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尾野真千子の“ある部分”をつい見てしまう理由。色っぽい濡れ場でも気になる“場所”とは

日刊SPA! / 2024年3月27日 15時51分

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『僕の手を売ります』Xより

尾野真千子ってほんと不思議な存在。作品全体を動かす運動体でもあるし、有機体でありながらちょっと可笑しな機械仕掛けになったりもする。いつ、どの作品、どの瞬間を見ても心底驚かされる人。
最近では、毎週水曜日深夜12時25分から放送されているドラマ『僕の手を売ります』(FOD)で、より不思議で複雑な尾野がより新鮮だった。本作の冨永昌敬監督は、尾野真千子という存在のカスタマイズを試みたんじゃないか。

イケメン研究をライフワークとする“イケメンサーチャー”こと、コラムニスト・加賀谷健が、冨永監督からの返答を頼りに、本作の尾野真千子を妄想解説する。

◆朝食に“野獣料理”をこしらえる姿に驚き

朝食作り。まな板でベーコン(?)を切って、ぱぱっと鍋に入れる。入れるというより放り込むに近い動作がやけに似合うのが、尾野真千子という人だ。放り込んでも、むしろ、食材の味わいが広がって美味しそう。

娘の丸子(當真あみ)が慌ただしく起きてくる。「角煮じゃん」といって器からひとつまみ。すると尾野扮する母・雅美が説明する。角煮は熊の肉で、鍋に入っているのは、イノシシ。イノブタの豚汁というわけ。あとは豆腐を入れて味噌を溶くだけ。

ええっ、イノシシだったのね。クジラベーコンに見えた気もするけれど……。娘の高校受験だと意気込んで、朝から“野獣料理”をこしらえる風変わりな食事作りがいかにもさらっと演じられる。実は受験が明日だったことに気づいてもあっけらかん。

そそくさと仕事に出ようとすると、「手洗ってよ」と丸子に注意される。やや間を置いて、「そうだったね」といって台所に戻ってくる空気感。尾野が台所にいるだけでもうすでにただならない雰囲気だというのに、この野獣料理の食材による快い錯覚まである冒頭場面が、ほんと不思議。

◆肉を媒介にした奇怪な人間関係が展開

それにしても、あのベーコンらしき、柔らかな色合いの猪肉の即物的な魅力とは。そうだな、例えるならば、長谷川和彦監督作『青春の殺人者』(1976年)で、市原悦子が血潮にドボンと転がすキャベツの強烈な一打みたいな。

水谷豊主演の文字通り、青春映画であるはずの同作に、父親殺しの烙印を押すリアリティが、あの即物的なキャベツだったことを映画史は物語っている。長谷川監督渾身のキャベツくらいの熱量を尾野真千子が切る猪肉にもぼくは勝手に感じた。

別の肉の塊も登場する。これは雅美の夫・大桑北郎(オダギリジョー)がバイト先で貰ったもの。「心配するな、鳥ではない」と説明されるその肉は、ラップでぐるぐるまきにされた、結構硬そうな謎の物体で、人から人へ手渡される。手から手へ、紙幣を媒介にするロベール・ブレッソン監督の『ラルジャン』(1983年)を不意に思い出させる、肉を媒介にした奇怪な人間関係がサイドストーリー的に描かれる。

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