「昔のサザエさん、バグってるやつ多いんすよ」サザエさん大好き芸人・金属バットが熱く語る神回「全国民が花沢さんの相手はカツオやと思ってるけど」

〈エイプリルフールは企業がツイッターでスベる日「センスあるやつがやりだしたのに、アホが集まったらおもんなくなる」〉から続く

長い冬が明け、桜満開の春が到来。東京のど真ん中にある市ヶ谷のつり堀で釣りをしながら、日曜日の不動の楽しみ、『サザエさん』について熱く語る金属バットの二人がいた。

【画像】なかなか釣れないはずのつり堀で釣りまくる金属バットの二人

「サザエさん」の伊佐坂先生は「なろう系」の小説家

――先日配信した【笑点オールスター】の回が好評で、今回は「日曜日の国民的テレビ番組」つながりで『サザエさん』についてお話していただこうかと。

友保　サザエさんはよう見てますよ。

――少し前になりますが、3月11日はカツオの誕生日だったらしいですね。

友保　カツオ、あんな畜生いないですよ。

小林　カツオ、誕生日あったんや。

友保　この間、カツオがサザエさんと喧嘩して、サザエさんのこと「兄さん」って呼びだした（笑）。「こんなに暴れる人はもう兄さんですよ」って、タイ子さんにまで飛び火して大問題になったんですよ。2つの家、炎上して。

――見てますね〜。

友保　録画してまで見てるんでね（笑）。カツオはほんまにクソです。カツオとワカメの部屋に貼ってあるポスター思い出してください。月の絵と解説が書いてあって、上のほうに「MOON」。なんで月の土地について知ろうとしてんねん。

小林　あとあいつらお菓子に命かけすぎてるよな。

友保　「なんだ今日はジュースだけかよ〜」って、ジュース飲めたらええやんか。甘味に命かけすぎなんよ。

 

――多くの人がサザエさん由来で小説家のイメージは完全に伊佐坂先生になってます。

友保　あれ、おれは一個苦言を呈したい。ツートライブの周平魂が、あいつもめっちゃサザエさん見てるんです。デルマパンゲの迫田も。この前三人で飲む会があったんですけど、しっかりサザエさんの話になって、お互いの意見を交わしたんすけど。俺は伊佐坂先生はちょっとにおうなと。

――どういうことですか？

友保　変でしょう。俺のこの考察が正しければ、伊佐坂先生は「なろう系」の小説書いてんすよ。

小林　異世界転生ものか。

友保　そう、だからお金稼げてないんすよ。ノリスケが適当に言って、原稿はシュレッターにかけてる。で、なんで金稼いでるかっていうと、甚六、せがれね。甚六がいつも家の前で愛車のビートルを整備してるじゃないですか。あのレストアで金稼いでるんじゃないかと。

小林　これね、長年言い続けてる（笑）。

友保　お軽さん（伊佐坂先生の妻）が毎回、フネさんが洗濯物が干してると出てくるでしょ。お軽さんも心にちょっと病気を抱えてる。あれ、フネさんずっと待ってて、それで毎回女学校時代のクラブの話するでしょ。なんかありますよ、伊佐坂家は。

サザエさんにこれだけは言わせてください

――編集者がわざわざ原稿を取りに来るということは、伊佐坂先生は大御所クラスの小説家だと思ってました。

友保　そう思うじゃないですか。あの、裏のおばあちゃんの回見ました？　裏のおばあちゃんの家にテレビ局の車が来るんですよ。それをカツオやワカメが見て、「裏のおばあちゃんの家に来てるけど、あれ伊佐坂先生の家と間違えたんやろ」言うて。でも、ホンマは裏のおばあちゃんがぬか漬け名人として。朝5時半からのテレビに呼ばれて（笑）。伊佐坂先生の家にはテレビの収録来ないんですよ。

小林　テレビNGの小説家かもしれん。

友保　んなわけない。あんなやつ。あとこれだけ言わせてください。ハチ吠えすぎ。だってお前、この前見たあれ。

小林　見てない見てない（笑）。

友保　ハチ、とうとうブランコにまで吠えてるから。

小林　揺れるから。動くもんには吠えるから（笑）。

友保　ブランコにやて、ワンワン！って。ハチもストレスたまっとんのや。

――伊佐坂先生が住む前は、別のご家庭があの家に住んでいた気がするのですが。浜さん、だったかな。

小林　そんな人おったんや。

友保　えーーー裏のおじいちゃんおばあちゃんじゃなくて？　「一番風呂入れ」でおなじみの裏のおじいちゃん。体がピリピリするからって。

小林　浜さんがなんや、ややこしなって名前を呼ばなくなったんちゃうか。

友保　なんかあったんやろな。

――いまネットで調べましたが……「浜さんが登場したのは1978年。サザエさんの家を新しい自分の家だと勘違いして上がり込み用意してあった食事まで食べてしまいます」とありますね。

