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「客単価爆上げ」のマクドナルド、コロナ禍も追い風の業績好調はまだまだ続く?

LIMO / 2020年12月4日 11時0分

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「客単価爆上げ」のマクドナルド、コロナ禍も追い風の業績好調はまだまだ続く?

飲食業は、観光関連業とならび、新型コロナ感染拡大による打撃を最も受けている業種です。しかしその中で、日本マクドナルドホールディングス(2702)は“一人勝ち”とも言える業績を叩き出しています。

出口の見えないコロナ禍の中、マクドナルドの快進撃は続くのでしょうか。同社の好調さの要因および株価の推移を見ていきます。

コロナ禍で外食業界をけん引するファーストフード

日本フードサービス協会のデータによると、外食産業の売上高は、緊急事態宣言下にあった4月に前年比▲39.6%という最低値を記録。その後、6月は▲21.9%、10月は▲5.7%と徐々に回復してきました。

とはいえ、外食の中でも比較的ダメージが少なかったファーストフード業態では、外食全体がどん底にあった4月も、売上高の減少は▲15.6%にとどまっています。

中でも、日本マクドナルドホールディングス(以下、マクドナルド)は、各社が今期予想を下方修正するなか、2019年12月期決算時に発表した今期の通期予想──売上高2870億円(前年比1.9%増)、純利益182億円(同7.8%増)を据え置いています。

コロナをものともしないマクドナルドの強みは、どこにあるのでしょうか。まずは、近年の業績から確認していきましょう。

マクドナルドの収益の特徴と近年の業績

マクドナルドの売上高は、2019年12月期で見ると、直営店舗の売上げ1971億円とフランチャイズ収入847億円から成っています。マクドナルドブランド全体の売上状況を示す全店売上高(システムワイドセールス)の規模は5491億円です。なお、2019年度末時点での店舗数は直営店が886店、フランチャイズ店が2024店となっています。

では、直近3年間の業績推移を確認していきましょう。

2017年12月期から2019年12月期までの3年間、売上高は2536億円⇒2723億円⇒2818億円と、3%以上の増加ペースを維持しています。

店舗数は2898店⇒2899店⇒2910店とほぼ変わっていませんが、中期経営方針に基づく「おてごろマック」や「夜マック」など、お得感のある商品や新たな時間帯に商機を見出す戦略で売上高を伸ばしました。

営業利益も189億円⇒250億円⇒280億円と売上高の伸びに応じて好調な動きを見せています。当期純利益は240億円⇒219億円⇒169億円と減少していますが、これは法人税等によるもので、税引前利益は伸び続けており、重大な特別損失は発生していません。

“持ち帰り”ニーズに適した営業形態が強みに

次に今期(2020年12月期)の業績ですが、コロナの影響が本格的に表れた第2四半期の累計売上高(1〜6月)は前年同期比で2.0%のプラスを記録しており、第3四半期累計(1〜9月)でも2135億円と1.8%のプラスです。

利益面も好調で、直近の第3四半期累計の営業利益は254億円で前年同期比17.8%増、四半期純利益は161億円の同21.0%増です。多くの外食チェーンが来店客の減少に苦しむ中、マクドナルドはテイクアウトやドライブスルー販売で店内飲食の減収を補うことができました。

また、中期経営方針のもとで推進してきたデリバリーサービスの強化も、プラス要因として働いています。独自の宅配サービスやUber Eatsを利用できる店舗を、9月末時点で1301店舗にまで拡大。さらに一見マイナス要因ともとれる店内客席の中止や時短営業なども、販管費を抑え増益につながりました。

最も注目すべきは「客単価」です。第1四半期は前年比4.7%増でしたが第2四半期では同32.2%の大幅増、第3四半期も同16.3%増となっています。子どもたちの休校や企業の在宅勤務推進により自宅での昼食ニーズが発生し、テイクアウトやドライブスルーで家族客が多かったことが、客単価を押し上げる要因になったようです。

株価はコロナショックでの下落を経て、ほぼ前年水準に

マクドナルドの株価は、2017年度末から2019年度末にかけて5000円前後の横ばいで推移しました。今年は第2四半期決算の好調により6月中旬に6000円を突破して上場来高値(6,270円)を付けましたが、その後は再び下がり、11月末現在で元の5000円周辺で推移しています。

日本マクドナルドホールディングスの過去10年の株価推移

(/mwimgs/d/4/-/img_d4ec21aac1c4370475e5719854f8b801115447.jpg)

拡大する(/mwimgs/d/4/-/img_d4ec21aac1c4370475e5719854f8b801115447.jpg)

マクドナルドは今後もお得なバリュー商品の販売やデリバリーの拡充を進め、成長につなげる模様です。

クルーが商品を席まで届ける「テーブルデリバリー」や、事前にアプリで注文・決済し来店時にすぐ受け取れる「モバイルオーダー」など、“未来型店舗体験”のコンセプトを掲げ快適性・利便性の向上を図っています。

11月に入って新型コロナの感染拡大が再燃し、下旬には飲食店の営業時間短縮を要請される地域が出るなど、外食産業の先行きは不透明感を増しています。とはいえ、おそらくマクドナルドは店内飲食と持ち帰りの2本柱で補完しあい、業績を維持していくと思われます。ただ、目立つ好材料は無いため、株価の上昇については未知数です。

まとめ

2014年の使用期限切れ鶏肉問題などで厳しい業績不振に陥ったマクドナルドは、その後V字回復を遂げています。また、今期は外食各社が新型コロナで苦境に陥る中、テイクアウトやドライブスルー、デリバリーによって客単価を上げ、第3四半期までの累積で増収増益となりました。

経営環境が変わりやすいウィズコロナの下でも柔軟な対応ができる営業形態は、今後も安定した収益につながることでしょう。他の飲食チェーンもマクドナルドから学べることは多いと思います。

【参考資料】
「データからみる外食産業:月次データ 2020年1月〜10月(http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html)」一般社団法人日本フードサービス協会
日本マクドナルドHD(株) 2020年12月期第3四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1545&brand=74&data=286551&filename=pdf_file.pdf)
日本マクドナルドHD(株) 2020年12月期第2四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1545&brand=74&data=280329&filename=pdf_file.pdf)
日本マクドナルドHD(株) 2020年12月期第1四半期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1545&brand=74&data=272905&filename=pdf_file.pdf)
日本マクドナルドHD(株) 2019年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1545&brand=74&data=268250&filename=pdf_file.pdf)
日本マクドナルドHD(株) 2018年12月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ircms.irstreet.com/contents/data_file.php?template=1545&brand=74&data=244467&filename=pdf_file.pdf)
日本マクドナルドHD(株) 財務指標サマリー(https://www.mcd-holdings.co.jp/ir/summary/)
「マクドナルド、4月の既存店売上高6.5%増 家族客の持ち帰りなど増加(https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL07HON_X00C20A5000000/)」日本経済新聞(2020.5.7付)

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