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海外から注目されている「日本の兵器」。見本市で見た、意外なメーカー14社とその評判

日刊SPA! / 2024年3月5日 15時50分

◆装備庁として進める防衛装備移転で重要なこと

 府川室長によれば、今回ミッションのトップは海上自衛官出身の高見康裕防衛大臣補佐官であり、防衛装備移転を担当する高見補佐官は、「各国との連携を深めるために会場内を回っている」という。

 筆者も屋外会場で、空自が保有するF−35Aと同型の米空軍機を熱心に見つめ、整備員に声をかけている航空幕僚副長の姿を見かけた。

 アジア最大規模の兵器ショーに、過去最大の14社を引き連れてきた防衛装備庁は、十分に及第点以上の仕事をこなしているといえる。

 だが、一方で地球の裏側から多数のビジネスジェットを引き連れてきたブラジル空軍や、戦闘ヘリコプター「Z−10ME」を海外で初めて公開した中国航空工業集団、ショー初日に曲技飛行チームを送り込んだ韓国空軍などの動きに比べると、地味な印象は免れない。

 やはり、創設から10年に満たない防衛装備庁と失われた20年で体力を削がれた日本企業は、昇り竜の如く防衛産業の輸出シェアを拡大する韓国や新たな超大国として君臨する中国の動きを、ただ指をくわえて見ているほかないのだろうか。

 筆者はこの思いを府川室長にぶつけてみた。

「先ほど今回のコンセプトをお話ししましたが、その背景には防衛装備移転の基本的な考えがあります。日本は防衛装備移転を安全保障政策の一つの手段と位置付けており、インド太平洋の安定化に資するように進めています。

 そのため、装備庁として進める防衛装備移転で重要なことは、金額の多寡ではなく、相手国の能力向上に最もふさわしい装備品を政府と企業が一体となって売り込んでいくことにあると思います」

◆一見地味な商品やサービスこそ、日本の「最大の武器」

 この答えを聞いて、ミツフジ関係者の「シンガポール政府は、熱中症予防ウェアラブル端末に大きな関心を寄せています」という言葉が脳裏をよぎった。やはり、中国の覇権に怯えるにアジア諸国からの関心は高い。

 まだ2月だというのに、ほぼ赤道直下のシンガポールは30℃を超えていた。もし筆者がシンガポール政府関係者で、脈拍をモニターして熱中症の危険性をアラートするアルゴリズムの存在を知れば、国を挙げて導入を検討したくなると思うだろう。

 日本政府は’22年末に策定した新たな「国家安全保障戦略」を踏まえて、防衛装備移転三原則と運用指針を改正した。

 これらの動きを受けて、多くのメディアや国民は日本が武器輸出を解禁したと判断したが、今回のショーで装備庁が海外に売り込んだのは、これまで紹介してきたような商品やサービスだ。

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