全ての癌患者の情報が同意なしに登録義務化される「全国がん登録」。個人情報は大丈夫?
相談LINE / 2015年4月6日 21時30分
癌は国民の二人に一人がかかり、三人に一人は亡くなるといわれる病気です。それほど身近かつ重い病気でありながらも、その治療のための情報の整備や共有が、他の先進国と比べて遅れていると言われていました。
そういった背景を元に、日本医学会とそれに関連する学会が、2012年3月に「がん登録の法制化に係る要望書」を提出。その後、厚生労働省が2013年5月に「がん登録等の推進に関する法律案骨子案」を作成。そこから度重なる議論を経て、2013年12月に「がん登録法案」が成立し、来年の1月から施工されることになりました。
これによって癌と診断された全ての人のデータが、国によって管理されることになります。しかし心配なのは個人情報の管理でしょう。今回は全国がん登録についての概要や、個人情報について木川雅博弁護士に話を聞いてみました。
■以前からあったがん登録。しかし制度自体は上手くいっていなかった。
まずは全国がん登録とはどんな制度なのか教えてください。
『全国がん登録は、今まで都道府県単位で行っていた地域がん登録に代わり、日本でがんと診断された人のデータを国がまとめて集計・分析・管理する制度で、2016年1月からスタートします』(木川雅博弁護士)
なるほど。がん登録自体は以前から都道府県単位で行っていたのですね。しかしそれを全国で行うことになった背景や必要性は何でしょうか。
『地域がん登録の場合、居住地域以外でがん診断・治療を受けた人やがんにかかってから他県に移動した人などのデータが重複してしまい、正しい情報が把握できないことがありました。また、がん登録等の推進に関する法律が制定される前は、すべての医療機関が地域がん登録に協力していたわけではないので、すべてのがん患者のデータを収集することもできていませんでした』(木川雅博弁護士)
そもそも全ての医療機関ががん登録に協力していたわけではないとなると、情報の蓄積は期待されませんね。また各自治体との連携に難しさがあり、情報の管理が正しく行われていなかったと木川雅博弁護士は言います。
『そこで、全国がん登録を行うことによって、国民のがんの罹患数、がんの進行度、生存率を正確に把握して、地域に合った医療計画を立てたり、地域でがん検診が効果的に実施されているかを検証したり、医師と患者が治療方針を決定するために生かしたりすることができると説明されています』(木川雅博弁護士)
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