いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も
日刊SPA! / 2024年5月20日 8時53分
その省力化投資で、筆者の訪問時は、ビッグボーイはランチのピーク時でもホール2人、キッチン3人、配膳ロボット2台で約110人収容の大型店を回しており、料理提供には配膳ロボットがフル活動している。人はフードバー(サラダ・カレー・スープ)の補充や片付けに専念しており、人と機械の協働体系が構築されている。
一方のブロンコビリーは、こちらも筆者の訪問時は、7人の定数で運営していた。パートさんの最低賃金と4時間程度の時間保障などの人件費総額とロボットの1時間あたりのリース費用(約95円)とを勘案し、それらを投入して店が得る効果を考えたら、どちらの運営スタイルがいいかは難しいところで、経営者の店舗経営に対する理念の違いであろう。
◆ステーキ業界のなかで生き残りをかける
ここまで説明してきたように、いきなりステーキが苦境に立たされる一方で、好調なブロンコビリーとビッグボーイ。だが、両チェーンとも店舗規模も同じ大型店でメニューもほぼ同様だが、運営スタイルは真逆であるのだ。
飲食店は1年で3割、2年で半分が廃業するなど、開業は容易でも存続は難しい業界であり、10年生存率は1割とのことである。そういったスクラップ&ビルドが頻繁の環境の中で、奮闘する各飲食店。いきなりステーキ・ブロンコビリー・ビッグボーイも、それぞれが厳しい経営環境の中で生き残り策を講じているようだ。
これからも、顧客提供価値を磨き上げ、さらなる商品・サービスの充実を追求し、顧客満足度を高めながら、自店の利益を確保する原点に立ち返り頑張ってもらいたい。
<TEXT/中村清志>
【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan
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