2024年「冬ドラマBEST5」最終回まで観て選定。4位『さよならマエストロ』、『厨房のアリス』は3位
日刊SPA! / 2024年4月1日 15時50分
番組公式HPより
17本あった冬ドラマが全て終わった。全作品の最終回まで観た筆者が、ベスト5を選んでみたい(※各ドラマのストーリーのネタバレを含みます)。
◆5位『君が心をくれたから』(フジテレビ)
永野芽郁(24)が主演し、山田裕貴(33)が相手役を演じたラブストーリー。キーワードは究極の自己犠牲だった。それが払える相手は肉親以外だと深く愛する人のみだろう。しかも若いうちだけではないか。
なので、世代によって受け止め方が異なるドラマだったはず。若い世代をターゲットとする月9だから、制作者側はこの物語を紡いだのだろう。
永野が演じたのは逢原雨。パティシエになる夢が破れた挫折の人だった。山田が扮したのは花火職人・朝野太陽。しかし、視覚障がいがあり、職人を続けるのは難しかった。この2人が10年ぶりに再会するところから物語は始まる。雨にとって太陽は高校の2年先輩であり、大切な人だった。
◆ホラー調の作品になるかと思いきや
2人が再び顔を合わせた直後、太陽は交通事故に遭い、死の淵に立つ。雨が泣きじゃくっていると、あの世からの案内人(斎藤工)が現れ、心(五感)を差し出したら、太陽を助けてやるという。心は五感を差し出すことを約束する。こういった出だしのドラマや映画は過去になく、ホラー調の作品になるのかとも思ったが、実際には違った。
雨が犠牲を決心したことで太陽は生還する。一方で雨は五感を次々と失うが、太陽には案内人との約束を隠す。恩に着せるような言葉を口にした途端、自己犠牲は自己満足になってしまうからだ。同時に太陽にとっては重荷になる。
太陽は五感を次々と失う雨を支え続けた。最後になって、自分の命を差し出せば雨の五感が戻ると案内人から伝えられると、躊躇せずに自分の死を選ぶ。太陽もどんな犠牲も厭わぬほど雨を愛していた。
ラブストーリーにも実際の恋愛にもミーイズムが当たり前になっている時代だから、このドラマが提示した愛の解釈には意義があったと思う。
◆4位『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS)
こちらのキーワードは再生。主演の西島秀俊(53)が演じた夏目俊平は世界的マエストロ(指揮者)だったが、音楽に没頭するあまり、5年前に娘でバイオリニストだった響(芦田愛菜)を深く傷つけてしまう。それが基で父娘の関係は崩壊。俊平は憔悴し、マエストロを辞めた。
壊れた4つのモノの再生までの物語だった。まず俊平と響の父娘関係、バイオリニストとしての響、帰国した俊平が率いたポンコツ楽団「晴見フィルハーモニー」、そして世界的マエストロとしての俊平。よくぞ再生ばかりを混ぜ合わせたものである。
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