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「子連れ出勤」の負担はすべて母親? 子どもを見ながら仕事をする実情から思う疑問

LIMO / 2019年1月23日 10時40分

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「子連れ出勤」の負担はすべて母親? 子どもを見ながら仕事をする実情から思う疑問

2019年1月15日、少子化対策なども担う宮腰光寛内閣府特命担当大臣が、政府として「子連れ出勤」を後押しすることを表明。大臣は茨城県の企業で子連れ出勤の様子を視察し、「赤ちゃんの顔が幸せそう。乳幼児は母親と一緒にいることが何よりも大事ではないか」と発言しました。

現段階ではまだ保育園に入れることができず、“子連れ出勤”状態で0歳児の子どもを見ながら仕事をしている筆者。子連れ出勤推奨への疑問と、自身の経験から「子どもと一緒に働くこと」の実態についてお伝えします。

母親(女性)に多くの役割を担わせることが問題解決に?

宮腰大臣が「乳幼児は母親と一緒にいるべき」と発言したように、この子連れ出勤の対象者は母親を想定していることは明らかです。これには、多くの子育て世代で働く女性が異を唱えたことでしょう。「夫婦のどちらでも、子連れ出勤ができるような体制を作る」というような趣旨であれば、ここまで大きな波紋を呼ばなかったはずだと思います。

若いうちに結婚をし、子をたくさん産み、育て、仕事もしろと、いったい女性にいくつの役割と責任を押し付けるのだろうと、呆れてしまいました。もちろん、そうした役割をすべてこなしたい女性もいるかもしれませんが、フルタイムで仕事もバリバリこなし、複数人の子どもを抱えながら家事育児も完璧にこなす姿を、現代女性のスタンダードとするのはあまりにも過酷です。

母親の子連れ出勤を奨励する動きは、少子化や労働力不足といった日本が抱える問題を、女性個人に負担を押し付けることで解決しようとしている感が否めません。それよりも大事なのは、男性の長時間労働の解消や育休取得率のアップ、保育園の整備などであることに、そろそろ気付いてもいいのではないでしょうか。

仕事も子育ても中途半端になるストレスは大きい

子連れ出勤を視察した際、宮腰大臣は「想像以上に『これなら、どこでもできるのではないか』と実感した」とも発言しました。確かに、子どもをそばで見ながら仕事もできたら、理論上は一石二鳥で、子どもも親もハッピーかもしれません。

しかし、子どもは予期せぬ行動をするもの。特に乳幼児は3時間ごとの授乳、頻繁なオムツ替えがあり、常に急な体調の変化にも敏感でいなくてはいけません。目を離した隙に乳幼児突然死症候群や窒息などによって、死に至ってしまう危険さえあります。

筆者は子どもをそばに置きながら、自宅でパソコン仕事をしていますが、長時間継続して作業できることはほとんどありません。ちらちらと子どもの様子を確認しながらの仕事は、どうしても5分、10分と細切れになってしまいます。時には抱っこ紐を使っておんぶや抱っこをしたまま、立ちながら作業をすることも。

こうした時、頭を上手く切り替えられればいいのですが、実際は常に頭半分は育児、頭半分は仕事という状態。育児も仕事もどちらも中途半端になってしまうので、子どもを十分にケアできなければ子どもに対する罪悪感が芽生え、仕事が思うように進まなければ自分の能力の低さを感じ、どちらに対しても大きなストレスを感じがちに。

保育園やベビーシッターなどを利用することの良さは、預けている間は仕事に集中できること、そして預け終わった後の子どもと一緒の時間を大切にできることにあると思います。そうやって頭の使い方も行動も全く異なる育児と仕事を、しっかりと物理的に切り替えられることが、子育て世代が仕事をしていく上では必要なのではないでしょうか。

他の方法も柔軟に選択できることが大事

筆者は、子連れ出勤そのものを否定するつもりはありません。保育園に預けることができないために働けなくなるのであれば、子連れ出勤をした方がいいという人もいるでしょう。一方で、子どもと一緒に過ごしながら仕事をしたいという人もいるかもしれません。

大事なことは、子連れ出勤を推奨していくことではなく、個々人に応じたあらゆる方法が選択しやすい社会にしていくことでしょう。

保育園、ベビーシッター、地域の子育て支援、学童保育といったサービスを誰でも使用しやすくすること。女性はもちろん、男性側も産休や育休を十分に取得できること。育休明けに正社員として仕事復帰できることなど、子連れ出勤以外にも早急に取り組まなければいけないことがあまりにもたくさんあります。

今後、政府が子連れ出勤を筆頭に、母親だけの負担が大きくなる施策を増やすことなく、他の環境整備にも力を入れていくことを望んでやみません。

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