「詐欺の被害金、全額回収」は誇大広告?現役弁護士に聞く、信頼できない弁護士の特徴
日刊SPA! / 2024年3月9日 8時52分
これは、2008年6月に施行された“振り込め詐欺救済法”によるもので、たとえその銀行口座の持ち主が詐欺に関係していなくても、口座の凍結や残金の回収、返金請求ができるようになりました。口座を売買した時点で、犯罪に加担しているとみなされるイメージです」
参考:政府広報オンライン「「振り込め詐欺救済法」に基づき、振り込んでしまったお金が返ってくる可能性があります。」
そのため、「たとえお金に困っても、自分の銀行口座を売ってはいけない」と佐久間弁護士。もちろん犯罪であり逮捕されるケースもあるほか、自分の生活が改善されてきたときや相続したタイミングで返金請求を受けるケースも考えられるからだ。
「ただ、売買された口座を管理しているのは詐欺集団の可能性が高いため残高は残っていないことがほとんどですし、口座を売買しなければならないほどお金に困っている人が返金請求時に現金を持っているケースは少ない。つまり、被害金を回収するというのは非常に稀であり難しいことなのです。現金を手渡ししている場合は、口座の差し押さえなどもできないため、さらに回収が難しいことになります」
◆弁護士が詐欺まがいの広告を出す背景
ではなぜ、回収率が低い詐欺まがいの広告を本物の弁護士が出してしまうのか。そのひとつに、「広報に疎く、集客のノウハウを持たない弁護士も多いです。年配ともなるとなおさらで、宣伝やPRは広告業者にお願いすることがほとんど」といった背景があるようだ。
「今回のケースだと弁護士が積極的に広告を出したというよりは、広告業者のほうから『最近、国際ロマンス詐欺が流行っているので集客できそうです。広告を出しませんか?』と誘われた形。そして言われるがまま広告を出してしまった結果、詐欺被害者を誤解させるような内容になったのではないかと考えています。ただ、本来は弁護士が最終チェックをおこない、責任をもって広告を出さなければならないため言い訳にすぎません」
そして、「こういった弁護士が増えてしまうと、依頼する側のリスクもかなり大きくなってしまう」と佐久間弁護士は懸念する。2018年に発覚した“かんぽ生命”の不適切な契約問題を例に挙げ、次のように話してくれた。
「民営化されても郵便局を公的な企業だと思っている年配の方も多く、信頼を寄せている人も多かった。その厚い信用を利用して裏切ったという側面が、今回の弁護士による着手金詐欺と似通っていると思いますし、同じ弁護士として許せない部分です」
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