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いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も

日刊SPA! / 2024年5月20日 8時53分

いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も

いきなりステーキ(筆者撮影)

 帝国データバンクによると、2023年度のステーキ店の倒産件数が過去最高を更新したようだ。主要食材である米国産牛は、ウクライナ紛争や干ばつなど異常気象の影響で生産コストが急騰し、加えて円安の影響などで輸入価格が急上昇するなど、経営環境の急激な悪化が原因である。
 貿易統計によると、ステーキ店などで使用が多いサーロインなどの米国産牛肉価格は、2023年度平均だと5年間で1.4倍に、米国産より安価な豪州産も5年間で1.3倍と急上昇している。

 低価格を売りとしたステーキ店や小規模店では急激な仕入れ価格の上昇ペースに耐えられないケースも出ているようだ。低価格で楽しめたステーキ店には、とてつもない逆風が吹いており、生き残りに必死の様相を呈している。

◆知名度は高い「いきなりステーキ」

 立ち食いのスタイルで注目を浴び、店舗数を拡大していった「いきなりステーキ」(株式会社ペッパーフードサービス)。一時期は500店舗まで迫ったが、急速に勢いが衰え、約320店舗の撤退を余儀なくされ、2024年3月時点で185店舗(国内181、海外4店舗)しか残っていない。

 売上は145億8700万円(2023年12月期決算)で外食売上ランキングは54位と、いつの間にかブロンコビリー(47位。後述)に店舗数で追い抜かれたようだ。

 いきなりステーキは当初、立ち食いでも原価が5~7割をアピールポイントにし、一世を風靡。ステーキの量をお客さんが自由に決められるオーダーカット制の導入で、手軽にお手頃価格でステーキを食べられる店を標榜していた。

◆特許出願が認められた珍しいケース

 狭小店舗に積極的に出店し、お客さんを高回転させるため原価は高く、粗利益率は低い。賃料など管理費用を低減させ、固定費を低くした効果もあり、損益分岐点の低い店づくりをしていた。

 しかし、それとは別の理由で苦戦を強いられていると筆者は思う。いきなりステーキは特許出願(提供方法の新規性、利用可能性、進歩性)が認められた外食業界では珍しい店である。通常の外食業界は、新たな試みをしても差別化が困難で、模倣も容易だ。

 いきなりステーキは知的所有権を保有し、それをビジネスモデル特許(ステーキの提供システム)として2014年6月に申請したのである。特許庁がなかなか発明と認めなかったが、補正をして2016年6月にやっと登録された時も話題になった。すぐに異議申し立てがされたが、最終的にはこの特許が維持されることとなった。

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