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日本の“干し芋”がタンザニアのスーパーに。「アフリカにカルビーを創る」日本人男性の挑戦

日刊SPA! / 2024年7月30日 8時51分

「ビジネス環境が不安定なので、日本とタンザニアなど多様な市場向けに、複数の商品を揃えてリスク分散しています。さらに日本企業向けのコンサルもやり、なんとか(収入の)バランスをとって生きていますね」

2018年に初めて黒字化し、いよいよ農家との契約栽培をスタートさせる。

JICAの支援を得て、タンザニアに干し芋用の『タマユタカ』の品種登録を始めたのは2017年、ついに完了したのが4年後の2021年。こうして創業から7年の月日を経て、干し芋の日本輸出までまた一歩近づいた。

「さあ、これから日本への輸出を始めるぞ」と思ったのもつかの間、このタイミングで新型コロナが世界を直撃し、同社の売り上げにも打撃を与えた。しかし、製造機材の購入のためクラウドファンディングで950万円の資金を集めることに成功。なんとか立て直し、1日に100キロの干し芋を製造することができるようになった。

2022年には、タンザニアから日本への干し芋の輸出をついに実現させる。日本で輸入会社を設立し、オンラインショップ「アマ二市場」で販売することで日本での最初の販路を見出したのだ。

2023年には東京の展示会にも出展し大手スーパーからの問合せをもらい手ごたえを感じるがどうしても、取引に結び付かない。航空便での輸送により干し芋の卸価格が高くなることに加え、タンザニア産の食品は面白いけど安全性は担保されているのか……という小売店側の心配を言外に感じた。

ここで長谷川さんは父親から学んだ「実験をして自分の頭で考える」を実践しながらこの課題を乗り越える。年内にも航空便を船便に切り替え、茨城の工場でリパックする予定だ。これにより、日本のお客さんは、手頃な価格で安全にタンザニアの干し芋を楽しめるようになる。

◆売れに売れているタンザニア版「おこし」

実は、同社のほとんどの干し芋は日本向けに製造され、タンザニアでは一部の富裕層向けスーパーで販売されているのみ。というのも、タンザニアの干し芋は、日本のそれとは食べ方も価格帯も全く異なるからだ。常温で1年間保存できる乾燥した保存食のタンザニアの干し芋は、食べる時に水で戻して柔らかくし、味付けをする。バケツいっぱいに詰め込まれて一杯約60円ほどだ。

同社の商品で最もシェアが大きいのは「カシャタ」と呼ばれるゴマとピーナッツを原料にした日本でいう「おこし」で、これが売り上げを支えている。新型コロナにもかかわらず、2020年から、売り上げは毎年倍々ペースで安定している。

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