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元保護犬が幸せに暮らせるニュージーランド、引き取るときの厳しい条件とは

LIMO / 2019年2月22日 21時10分

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元保護犬が幸せに暮らせるニュージーランド、引き取るときの厳しい条件とは

今、夏が盛りのニュージーランド。ビーチに行くと、人間以上に楽しんでいるのが犬です。ビーチは混み合うこともなく、多くの場所で犬のリードをはずすことが許されているので、自由自在に遊べるからです。海にバシャバシャと入って行ったり、波打ち際の流木をくわえて持ってきたり。見ているだけで、大喜びしている犬の気持ちが伝わってきます。

不適切な飼い主やレースから解放された保護犬

「犬は人類の最良の友」という言葉があるように、ペットを飼う世帯の割合が世界で一、二を争うこの国でも、犬は人気者です。猫を飼っている家庭の方が多いものの、ビーチにしても、旅行にしても、行動を共にすることができ、頭が良く私たちの気持ちに寄り添ってくれるのは犬ならでは。

犬を飼う場合、種類によって性格や行動タイプ、サイズがだいたい決まっているので、こだわりがある人はブリーダーから直接買い受けます。あまりこだわりがないという人は動物保護施設から引き取ります。

施設では雑種が主になりますが、経験豊かなスタッフがおおよその犬種を割り出して教えてくれますし、危険とされる種類の犬はいません。過去に行動が問題になった犬でも、お行儀よくできるよう訓練を受けていますから、心配は無用です。

国内38カ所に拠点を持つ保護施設の代表、「ロイヤル・ニュージーランド・ソサエティー・フォー・ザ・プリベンション・オブ・クルーエルティ・トゥ・アニマルズ(SPCA)」や、飼うのに不適切とされた飼い主から保護した犬を収容するドッグパウンドなどから引き取ることができます。

またほかにも犬の養子縁組をしているところがあります。たとえば、「グレイハウンズ・アズ・ペッツ」という団体です。ニュージーランドでは、多くの動物愛好家から反対があるにも関わらず、ドッグレースが行われています。走らせてどの犬が一番になるか競わせて行うギャンブルです。

競技犬はグレイハウンドという種類。足が長く、細身で優雅な姿の犬です。同団体では、年齢やけがなどでレースを引退した犬のもらい手を探しているのです。

レース用に調教されているので、犬は家庭のペットとしての再訓練を受けてから養子に出されます。筆者の知り合いにはここからグレイハウンド犬2匹を家族に迎えた人がいます。おひげが立派な老紳士なのですが、グレイハウンド犬を2匹従えて散歩する姿は優雅。犬たちはとても人懐こく、レースをしていた荒々しさはこれっぽっちもありません。

雑種犬でも、住環境を整えて迎える

筆者にはSPCA出身の犬を引き取って3年という友人がいます。彼女の犬は中型の黒い雑種。やってきた時は子犬で、「コーラ」と名づけられました。言うまでもなく、これは清涼飲料水から取った名前。人の足をなめるのが大好きな、とても元気でやんちゃなオス犬です。

SPCAで動物を引き取る際は必ず「養子縁組」の申請書を記入しますが、犬の場合は引き取り先家庭の居住形態が問われます。一軒家なのかアパートなのかや、一軒家の場合は庭の面積、塀の高さと材質を申告しなくてはいけません。そして施設のスタッフ訪問を受けるのです。

犬の住環境は特に重要視され、条件に合わないと譲ってもらえません。条件は犬1匹1匹で違います。種類やサイズだけでなく、犬の性格や行動パターンが考慮されるからです。施設側は犬の親身になって、最適な引き取り手を探します。

友人の場合、コーラには面積は十分だったものの、塀にくぐれる個所が何カ所かあることを指摘され、庭に通じる門を常にきちんと閉めておくようアドバイスを受けました。新しい家族の一員に良い環境で暮らしてほしいと、友人は塀の穴を修理。そしてコーラがやって来ました。

犬は健康診断、去勢、マイクロチップ、予防注射、ノミや寄生虫の駆除を施設で済ませています。コーラも同様で、これらの実費250NZドル(約1万8,500円)を支払い、引き取りました。

残るは在住自治体での登録です。友人を含め、町にある一般家庭で飼う犬の登録料は155NZドル(約1万1,000円)。自治体により差があります。でも特別なタグを首輪に付けるところはどこも一緒です。

しつけ教室に託児所

ニュージーランドでは、犬には「オビーディエンス・トレーニング」を受けさせることが勧められています。これはしつけのための教育のことです。コーラもまず3週間にわたり、子犬のためのコースを受けました。「お座り」など、飼い主の基礎的な指示を理解し、実行できるようにするためです。

この時のコース代は125NZドル(約9,200円)。成犬でも訓練を受けることができますし、ちょっと困ったくせがある犬にはそれに応じてのコースも設けられています。

別の友人の犬は、犬の「託児所」に通っています。もう大人ですが、友人夫婦が日中働いている間、家に1匹だけで置いておくのはかわいそうと預けているのです。ほかの犬と知り合ったり、遊んだり、エクササイズしたり、ゲームをしてもらったりと楽しく、充実した日々を送っているようです。

こうなってくると、もう犬は「動物」とか「ペット」ではありません。人間並みのケアを受けていると言えそうです。もしかしたら、犬の方が私たち人間よりいい生活を送っている……なんてこともあるのかもしれません。

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