友保　昔のサザエさん、バグってるやつ多いんすよ（笑）。三河屋さんのサブちゃんの下もいましたからね。昔、サザエさんに「マフラー編め」って言うんすよ。むちゃくちゃなこと言ってる。

 サザエさんの主題歌に感じる時代

――「最後は浜さんが磯野家に引越しそばを振る舞って一件落着」とありました。

小林　するかい（笑）。

友保　いや、結局食いもんなんすよ、あいつら。さっきのサブちゃんの下のやつ、サザエさんにマフラー編ましたやつもそう。「マフラー編めた？」って聞いてきて、窓越しに「編めたよ」って渡したら、そいつが「うーん、あんまり毛糸が余ってないなー」って帰っていって、サザエさんが怒るんすよ。「なんやあの態度、最近の子嫌やなあ」って言うた後にそいつがいっぱい焼き芋持ってきて。サザエさんが「あ、言いすぎたわァ」…結局食いもん。

 

――主題歌もすごくよかったですよね。

友保　「うちとおんなじね、なかよしね♪　私もサザエさん　あなたもサザエさん♪」のやつね。エンディングの歌ってなんでしたっけ。

――それは火曜日放送のオープニングですね。エンディングは「あかるい笑いをふりまして♪　お料理片手にお洗濯♪」でしたか。

友保　あったあった一撃で思い出した。

――いま思えばきつい家事労働も笑顔でこなせという歌ですね。

友保　でもあっこ、ツーオペですから。

小林　そうかワンオペやないな。ツーオペなら十分まわるな。

友保　あと冷蔵庫、緑すぎ。

小林　あの時代の冷蔵庫って緑やな。

友保　あとメシ貧弱すぎ。たまにちっちゃいコッペパンで米食ってるときある。

小林　エネルギー補給最優先（笑）。

友保　電話はいまだに黒電話。

――普及率が日本全体の90%を超えるとサザエさんに登場するというのを何かで読んだことがあります。

友保　そういや一回マスオさんが車乗ってましたわ。見たことない外国のバスのシートベルトみたいな、とんでもないところから出てくるシートベルトしてた……あ、でも俺カツオの靴ほしいんすよ。

――どんな靴なんですか？

友保　あの石みたいな、灰色のやつ。あの靴めっちゃよくないですか。卵切ったみたいな。そうだ、この前のサザエさん見ました？　雪降る回、コンコン大作戦。

全員　見てないです。

探偵社で働いたサザエさんがすぐに辞めた理由

友保　俺あれちょっとざわっとしたんですよ。明日雪が降るいうて、カツオとワカメが「コンコン大作戦」っていうのを立てたんですね。で、雪降ったらなにするか、雪を食べようと。で、その作戦バレて、波平に怒られて、雪は食うなと。で、フネさんにも「雪は“コンコ”だよ」と。ただそこはマスオが「“コンコン”のほうが響きがいいね」と、間に入ってくれて。「じゃあ雪が降ったら楽しもう」と。

でも、次の日雪が降らんかった。降らんかったら、最悪やってなったんやけど、その次の日がまた降るってなって、カツオが学校行くんすよ。で、5年生の主要メンバーで並んで帰るんですけど、中島とあの不動産屋の子、花沢さんが同じ黄色い長靴履いてたんですよ……。

これ匂わせじゃないですか。これ裏でつながってんじゃないか、と。俺一個引っかかりましたね。

 

小林　全国民が花沢さんの相手はカツオやと思ってるけど……。

友保　俺はザワっとしたね。飲んでたハイボールを置いたよ。おや？　こいつら？　と。

――サザエさんを独特な視点で見ていらっしゃる。

友保　俺、サザエさんの原作もいってるんすけど、原作まとめた雑誌みたいなんこの間、部屋から出てきたんですよ。そこになかなか鋭いこと書いてあって「サザエさん一家は流行りには乗るけど、物欲には捉われてない」と。たしかに切手ブームのときも切手収集癖はなかったですね。趣味は多いけど収集癖はない。波平も盆栽を我がもの顔で育ててるけど、モノは集めない。ひとつ自分てものを持ってるんですよね。

――現代へのアンチテーゼですね。

小林　集めたり、鮨屋で時計並べたりな。

友保　あと、港区女子はサザエさん見たほうがいい。サザエさんは探偵社で働いてたことありますからね。見たことないくらいデカい弁当箱持って、どんだけ食うねんっていう（笑）。

――サザエさんの自立。

友保　結局ミスしすぎてすぐやめたけど（笑）。

小林　あの髪型で尾行は無理やろな（笑）。

取材・文／西澤千央　撮影／高木陽春