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日本の“干し芋”がタンザニアのスーパーに。「アフリカにカルビーを創る」日本人男性の挑戦

日刊SPA! / 2024年7月30日 8時51分

このときを思い返して出てきたのが、長谷川さんの冒頭の一言だ。

しかし、「役にたっていない」とくじける長谷川さんではない。そもそも彼は「難しい問題に出合うと奮い立つタイプ」なのだ。各国の援助団体が莫大な予算を使ってもアフリカの農業開発が進まない事実を知り、この仕事に生涯をかけて取り組むことを決めた。

「一方的な援助は農家をむしろダメにする。どうしたらアフリカの農家の役に立つのだろう」この答えを見つけるために、帰国後、京都大学大学院でアフリカ地域研究科に所属し、アフリカの農村の研究をした。5年間の研究とフィールドワークの末にたどり着いた結論は、農家に必要なのは知識や技術ではなく、「経営」だということ。

そこで、経営について学ぶため、当時、経営力のある農業をしていると評判のワタミフードサービス株式会社(現・ワタミ株式会社)に就職する。「博士課程まで行って、居酒屋の店員?」と周囲はあきれた。しかし、頭でっかちの大学院卒にリアルな経営を叩き込んでくれたのは、ワタミの厳しい店舗経営だった。だが、その頃に子供が生まれ、長い就業時間から家族との時間が全くとれない働き方に疑問を持ち退職。

次の職場はアフリカ料理のレストラン。料理好きの長谷川さんはここで料理長として腕をふるうが、その一方で、自分がやりたい「アフリカで農業」からは離れてきていると感じ、1年で新たな職場に挑んだ。

◆800人以上の農家を取材して

料理長からの転身先は農業専門の出版社だった。「農業技術通信社」でカルビーの契約農家向けに発行しているジャガイモ栽培の技術情報誌「ポテカル」の編集に携わることになった。この時にカルビーの経営スタイルを知り感銘を受ける。

カルビー社は独自の仕組みで約1,700戸の契約農家と協働してじゃがいもを栽培している。農家と二人三脚で商品の品質を改善していくという手間がかかるプロセスをあえて取り入れ、農家とのコミュニケーションに真摯に取り組むことで、結果的に業界トップになった。

「カルビーは契約農家が上手にじゃがいもを作れるようにサポートし、契約農家はカルビーの受入基準を満たせるように栽培を改善する。さらにカルビーの優れた商品開発力によって、買い取った原料をあますことなくヒット商品に加工しているんです。カルビーは農家と二人三脚で一緒にものづくりをしているというスタンスなんです」

多くの農業経営者を取材をしながら「アフリカにカルビーを創る」という構想が出来上がってきた長谷川さん。その頃、取材先で出合ったのが、ケニアでナッツ工場を経営する佐藤芳之氏だ。アフリカで農業をしたいという長谷川さんの熱い思いに意気投合した佐藤さんは、ルワンダでの新事業の経営を長谷川さんに任せた。アフリカでの経営を学ぶには絶好のチャンスだ。

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