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日ハム本拠地・エスコンフィールドに漂う“暗雲”。北海道ならではの「避けては通れない課題」が

日刊SPA! / 2024年2月28日 8時53分

 ではなぜ、エスコンフィールドの可能性を活かしきれない事態となっているのだろうか。

 本来は鉄道の増便や時短化などを進め、観光客を誘致しやすい環境を整えるべきだろう。識者の試算によると、エスコンフィールドにおいては、JR北海道自ら投資をして新駅を建設しても採算が立つ可能性は十分にあるという指摘がある。

 一口で言えば、今の北海道内の交通は「お金がない、人がいない」という避けて通れない課題がある。例えばJR北海道は国鉄民営化の際、赤字前提での経営をスタートさせたが、同社は国から十分な赤字補填をされない状態が続いてきた。

 加えて、JR東日本やJR東海など、ほかの民営化した鉄道会社とは異なり、雪や害獣侵入などの北海道ならではの環境により、JR北海道は利用者数に対して鉄道の運用コストが高くついてきたのだ。

 北海道内には函館、登別、ニセコ、余市、小樽、富良野、十勝、帯広、旭川、網走、釧路など魅力的なコンテンツのある観光地が多い。だが、交通網が有機的に結びついておらず点在してしまっている。結果として、訪れたい場所があってもアクセスの悪さゆえに諦める観光客が少なくなく、これが滞在日数を少なくし、JR北海道の利用機会も減ってしまうのだ。

◆沖縄と比べてもアクセスの悪さが際立つ

 事実、国土交通省によれば、コロナ禍前の2017年における北海道の観光客の平均滞在日数は1.25日であるのに対し、沖縄は3.59日と2倍以上の差がある。

 ただし、両者は単純比較できるものではないだろう。

 沖縄は那覇空港から那覇市街、北谷、浦添、宜野湾など観光地の最北端である名護・恩納村エリアまでほぼ幹線道路沿いから2時間位内でアクセスできる。一方、北海道は新千歳空港から2時間以内でアクセスできるのはニセコが限界である。

 さらに札幌から直接ニセコを訪れた場合、小樽や余市へのアクセスは帰り道を考えると遠回りになる。つまり、魅力的なスポットが点在しており、アクセスが悪いのだ。

 では、それぞれのスポットを結びつけるインフラを整えればよいじゃないか、と思うかもしれない。だが、いまのJR北海道にはそれを実施するための資金もなければ人もいない。

 この問題に対してJR北海道が何もしなかったわけではない。同社は、これまで赤字解消のために廃線・廃駅化を進めたり、札幌都市圏での不動産開発などの企業努力を行ってきた。けれども前述の通り、年間の赤字額はどのJRよりも高い状態が長年続いた。結果として、現在もJR北海道は必要な経費投入も投資もできず、社員の給与も上げられず離職が進んでいるという道内関係者からの指摘もある。

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