twitterの規制機能は今までも決して有効とは言えなかったが、なぜかマスク氏が実権を握ってから目に見えて悪化している。

「多種多様なポルノ系スパムはTwitterの長年の問題ですが、つねに形を変えています。おそらくはX(旧Twitter)の検知システムを回避するのが目的でしょう」と語るのは、@conspiratoroというユーザー名のデータサイエンティスト兼ソーシャルメディア開発者だ。ソーシャルメディア操作に関するSubstackのニュースレターにもこう書いている。「おかしな絵文字を文字の間に挿入するのが、おそらく最新の手口ですね。きわどい言語をふるいにかけるフィルター機能を混乱させる別の狙いもあります」。

プロフィールや投稿が似通っていること、また単純に数の多さから、裏で組織化されたネットワークが操っているのは明らかだと@conspiratoroは言う。「1人の人間、または集団が大量アカウントを作成する何らかのソフトウェアを利用して」こうした現象を起こしているのではないかと同氏は疑っている。リンク先には、個人情報にアクセスできるようなマルウェアやフィッシング詐欺につながっていると思われる。@consipiratoroは「直接テストをしたわけではないので100%確信は持てませんが」とことわりを入れた上で、「ノートンの自動システムでも、リンク先のドメインには『安全上の問題があります』というフラグが立ちます」と語った。



とはいえ、大したことのないポストのコメント欄でエロ画像を提供する魅力的なモデルを見つけ、ついそそられたら要注意だ。朗報としては、しばらくすればスパムの仕掛け人も現在の詐欺活動や(おそらく)データ流出の手口を再び変えてくるだろう。今繰り広げられている現象は、かつて栄華を誇ったWEBサイトのさらなる汚点に過ぎない。だからといって、これ以上悪化しないというわけではないが。卑猥さや迷惑の度合いにもよるだろうが、新手のボットが出てくれば「PUSSY IN BIO」も懐かしく思えてくるかもしれない。この厳しい世の中、「PUSSY IN BIO」がすでに落ち着きつつあることは否めない。

ずっとオンラインの世界についていろいろ考えてたの。インターネットがいかに私たちを分断させてきたか。日を追うごとにPUSSY IN BIOなことはますます明らかになっている。

関連記事:米ポルノ業界、人種差別の赤裸々な実態

from Rolling Stone US

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