もうすぐ定年、その貯蓄額で安心?定年後を支える資金「4つの柱」とは

LIMO / 2020年10月2日 20時15分

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もうすぐ定年、その貯蓄額で安心?定年後を支える資金「4つの柱」とは

もうすぐ定年。老後2,000万円問題や年金受給年齢の引き上げなど、「本当に自分はこのまま定年を迎えて大丈夫?」「生活が破綻したらどうしよう」とさまざまな不安を抱えている人も少なくないことでしょう。

また、定年を迎える60代の皆さんの平均貯蓄額はいくらあるのでしょうか。

さまざまなデータの内容をもとに、定年後を支える4つの資金とそのバランスについて考えてみました。

もうすぐ定年。一番気がかりなことは

生活保険文化センターが令和元年12月に発表した「生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf)」によると、「老後生活に対する不安」に「不安感あり」と答えた人は84.4%。その具体的な内容としては、「公的年金だけでは不十分」「退職金や企業年金だけでは不十分」という「お金に関すること」が多く上位に挙げられていることが分かります。

「夫がそろそろ定年を迎えます。私は今までずっと専業主婦。このまま健康でいられるとも限りませんし、生活基盤を変えずにやっていけるのか少し不安はありますね」(59歳・専業主婦)

「自営業なので退職金がなく、年金も少ないことが最も不安。子どもに迷惑をかけたくないのでできる限り節約をしていますが、老後も動けるうちは働き続けることを覚悟しています」(55歳・自営業)

同調査ではケガや病気で健康を害することに対する不安も89.6%と高く、60歳代では「家族に肉体的・精神的不安をかける」「長期の入院で医療費がかさむ」ことを危惧していることがみてとれます。なかでも、「家族に迷惑をかけたくない」と考える人は多いようですね。

60代の平均貯蓄額はいくら?

では、実際に多くの人が定年を迎える60代の平均貯蓄額はいくらなのでしょうか。厚生労働省の令和元年(2019年)「国民生活基礎調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf)」(各種世帯の所得等の状況)から60~69歳の平均貯蓄額をみてみると、その金額は「1,461万7千円」と全世帯中もっとも高いことが分かります。さらに、多くの人が年金の受給をはじめる65歳以上に限定すると、その平均貯蓄額は「1276万6千円」です。一方で、平均借入金額が最も高くなるのは30~39歳、次いで40~49歳と続きます。

また、同調査で1世帯当たりの平均所得額を世帯主の年齢階級別にみてみると、最も高いのは50~59歳で756万円。次いで40~49歳、30~39歳と年齢が高くなるにつれ所得も上がっていくのが分かります。家族構成にもよりますが、効果的に貯蓄をしていくなら、借入金額が少なくなり所得も増える50~59歳での行動が大切といえるかもしれません。

定年後を支える「4つの柱」とは

平均貯蓄額をみて、「こんなに貯められそうにない」「どうしよう」と不安になった方もいることでしょう。しかし、定年後を支える資金は「貯蓄」だけではありません。定年後を支える「4つの柱」のバランスを考え、どのくらい貯蓄が必要になるのか、どのような対策をすべきか改めて考えてみましょう。

【1】 年金

老後を支える柱の1本目は年金です。日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」で確認すると、令和2年度の厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準額)は220,724円。厚生年金受給時期は段階的に65歳まで引き上げられていますが、繰り下げ・繰り上げ受給でもらい始める時期を調整することが可能です。

【2】 退職金

会社から給料の後払いとして定年後に支払われるお金が退職金です。一部の会社では退職金前払い制度を導入していることもあるので、一度しっかりと確認してみましょう。例として、厚生労働省が発表した「平成30年就労条件総合調査-退職給付(一時金・年金)の支給実態(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf)」で大卒定年退職者(20年以上勤務)の平均をみてみると、1,983万円支給されているようです。

【3】 貯蓄

年金・退職金でまかなえない分を補助するのが、これまでに蓄えた貯蓄です。余命年数分の老後資金として年金・退職金でカバーできない部分は、貯蓄からまわすことになります。
退職金が期待できない職種などの場合は、意識的に貯蓄をしていく必要があるでしょう。

【4】 労働

上記の年金・退職金・貯蓄でも余命年数分の老後資金が確保できない場合、人的資本として「労働」も視野にいれましょう。令和3年4月からは「改正高年齢者雇用安定法(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf)」も施行され、70歳までの就業機会が確保されます。

定年後の生活を考えて今すべきこととは

今回ご紹介した平均金額は恵まれた一例ですので、もちろんそこまで達していない世帯も多く存在します。しかし定年を目の前にして貯蓄がほとんどないことに不安を抱えている人も、今一度この4つの柱のバランスについて考えてみましょう。

先ほどの生命保険文化センターによる「生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf)」の調べでは、ゆとりある老後を過ごすためには月に約36万円必要になるといわれています。年金・退職金でまかなえそうにない場合は貯蓄・労働に重きをおいてバランスをとる必要がありますが、例えば再雇用によって月収17万円ほどになったとしても、5年働けば1,000万円、10年で2,000万円に到達します。

実際に、総務省統計局が令和2年1月に発表した「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf)」によると、65歳以上の就業者数は892万人と30万人以上増加していることも分かっています。

自分・または世帯主の雇用体制によって国民年金なのか、厚生年金なのか、退職金はあるのかといった部分に差が出てきます。そこをしっかり押さえたうえで、今からどのくらい貯蓄をしていけばいいのか、再雇用で資金を増やす手立てはないのか、具体的な計画をたててみるといいでしょう。

不安感から不要な投資に走りすぎては、貯蓄を目減りさせてしまうリスクを抱えることにもなります。しっかりと自分たちの生活と老後に向き合い、堅実に一歩ずつ準備をすすめていきましょう。

【ご参考】貯蓄とは
総務省の「家計調査報告」[貯蓄・負債編]によると、貯蓄とは、ゆうちょ銀行、郵便貯金・簡易生命保険管理機構(旧郵政公社)、銀行及びその他の金融機関(普通銀行等)への預貯金、生命保険及び積立型損害保険の掛金(加入してからの掛金の払込総額)並びに株式、債券、投資信託、金銭信託などの有価証券(株式及び投資信託については調査時点の時価、債券及び貸付信託・金銭信託については額面)といった金融機関への貯蓄と、社内預金、勤め先の共済組合などの金融機関外への貯蓄の合計をいいます。


【参照】
生活保険文化センター「令和元年度 生活保障に関する調査(https://www.jili.or.jp/research/report/pdf/r1hosho/2019honshi_all.pdf)」
厚生労働省「国民生活基礎調査(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/03.pdf)」(各種世帯の所得等の状況)
日本年金機構「令和2年4月分からの年金額等について(https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200401.html)」
厚生労働省「平成30年就労条件総合調査-退職給付(一時金・年金)の支給実態(https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/18/dl/gaiyou04.pdf)」
厚生労働省「70歳までの就業機会確保(改正高年齢者雇用安定法)(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000626609.pdf)」
総務省統計局「労働力調査(基本集計)2019年(令和元年)平均(速報)結果の要約(https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf)」

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