コインランドリー投資ブームの拡大がクリーニング業界を直撃!?
LIMO / 2019年9月21日 20時15分
コインランドリー投資ブームの拡大がクリーニング業界を直撃!?
家庭用洗濯機の進化も一因か
クリーニング店を利用していますか? 9月29日は「クリーニングの日」
「ク(9)リーニ(2)ング(9)」の語呂合せから、毎年9月29日は「クリーニングの日」となっています。
これは、全国クリーニング環境衛生同業組合連合会が1982年に制定したものですが、消費者にもっとクリーニングを利用してもらい、業界自らもクリーニング技術の向上を目指すことが主旨となっています。
多くの方々が、クリーニング店を一度は利用したことがあるはずです。スーツや高価な服だけでなく、毛布などの寝具も含めて、自宅の洗濯機では対応できないものが数多くあります。
独り暮らしの人の中には、下着と靴下以外は全てクリーニング店に出す人もいるでしょう。程度の差こそあれ、クリーニング店は私たち庶民の生活とは切っても切り離せない存在だと思われます。
クリーニング店の店舗数は直近20年間で激減
ところで、昨今のクリーニング業界はかなり厳しい状況に陥っています。まず、クリーニング店の店舗数の推移を見てみましょう。
クリーニング店には、洗濯設備を備えた「一般クリーニング所」と、単なる取り次ぎを行う店舗の「取次所」があります。なお、「無店舗取次所」は本稿では除外します。
平成29年度(2018年3月末)の店舗数は、一般クリーニング所が26,992店舗、取次所が67,110店舗、合計94,102店舗となっています。過去のピークと推察される平成9年度には164,225店舗あったため、ちょうど20年間で70,123店舗の減少、率にすると43%減となりました。
半分になった、というのはやや言い過ぎですが、それに近い激減です。“言われてみれば家の近くにあったクリーニング店がなくなった、少なくなった”と実感する人も多いのではないでしょうか。
投資ブームを背景に増加するコインランドリーもクリーニング店減少の一因に
クリーニング店減少の一因として考えられるのが、コインランドリーの利用増加です。実際、コインランドリーの設置数は増えています。
厚生労働省の調査統計によれば、コインランドリーの設置数は1997年の10,793店舗から16年後の2013年には16,693店舗へと拡大しています。残念ながら、直近の最新データは更新されていませんが、足元はさらに大幅増加となっている可能性があります。
なぜならば、近年、サラリーマンの副業やリタイア世代の余剰資金運用として「コインランドリー投資」が、高い利回り実績で大いに注目されているからです。
最近、皆さんがお住いの地域に複数のコインランドリー機を設置した大型(中型)コインランドリー所が新たに開店していませんか? それらのほとんどが「コインランドリー投資」です。今回はその投資の詳細については省略しますが、こうした投資ブームを背景に、現在の設置台数は20,000店舗を大きく上回っていると推測されます。
また、最近のコインランドリーは、複数枚の布団も洗濯できる大型機械や、除菌機能付き機械などが多く設置され、消費者のニーズに合致しているようです。こうしたコインランドリーの店舗数増加は、クリーニング店の減少の一因と言えましょう。しかし、利用者からすれば、コインランドリーの利用コストはお世辞にも経済的とは言えません。
26年間で70%減となった1世帯当たり使用クリーニング代
ここでもう一つ、違うデータを見てみます。それは、総務省家計調査にある1世帯当たりの年間クリーニング代です。ちなみに、この代金には通常のクリーニング代に加え、コインランドリー使用料金も含まれています。
結論としては、ピークだった1992年の19,243円から2018年は5,904円まで激減しており、26年間で70%減少はもう尋常ではない減少です。ということは、コインランドリーを除くクリーニング代は、さらに落ち込んでいると見ていいでしょう。
もちろん、こうした家計調査には実態を表さないという批判もありますが、それを勘案しても、クリーニングにお金をかけなくなったという傾向が見て取れます。
見逃せない洗濯機の技術革新、エコ機能の拡充で家で洗濯する人が増加?
こうした状況の背景にあるのは、あまり目立ちませんが、洗濯機の大幅な技術進歩でしょう。筆者が秋葉原で某家電量販店のメーカー担当者に聞いたところでは、家庭用洗濯機の平均寿命は約7年(注:使用状況で異なる)ということです。
この7年をベースにすると、クリーニング店の店舗数が減り始めて以降、最大で3世代の“技術革新”が行われたことになります。確かに、平成初期の頃の洗濯機と現在の洗濯機では、その性能は比較できないほど進化しています。
特に、最近はいわゆる“エコ洗濯機能”として、電気代・水道代・洗剤代などを抑制した新型洗濯機が大人気です。こうした洗濯機の普及が、どうしても割高となるクリーニング店の利用を減らしていても不思議ではありません。
それでもクリーニング店は必要
一方で、最初に記したように、洗濯機の技術進歩があっても、どうしてもクリーニング店に頼まざるを得ない品があることも確かです。やはりクリーニング店は必要なものです。生き残りを目指したクリーニング業界の取り組みにも注目したいと思います。
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