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日本の“干し芋”がタンザニアのスーパーに。「アフリカにカルビーを創る」日本人男性の挑戦

日刊SPA! / 2024年7月30日 8時51分

「口だけきれいなこと言って給料がちゃんと払えない社長と、ちょっとおっかないけれど払うものはちゃんと払う社長。どっちを信用するかと言えば後者ですよね」

アフリカに必要なのは農業の知識ではなく、経営だと気づいてから、長谷川さんは20年の時を経て自分なりの経営手法を見出したようだ。アフリカならではの苦労話を期待していた私に長谷川さんはこう切り返した。

「日本だって大変なことはあるじゃないですか。『アフリカだから』って言ってしまいがちですが、実は日本にもあるよね、ということばかりですよ」

そういって例に出したのはタンザニアの契約農家とのエピソードだ。作付け前にサツマイモの苗を農家に配っていたのに、収穫の時期に行ってみると他社にサツマイモを売ってしまったというではないか。相場が上がり高い買値を提示した他社に横流しされてしまったのだ。

カルビーの契約栽培の昔を知っているOBに相談すると、たいがいこう言われるそうだ。「懐かしいね、そういうこと北海道でも80年代にはあったなー」

契約栽培の失敗談は尽きない。そんなに失敗しているのに、なぜ悠然と「でも大丈夫」といえるのだろう?その問いに「カルビーも北海道で同じ問題に直面して、それを解決できました。だからタンザニアでも解決できます」とあっけらかんと答えた。

創業から今年で10年。長谷川さんは、自身がタンザニアの地を離れても、タンザニア農家が販売先を守り、干し芋産業が持続可能なセクターとして発展していく土台を築きたいと熱く語る。『アフリカだから大変だ』という固定観念を一切持たず、タンザニアの地で奮闘してきた長谷川さんの後ろ姿に、多くの日本の食品会社が続いていくことだろう。

アフリカにカルビーを——多くの人が非現実的だと思ったその壮大な夢。しかし、長谷川さんは確かな手ごたえを感じながら、その実現に向けて着実に歩みを進めている。

<取材・文/堀江知子>

【堀江知子】
民放キー局にて、15年以上にわたりアメリカ政治・世界情勢について取材。2022年にタンザニアに移住しフリーランスとして活動している。著書に『40代からの人生が楽しくなる タンザニアのすごい思考法』がある。X(旧Twitter):@tmk_255

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