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『離婚しない男』でも挿入歌に。中西保志の「最後の雨」が30年以上歌い継がれる理由

日刊SPA! / 2024年4月1日 15時51分

このスタンダード化の動きは、今さらに、テレビドラマの世界で、別次元の錬金術によって豊かなケミストリーを生じている。しかもまさかの不倫ドラマ。ぼくがテレビドラマ史上、最強にして最恐の不倫ドラマだと思っている『離婚しない男』で、異色の挿入歌使いとして、何とも言えないタイミングと悲喜こもごもの余韻で、画面上に流れる衝撃たるや……。

◆挿入歌のさりげないすり替えが

『離婚しない男』では、伊藤淳史扮する岡谷渉が愛娘の親権を獲得するため、妻の岡谷綾香(篠田麻里子)と悪魔的な不倫男・司馬マサト(小池徹平)との不貞現場を暴こうとする。決定的証拠がおさえられたかという瞬間に、力んで前歯が抜けるわ、指の骨にヒビが入るわで、伊藤がてんやわんや。

妻の不倫に耐えるしかない苦しい夫の孤独が際立つ。毎話のクライマックス、そんな渉の切なさが画面上を漂ったタイミングで流れるのが、きました「最後の雨」。GENERATIONSのツインボーカル数原龍友によるカバーは、なるほど、さすがホットでセクシーな数原節が直球でキメてくる。

伊藤がにじませる切なさそっちのけで、もう数原君に口説かれてる感じ。うっとりなんてしてると、第5話ラスト、グラマラスな藤原紀香がいきなり登場して、なぜか大瀧詠一の「幸せな結末」(1997年)が流れる。なに、この挿入歌のさりげないすり替えは……。これがこの不倫ドラマの錬金術のケレン味のひとつなわけだが、第6話からはやっぱりまた数原カバーの「最後の雨」ががんがん流れる。

◆得恋と失恋を同時に完結させるという衝撃

第4話放送後の2月10日には、数原によるカバーナンバーがシングルとしてデジタルリリース。ここで再び疑問が急浮上。最恐不倫ドラマの挿入歌(というかもはや主題歌)として、なんでまた30年以上前の失恋ソングなのかと。

単に主人公の切なさを強調するには重い。2009年には女性視点のアンサーソング「Another Rain」をちゃっかりリリースしてる。松井五郎による慎ましい歌詞には、明確なアンサーは見つからない。となると、同時代を代表する別作品に助言を求めてみる。

「最後の雨」がオリコンチャート最高位16位にランクインしたのは、リリースの翌年、1993年のこと。この年の1月期クールに日本中を驚かせた衝撃作といえば。真田広之と桜井幸子主演の『高校教師』(TBS)。真田扮する高校教師が、恋仲になった教え子の父親を殺し、ふたりで逃避行。文字通りの赤い糸をお互いの指に結んで、得恋と失恋を同時に完結させるという衝撃のラスト。

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