「家事・育児をしない夫はもういい、せめて息子に…」妻たちの切実さ
LIMO / 2019年9月1日 19時45分
「家事・育児をしない夫はもういい、せめて息子に…」妻たちの切実さ
VERY妻に見る時代の変化
これまで20年以上にわたって「良い母、良い妻」のイメージを作り上げてきた女性誌『VERY』。2019年1月号の「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」という特集が大きな話題になりました。VERY妻の変化、夫に対する不満があらわになったのです。
リッチなセレブ妻のバイブルから変わりつつあるVERY
『VERY』は光文社から1995年に創刊された雑誌です。三浦りさ子さんや”タキマキ”こと滝沢眞規子さんといった人気看板モデルを輩出し、東京都白金発のセレブ妻「シロガネーゼ」や、兵庫県芦屋発の「アシャレーヌ」といった言葉を世に送り出します。ハイブランドのバッグやアクセサリーが紹介されて、育児も家事も完璧にこなす裕福な専業主婦のバイブルのような存在でしたが、最近は少しテイストが変わってきたようです。
共働きの女性たちをザワつかせた「『きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ』と将来息子がパートナーに言わないために今からできること」というタイトルには、夫に対する明らかな不満が現れています。
世間では共働きが当たり前の時代。もちろんお金のこともありますが、大学を卒業し、キャリアを積んできた女性が自己実現や社会とのつながりを持つために「働くこと」を望むのは不思議なことではありません。しかしVERY妻の夫たちは、お金に困らないくらい自分が稼いでいるから、何不自由なく過ごせる専業主婦こそ幸せだと思っているのかもしれません。
働きたいという気持ちを伝えた時に、妻として言ってほしいことは「君も働くなら家事や育児を協力しよう」ですよね。「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」という回答をされたとしたら、「家事や育児で縛り付けられている」と感じてしまうでしょう。親世代から引き継いだ「夫は稼ぎ、妻は家事と育児をすべき」という古い価値観がVERY妻の社会参加を阻んでいることがわかります。
息子が夫のようにならないように願う妻たち
専業主婦の母親に育てられた夫の「男は仕事、女は家庭」という考えを、今から変えることは難しいですよね。それならば、せめて自分の息子には夫婦共働きや男女が共に家事をすることが当たり前であるという意識を持ってほしい。そして、息子のパートナーになる人には、自分がいま感じているストレスやモヤモヤを感じてほしくないと思う人も多いのではないでしょうか。
「家事は母親がやるのが当たり前」という意識を息子に植えつけないためには、“家事お小遣い制度”を設けることも一つの手です。「家事は無料ではない」「家事は女性だけのものではない」「家事は時間がかかるもの」ということを子供の頃から教えることができますし、家事スキルを身につけることもできます。
自分が家事の大変さを知っていれば「きちんと家のことをやるなら働いてもいいよ」なんて言わないはず。きっと将来パートナーを助けてくれるのではないかと期待したいものです。
動かない夫に家事・育児の協力を促すためには
とはいえ、共働きをするのであれば、どんなに夫であっても少しは家事や育児に参加してもらう必要があるでしょう。妻が一人で仕事も家事・育児もこなすとなれば、体力が持ちません。
依頼する時はイライラしながらお願いするのも、下手に出てお願いするのもNG。夫も家事をするのが普通のことであるように「掃除か洗濯どっちがいい?」と聞けば、夫はどちらもやりたくないとは言いにくいはずです。2択で聞くとどちらかは選ばざるを得ないので、動かない夫には効果的ではないでしょうか。
また、夫の家事や育児へのモチベーションを上げるためには、とにかく褒めること。何か手伝ってくれたら大げさに義両親や友人の前で褒めて「できる夫」というイメージを周りから固めてしまいましょう。「仕事もできて家事もできて私にはもったいないくらいの最高の夫」と言われれば悪い気はしないはずです。少しシャクに触るかもしれませんが、夫がご機嫌に家事や育児をしてくれれば、妻の負担も減るのでここは我慢です。
おわりに
かつてはセレブな専業主婦が羨望の眼差しを受けていましたが、今はSNSの普及によりさまざまな生き方が可視化され、家庭とキャリアを両立する女性をカッコいいと捉えるようになってきました。
ただ、共働きが当たり前の時代でも、「男は仕事、女は家庭」という古い考えはまだまだ残っています。特に高収入の夫であるほど「専業主婦で何不自由なく暮らせているのは俺のおかげだ」という意識が強く、妻が働くことで家事や育児が疎かになることや、自分が家事・育児をすることに嫌悪感を抱きやすいようです。
そんなふうに家庭に縛り付けられることで、自己実現や社会との接点を閉ざされたVERY妻たちが「せめて自分の息子だけは…」と思うのは当然です。この古い考えを断ち切り、夫婦が家庭では協力し合い、仕事でも輝ける時代が早く来てほしいですね。
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