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トランプ陽性、ドコモTOB、東証…先週の事件をプロはこう読む!日本株への影響は?

トウシル / 2020年10月5日 7時30分

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トランプ陽性、ドコモTOB、東証…先週の事件をプロはこう読む!日本株への影響は?

日経平均は、再び2万3,000円に戻される

 先週の日経平均株価は、1週間で174円下がり、2万3,029円となりました。ただ、9月29日に9月中間決算の配当落ち、約165円をこなしているので、実質的には、1週間でほぼ横ばいだったと言えます。

 日経平均は、以下の日足チャートをご覧いただくとわかる通り、8月半ば以降、2万3,000円から2万3,500円の狭いレンジで膠着しつつあります。

日経平均日足:2020年5月1日~10月2日

 先週は、強弱さまざまな材料が飛び出した1週間でした。日銀短観などで、製造業に回復の兆しが出ていることはプラスです。NTTがドコモに4.2兆円TOB(株式公開買い付け)をかけると発表したことも、需給面で株式市場に大きなプラス材料です。

 一方、11月3日の大統領選でトランプ大統領が落選する可能性が高まったと考えられることが、波乱材料となっています。納税問題が持ち上がる中、TV討論会が不評、さらに、コロナ感染が判明したことが、トランプ大統領に逆風と見られています。法人税増税を明言しているバイデン候補が有利になったことで、法人増税のリスクが高まったと判断されました。

 10月1日には、東京証券取引所が、システム障害で史上初、終日売買停止となりました。東京の金融市場としての信頼性をゆるがせる問題となりました。

 足元、弱含んではいますが、日経平均は9月以降、米国・欧州の株が調整する中、相対的に堅調です。

東証マザーズ・日経平均・独DAX指数・NYダウ・米ナスダック総合指数の動き比較:2020年9月1日~10月2日

注:9月1日の値を100として指数化

 8月まで、最高値を更新し続けていた米国ナスダック総合指数が9月に入り、急落しました。9月までの上昇ピッチが速すぎたことから、利益確定売りが集中しました。続いて、9月半ばに、ドイツのDAX指数銘柄(フランクフルト証券取引所の上場銘柄のうち、ドイツ企業の主要30銘柄を対象とした株価指数)など、欧州株が売られました。欧州での感染再拡大が嫌気されました。

 ただし、9月の日経平均は、売られそうになっても、買い戻され、堅調に推移してきました。【1】欧米に比べ日本は感染拡大を小幅に抑えられていること、【2】スガノミクスへの期待、【3】中国景気回復の恩恵を受け製造業に回復の兆しが出ていること、などが日本株を下支えしていると考えられます。東証マザーズは、スガノミクスで推進が期待されるデジタライゼーションの関連株が多いことから、強い値動きとなっています。

先週出た強材料を検証

【1】製造業に回復の兆し(日本)

 経済産業省が9月30日に発表した、日本の8月の鉱工業生産指数(速報)は、前月比1.7%上昇し、88.7となりました。水準はまだ低いものの、回復が続いていることが確認できました。

 また、日銀が10月1日に発表した、9月の日銀短観で、「大企業・製造業DI(業況判断指数)」は▲27と、前回(6月)調査から、7ポイント上昇しました。同指数の先行き(12月)予想は▲17と、さらに10ポイントの改善が見込まれています。こちらも、水準は低いものの、回復基調が続く見込みであることが示されました。4-6月から中国景気が回復している恩恵が出ています。また、欧米の景気も、7-9月から回復しつつあることへの期待もあります。

 日銀短観では、「大企業・非製造業DI」の回復が鈍いことが気がかりです。外国人観光客が戻ってこないことが、ダメージとなっています。ただ、10月1日よりGoToトラベル・キャンペーンに東京が加えられることで、国内での旅行需要がかさ上げされることに期待が出ています。

【2】NTTがドコモに4.2兆円TOB

 NTTは9月29日、ドコモにTOBをかけ、完全子会社にすると発表しました。TOB価格は、28日の終値に約4割のプレミアムを乗せた3,900円。二段階買収で、TOBに応募しない株主の持ち分も、事実上、強制的に買い取るスキームとなっています。現金での買い取りで、予定通り、少数株主持ち分を全て買い取るのに4.2兆円必要です。NTTは、必要資金を、銀行借り入れでまかなうと発表しました。ドコモ株はこの発表を受けて、4割上昇し、TOB価格にサヤ寄せしました。

 ドコモの株主に、総額4.2兆円の現金が支払われることになります。これは、日本の株式市場に、需給面で大きなプラス材料です。

 総務省は今年、新型コロナ感染拡大に伴う緊急経済対策の一つとして、国民1人当たり一律10万円(事業費総額12兆8,802億円)の特別定額給付金を実施しました。一部は消費や投資に回りましたが、大部分は、現時点で預貯金に入ったままと考えらえます。

 ドコモ株主へ渡る4.2兆円も、一部はそのまま預貯金に入る可能性もありますが、もともと株式投資に振り当てられていたお金ですから、株式などの投資に振り向けられる可能性もあります。仮に、半分が株式投資に向かうと仮定しても、2.1兆円の買い需要となります。

納税問題、TV討論会不評、コロナ感染。トランプ大統領落選に現実味

 11月3日の大統領選で、トランプ大統領が落選する可能性が高まったと考えられていることが、波乱材料となっています。米ニューヨークタイムズ紙は9月27日、トランプ大統領が当選前の15年間のうち、10年分の所得税を納めていなかったと報道しました。トランプ大統領は「フェイクニュース」と報道を否定していますが、納税記録の公開をしてこなかったことから疑惑が深まり、選挙戦に逆風となっています。

 そうした状況下、トランプ大統領は、民主党の元副大統領、バイデン候補との第1回テレビ討論会に臨みました。討論会では、トランプ大統領がバイデン氏の発言中にたびたび割り込み、お互いに相手をなじり合う、非難の応酬となりました。最低の候補者討論会だったとの声が強まり、討論会の直後には、トランプ大統領落選の可能性がさらに高まったとの見方が増えました。

 さらに、トランプ大統領が、新型コロナに感染していたとツイッターで発表した10月2日、一時、NYダウの先物が急落しました。選挙戦を戦えなくなり、不利になると見られました。ただ、その後、大統領は軽症との報道もあり、10月2日のNYダウは大きくは下がりませんでした。トランプ大統領の病状については、情報が錯そうしています。一時、酸素吸入が必要になったとの報道もありますが、抗体薬や抗ウイルス剤レムデシビルを投与し、現時点では快方に向かっていると考えられています。

 現時点で、トランプ落選→バイデン当選ならば、法人税が引き上げられ、米国株は下がると考えられています。ただし、バイデン当選が、株式市場にとって単純な悪材料とはならないとの見方もあります。さまざまな見方について、明日のレポートで報告します。

日本株は、長期投資で買い場の見方、継続

 日本株は割安で、長期的に買い場との判断を継続します。米大統領選で、さまざまな波乱があり、その都度、日経平均は乱高下が予想されますが、来年にかけて世界景気が回復、日経平均もいずれ上昇トレンドに入っていくとの見方を継続します。
 

▼著者おすすめのバックナンバー
2020年9月30日:NTTがドコモにTOB(株式公開買い付け)!NTT株の投資判断とドコモ株の行方
2020年9月29日:「日銀の一手買い」で支えてきた日本株、外国人の買いが戻るのはいつ?

(窪田 真之)

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