1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

年金が減額される在職老齢年金の問題点。制度改正議論が進行中

LIMO / 2019年12月23日 20時20分

写真

年金が減額される在職老齢年金の問題点。制度改正議論が進行中

60歳定年といわれていたのも今は昔。今では60代、人によっては70代になっても働く人も決して珍しくはなくなりました。このように年金を受給する世代にとって、働く上で常に頭にあるのが在職老齢年金の制度です。

在職老齢年金とは?

在職老齢年金とは、簡単に言えば、年金を受給しながら会社員として働く高齢者のうち、給与をそれなりにもらっている人については年金の支給を一部もしくは全額停止するという制度です。

この在職老齢年金、詳しい計算についてはいろいろと複雑なので日本年金機構の「在職中の年金(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/roureinenkin/zaishoku/index.html)」を読んでいただければよいのですが、ざっくりいうと、65歳以上については給与と年金の月額が47万円を超えると年金が減額され、65歳未満については給与と年金の月額が28万円を超えると年金が減額されます。

ただし、定年の引き上げなどで65歳まで働く人が増加する中、65歳未満の年金減額の開始ポイントも65歳以上と同様に47万円に変更される予定です。

これは、給与をもらっている人は老後の生活保障である年金は減額しても生活できるということで実施されています。現役時代には厚生年金保険料を給与から天引きされていたのに、老後も稼いでいるから年金を減額します、なんていわれると納得いかない人も多いかもしれません。

ただ、年金制度自体が公的なもので、給与天引きされていた保険料も社会全体のためということであれば、理屈としては間違っていないかもしれません。

もし民間の生命保険会社で年金保険への積み立てを行っていて、老後も稼いでいるから年金を減額しますと言われたらとんでもないことですが、年金制度については社会全体のために払っているという建前上そうはいかないのです。これは医療機関を受診しない健康な人でも健康保険の給与天引きが行われているのと同じ理屈ですね。

減額される理屈はこの通りですが、だからといって「どうぞ減額してください」という人は少ないものです。もらえるものはできる限り効率的にもらいたいというのは当然の心理です。

在職老齢年金制度の2つの問題点

そこで言われる問題点として、高齢者の就業抑制効果というものがあります。年金の金額は、現役時代に給与天引きされた保険料の金額によって決まるので、調整はできません(ただし、給与天引きされていた各自の保険料を積み立てて老後に支給しているわけではないということにご注意を!)

それであれば、働く量を調整して年金が減額されないようにしようということになります。この傾向は、特に28万円と減額の基準が低い65歳未満の人に多いようです。

そもそも、今後は年金の支給開始年齢が徐々に引き上げられていきます(男性は1961年4月2日、女性は1966年4月2日以降生まれの人は支給開始時期が65歳となります)。

そもそも65歳までは働きなさいというメッセージを国が出している以上、65歳未満の在職老齢年金の基準額を引き上げる方向であることは現役世代にとっても納得がいくのではないでしょうか。

在職老齢年金は、就業抑制効果とともに、もう一つの問題があります。それは、税制度との連携不足です。先ほどから給与と年金の合計額という言葉を使っています。そうです。まさに給与との合算でしか比較していないのです。

依然として多くの方は給与の形で収入を得ていますが、たとえばコンサルタントとして個人事業主で事業所得を得ている人や、マンションの一室などを貸し出して不動産所得を得ている人、株式投資などで収益を上げている人、これらはすべて給与ではありません。そのため、在職老齢年金の計算にあたって、なんら考慮されていないのです。

特に資産を持っている人ほど給与以外の収入がある傾向にありますので、その意味で在職老齢年金は逆進的な制度といえるかもしれません。

たとえば確定申告の情報と連携するなど、給与以外の面での収入も在職老齢年金の計算に反映できるように制度を整えるのが公平性のためには必要なのかもしれません。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください