【着物を二束三文で売る前に】30年前の着物の買取・着物事情~伝統工芸が減少傾向の時代~
LIMO / 2024年3月20日 12時5分
【着物を二束三文で売る前に】30年前の着物の買取・着物事情~伝統工芸が減少傾向の時代~
二束三文で買取される理由と、高く売れる着物を紹介
今から30年前は、着物業界は売上が徐々に減少している時代。現在に比べれば伝統技術を用いた作品が多く市場に出回っていました。希少性が高く、高額で取引されます。
しかし、家族から譲り受けた古い着物を買取業者で売却すると、目も当てられない値段にがっかりすることも。
そこで、本記事では「30年前の着物」の買取価格に注目。なぜ二束三文の価値になってしまうかを解説。30年前の着物でも高額で買取される可能性がある着物についても触れていきます。
国内の伝統工芸が減少傾向の時代
着物市場がピークを迎えたのは1981年。その後は、徐々に縮小しています。加賀友禅や大島紬などの伝統的な着物も、需要の減少と職人不足により、生産数は急激に落ち込みました。
今から30年前には、市場規模は徐々に縮小していきました。その一方、この時期はまだ高級な着物が多く流通していました。
家族が持っていた着物は、職人たちが魂を込めて織り上げた着物の可能性があります。
※編集部注:外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際はLIMO内でご確認ください。
30年前の着物が二束三文になる理由
職人が手掛けた着物が流通しているのであれば、高額で売却されてもよさそうです。
しかし、現実では家族から譲り受けた着物が二束三文にしかならなかったケースもあります。ここでは、その理由について触れていきます。
化学繊維の着物だった
30年前は、大量生産、低コスト化を実現するために、より安価な素材・繊維が求められました。
絹、麻などの高級素材の入手が困難になり、ポリエステルのような化学繊維が、着物にも使われるようになります。希少性は高くありませんから、買取価格は控えめです。
着物需要の急激な低下の影響を受けている
着物は洋服と比較すると、着こなすのが難しい服装。一人で着るのが難しく、普段着として着用するには適していません。
複雑なルールが多数あり、覚えるのも大変です。加えて、高級でフォーマルなシーンで使われる印象が定着してから、日常的に着物を着る機会が減少しました。
このような背景から「着物ばなれ」が加速し、需要が大きく低下しました。需要が低ければ、買取業者も高額の査定額をつける必要がなく、安い値段で買取するしかありません。
総合リサイクルショップで売却している
「着物が二束三文でしか売れない」イメージが定着したのは、総合買取業者の拡大もひとつの要因ではないでしょうか。
非常に利用しやすい総合買取業者は「何でも高く買取してくれる」と思いがちです。しかし、買取業者も商売で、利益を上げるために「需要が高いものを安く買取して、より高く販売する」ことを徹底しています。
着物は、国内需要が冷え込んでいますから、リサイクルショップのような場所で買取をおこなっても有効な販路がありません。
着物愛好家のもとに届けるような販路を持っている専門店でなければ、価格をつけるのは難しいでしょう。結果的に、二束三文の値段がついてしまいます。
保存状態がよくない
着物の買取価格は、保存状態に大きく影響を受けます。価値ある着物でも、カビや虫食いがあれば査定額は大きく減額されてしまいます。
高級な着物の素材は、天然素材。着物を傷めないためには、適切な保管が求められます。湿気に弱い着物は、たとう紙で包み、桐箱で保管する必要があります。また、定期的に虫干しもおこなわなくてはいけません。
高額で取引される可能性のある着物の特徴
30年前の着物が、全て二束三文で買取されるわけではありません。中には、非常に貴重で高額で取引される着物も存在します。
有名作家が手掛けた着物
30年前であれば、人間国宝などの有名作家が第一線で活躍していた時代。人間国宝が手掛けた着物は、非常に価値が高く、高額で買取されます。
落款や証紙がついているケースが多いですから、買取の際は一緒に査定に出してください。
伝統技法で織り上げられている着物
1990年代はバブル期が終わり、着物需要が一気に冷え込みます。この頃の伝統技法を用いた着物は、現存数が少なく非常に貴重です。
この時期に購入していた着物があれば、高額で売却できる可能性があります。
国産正絹で織り上げられた着物
正絹とは絹100%で織り上げられた生地です。絹糸制作は大変手間がかかる作業で、職人の高い技術が必要でした。
次第に海外輸入の影響を受け、国産の絹の生産量は大きく落ち込みます。国産正絹の着物は、大変貴重で品物です。高額で取引されるでしょう。
30年前の着物でも、高額で買取されるものもある
着物の寿命は100年程度。30年前の着物であれば、まだ現役な上、貴重な着物が多く存在しています。
着物の需要は下がっていますが、着物を愛好する方は一定層います。
売却する際には、着物買取専門店を利用することで、納得のいく価格で売却できるかもしれません。
参考資料
公益財団法人大学コンソーシアム京都【着物関連市場における新たなセグメントとその特性の分析】(https://www.consortium.or.jp/seisaku/5137/2013kimono)
農林水産省:蚕糸絹業の国際比較分析(https://www.maff.go.jp/primaff/koho/seminar/2013/attach/pdf/130820_01.pdf)
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