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天の川銀河の中心にもう1つの巨大ブラックホールが存在するかも

sorae.jp / 2019年12月25日 21時28分

この宇宙に存在する銀河のほとんどは、質量が大きな巨大ブラックホールを持っていると考えられています。私たちが住む天の川銀河の中心にも超大質量ブラックホールが存在すると確実視されていますが、もしかするともう1つの巨大なブラックホールが潜んでいるかもしれません。

■今はまだ検出できない2つ目の巨大ブラックホールが存在する?

巨大ブラックホールの連星を描いた想像図(Credit: NASA)

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のSmadar Naoz氏は12月12日、The Conversationにおいて、天の川銀河の中心にもう1つの巨大ブラックホールが存在する可能性に言及しました。

前述のように、天の川銀河の中心には「いて座A*(エースター)」と呼ばれる超大質量ブラックホールの存在が確実視されています。いて座A*はM87の超大質量ブラックホールのように直接撮像されたことはまだありませんが、すぐ近くを周回する複数の恒星の動きを長年追跡することで、太陽の400万倍という大質量を持つ天体であることが明らかになっています。

このうち「S0-2」(または「S2」)と呼ばれる恒星はおよそ16年で一周する楕円軌道を描きながらいて座A*を周回しており、最接近時にはいて座A*まで120天文単位という「至近距離」まで近付くことから、いて座A*の質量の推定や一般相対性理論の検証などに用いられてきました。

過去20年以上に渡るS0-2の観測結果は、少なくともいて座A*から200天文単位以上離れたところに太陽の10万倍以上の質量を持つ巨大ブラックホールが存在する可能性を否定しています。しかしNaoz氏は、現在の観測技術では検出困難なブラックホールが存在するかもしれないと考えています。

■銀河が合体するとブラックホールも集まり合体する

3つの銀河が合体しつつある相互作用銀河「SDSS J0849+1114」の光学観測画像(背景)とX線観測画像(左下)(Credit: X-ray: NASA/CXC/George Mason Univ./R. Pfeifle et al.; Optical: SDSS & NASA/STScI)

宇宙では、銀河どうしの接近、衝突、合体もめずらしいことではありません。近年では「ハッブル」宇宙望遠鏡などの観測により、接近しはじめたばかりのものから合体がかなり進行したものまで、さまざまな相互作用銀河が見つかっています。天の川銀河も例外ではなく、およそ100億年前に別の銀河と衝突・合体したことが恒星の動きから判明しています。

銀河が合体すると、それぞれが持っていた巨大なブラックホールは合体した銀河の中心付近に向かって集まり、やがて合体してより巨大なブラックホールへと成長します。天の川銀河が別の銀河との合体を経験してきたとすれば、複数の巨大ブラックホールが存在していたとしても不思議ではありません。

ブラックホール連星の存在を検出するには、連星が放つ重力波を観測する方法が利用できます。ただ、仮にいて座A*が別の巨大ブラックホールと連星を成していた場合、放たれる重力波は周波数が低くなるとみられ、現在稼働している「LIGO」や「Virgo」といった重力波望遠鏡では検出できません。そのためNaoz氏は、欧州宇宙機関(ESA)が2034年に打ち上げを予定している宇宙重力波望遠鏡「LISA(Laser Interferometer Space Antenna)」による観測に期待を寄せています。

宇宙重力波望遠鏡「LISA」を構成する3つの衛星のうち1つを描いた想像図(Credit: AEI/MM/exozet)

 

関連:合体銀河の中心に3個目の超大質量ブラックホールを発見

Image Credit: NASA
Source: The Conversation
文/松村武宏

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