日本の公的年金制度の手厚さがわかる「退職準備の指標」とは?

LIMO / 2019年8月25日 21時30分

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日本の公的年金制度の手厚さがわかる「退職準備の指標」とは?

生涯設計に公的年金の活用を

人生100年時代のジェーンの資金計画

皆さんは、「人生100年時代」という言葉が使われ始めたきっかけになった本をご存知でしょうか。リンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著「ライフ・シフト」で、この原題は”The 100-Year Life”です。

この中で1998年生まれのジェーン(今年21歳)の、人生の資金計画に触れています。勤労期間44年で引退期間35年のバランスをとるためには、勤労期間中は毎年の所得の25%を老後の生活資金として資産形成し、引退期間中は退職直前の最終所得の50%で生活するとして、その内訳は公的年金が10%、個人の蓄えからの引き出しが40%と想定しています。

フィデリティの「退職準備の指標」

昨年、フィデリティ・インターナショナルでは、退職後の生活のための資金をどう準備していくべきかを表した「退職準備の指標」を発表し、日本の数値も公表しました。退職時点でその時点の「年収の7倍を用意しよう」というものでした。この目標値を前提とした数値を「ライフ・シフト」のジェーンと比べてみます。

退職年齢を67歳としたことで勤労期間は46年間となり、ジェーンの前提より2年ほど長く働くことを想定しています。また人生を25%の生存確率から93歳としていることで、引退後の期間が26年と9年短くなっています。

こうした違いを前提にしていますが、勤労期間中は毎年の所得の16%を資産形成に回し、引退期間中は最終所得の72%の所得水準で生活できる計算となりました。またその内訳は公的年金36%、個人の蓄えからの引き出しが36%となっています(ただし、最終所得の2倍相当の退職金があることを前提にしています)。

公的年金の手厚さが改めてわかる

この2つの数値の比較から、いくつかの大切なことがわかってきます。まず、日本では退職後の生活に占める公的年金のウエイトが大きいという点です。ジェーンの場合には10%ですが、日本の場合、フィデリティの計算では36%です。しかも、この水準は公的年金の受給額を実質で20%削減した前提で算出していますので、日本の公的年金制度の手厚さが良くわかります。

その結果、現役時代の資産形成比率はジェーンの場合で25%、フィデリティの試算では16%です。たとえば、現在25歳で年収250万円の人を想定すると、それがジェーンなら年間62.5万円、月額5.2万円の積立が必要になります。日本の場合、フィデリティの試算では年間40万円、月額3.3万円です。どちらも決して少ない金額ではありませんが、それゆえに2万円弱の差は大きな違いといえます。

もう一つは、ジェーンのように退職後は最終所得の50%で生活できるとすれば、日本の場合には36%が公的に年金でカバーできますから個人で用意するのは14%で済むことになります。フィデリティが試算した36%に対して4割程度の資金水準で生活ができることになりますから、資産寿命の延伸にかなり効果があります。

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