いきなりステーキ、特許の「オーダーカット制」廃止を招いた逆風。老舗チェーンと分かれた明暗も
日刊SPA! / 2024年5月20日 8時53分
◆「オーダーカット」も廃止。低迷の原因は?
そこまでして特許登録をしたのに、この逆風のために名物のオーダーカットを廃止し、提供方法の変更を余儀なくされたいきなりステーキ。でも業績悪化に陥った真因は、成長期における出店戦略の失敗ではなかろうか。それが起因となって順風満帆だった経営が傾いてしまったのではと分析する。
筆者の近所でも、1キロ商圏内に2店舗あり、しかも同じ看板で客を奪い合うカニバリゼーション状態が発生していた。いくら消費者に急速に人気が出た業態でも、性急に店舗展開をするのはリスクが高すぎる。需要と競争の実態を見極めなければ取り返しのつかないことになるが、よほどの自信があったのか、出店に強くアクセルを踏んだようだ。
案の定、やっぱりステーキ(89店舗・2022年5月末時点)など、同タイプのステーキ店の参入が相次ぎ、いきなりステーキの経営は厳しくなったようだ。また、戦略と管理の一体的推進が経営力で車の両輪の関係だが、やみくもに出店を急ぐがあまり、店舗の運営管理が追いつかず、撤退しないといけなくなった店もあったようだ。
いくら高級料理であるステーキを身近な料理にしたとしても、頻繁に食べられるものではないのは当然だ。筆者が焼肉店を経営していた時、売上予算を達成するためには、何人のお客さんが必要で、客単価はいくら必要かと計算した時、既存顧客の来店頻度は月に一度程度に設定していたものである。
◆奮闘するブロンコビリーとビッグボーイ!
そういった店を取り巻く環境が厳しい中で奮闘するのが、ステーキやハンバーグをメインにした「ブロンコビリー」と、「ビッグボーイ」だ。
ブロンコビリーは1978年に故・竹市請公氏が開業した「ステーキハウスブロンコ」を母体として、1983年にレストランチェーンを運営する株式会社ブロンコビリーを設立した。コスパが高いステーキチェーンとして人気で、東海地方を中心に、全店直営の郊外型店舗で139店舗(2024年4月1日現在)を展開している。
2023年12月期の売上は233億7700万円、営業利益は16億4400万円、営業利益率は7%となっており、収益性は大型店の中では高いほうであろう。財務の安定性においては、自己資本比率81.5%と盤石である(2023年度決算より)。売上規模は外食ランキング47位となっているが、多くのファンがおり、勢いがある店で注目されている。
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